転職エージェントを利用した際に、「ブラック企業ばかり紹介してくるのではないか」と不安になる人もいるでしょう。実際に、ブラック企業ばかり紹介された方もいるかもしれません。
しかし、転職エージェントはブラック企業の求人が比較的少ない転職サービスです。そのため、ブラック企業と出会わないで済む方法もあります。
この記事では、「転職エージェントはブラック企業の求人を紹介してくるのか」や「ブラック企業を紹介してくる転職エージェントの見分け方」について元リクルートの転職エージェントが解説します。
筆者プロフィール
元リクルートの転職エージェント。広告業界を中心に、IT、人材、商社、メーカーなど、100社以上の中途採用を支援。趣味は音楽、読書、半身浴ともっぱらのインドア系。幅広い業界知識を元に役立つ転職情報を発信します。
目次
転職エージェントはブラック企業の求人を紹介してくる?
結論から申し上げると、ブラック企業の求人を紹介してくる転職エージェントもあります。
しかし、ハローワークや転職サイトなどの他の転職サービスに比べると、転職エージェントにおけるブラック企業求人の割合は少ないです。
転職エージェントにブラック企業求人が少ない理由
他の転職サービスに比べて転職エージェントにブラック企業が少ない理由は、下記2点。
- 審査基準がある
- 返金規定がある
審査基準がある
転職エージェントは、求人を掲載する際に審査基準を設けています。また、求人の依頼があれば、転職エージェントの担当者が企業を直接取材をすることで、「ブラック企業か否か」をしっかりと判断しています。
審査基準を満たしていても「怪しいな」と感じた企業があれば、その情報を転職エージェント内で共有します。そのため、ブラック企業求人は求職者に紹介されにくい仕組みとなっています。
返金規定がある
転職エージェントには返金規定があります。
転職エージェントでは、求職者が企業に入社したら、採用企業が転職エージェントに対して成功報酬を支払います。転職エージェントは企業からの成功報酬で成り立っています。
しかし、入社してからすぐに求職者が辞めてしまった場合、採用企業に対して成功報酬を返金しなければならないのです。
そのため、ブラック企業を紹介したとしても、求職者が入社後すぐに辞めてしまえば、転職エージェントに利益は発生しないということになります。つまり、転職エージェントはブラック企業を紹介するメリットがないのです。
ブラック企業を紹介してくる転職エージェントの見分け方
ブラック企業を紹介してくる転職エージェントの見分け方は一つだけです。それは、「転職エージェントの規模」です。転職エージェントの規模の観点から言えることは2つあります。
- 大手転職エージェントは信頼できる場合が多い
- 中小転職エージェントは注意が必要
大手転職エージェントは信頼できる場合が多い
リクルートエージェントやdoda、マイナビエージェントなどの大手転職エージェントはコンプライアンスも厳しく、ブラック企業を排除するための審査基準を厳格に設けています。
また、大手転職エージェントは保有求人数が多いため、ブラック企業求人を排除したところで業績に影響はありません。むしろ返金リスクや、評判が下がるリスクしかないため、積極的にブラック企業を排除しています。
中小転職エージェントは注意が必要
一方、中小転職エージェントは、そもそもの審査基準が緩い場合があります。大手企業と比べて、コンプライアンス自体が緩いため、ある程度自由に運営できてしまうのです。
また、中小転職エージェントは保有求人数も少ないため、利益のためには多少のブラック企業でも求職者に紹介しようと考える企業もあります。
もちろん信頼性が高い中小転職エージェントもあります。しかし、信頼性の保証はないため、中小零細エージェントを利用する際には、紹介される求人を自分で見極める必要があります。
ブラック企業の求人の特徴と見分け方
「実際にブラック企業の求人を紹介された場合、どのように見分ければいいのでしょうか?」このような質問をよく頂くので、ブラック企業求人を見極める方法を簡単に解説します。
中小零細エージェントを利用する際には必ず下記の項目を確認しましょう。また、大手転職エージェントにおいても、たまにブラック企業求人が紛れている可能性があるため、念の為確認することが重要です。
- 求人票の情報量
- 雇用形態
- 想定年収の下限と上限の幅が大きい
- 基本給と手当のバランス
- 残業代制度
1.求人票の情報量
誰でも知っている有名企業でない限り、求人票の情報量が少ない場合はブラック企業の可能性があります。特に、企業情報と仕事内容、担当者のレポートを注意して確認することが必要です。
企業情報では、資本金額、売上高・経常利益を確認しましょう。特に資本金額が少ない場合や、売上高・経常利益が記載されていない場合には注意が必要です。
仕事内容では、具体性を確認しましょう。仕事内容が抽象的だったり、情報が少ない場合、入社後、どのような業務を任されるか分かりません。入社してみたら想像と異なる仕事を任される可能性もあります。不安な場合、転職エージェントに確認しましょう。
担当者の企業紹介レポートでは、情報量を確認しましょう。書かれている情報量が少ないと、「魅力がない」または「担当者が企業のことをあまり把握していない」どちらかに該当します。どちらにせよ、ブラック企業の可能性があります。
2.雇用形態・試用期間
雇用形態が正社員以外の場合、その内容を正確に確認することが必要です。特に契約社員の場合、契約更新の有無については転職エージェントに確認しましょう。なかには、入社前には「更新する」と言いながら、いざ更新のタイミングになると「更新しない」と言ってくれるブラック企業もあります。
正社員の場合も、試用期間は必ず確認しましょう。なかには、「試用期間のみ正社員ではなく契約社員で契約する」とする企業もあります。結局正社員ではなく契約社員としての採用になる可能性があるため、注意しましょう。
3.想定年収の下限と上限の幅が大きい
想定年収の下限と上限の幅が大きいと、ブラック企業の求人の可能性が高いです。例えば想定年収が「400〜1,000万円」と記載されている場合、上限の1,000万円を提示されることはほぼありません。
つまり、上限を大きくすることで求職者からの応募を集めようとしているだけです。そのため、人が集まりにくいブラック企業の求人の可能性が高いです。
4.基本給と手当のバランス
年収を確認する際には、基本給と手当のバランスを確認しましょう。年収自体は適正でも、基本給が低く、手当が多い可能性があります。
手当には支給条件があるため、条件に当てはまらなければ満額の給与がもらえないことがあります。残業手当やボーナスの基準も基本給がベースとなることが多いため、「思ったより貰えない」という状況になりかねません。
5.残業代制度
残業代制度が整っているかどうかは必ず確認しましょう。基本的に、残業代とは「時間に応じて支給」されるものです。固定残業代制度の場合も、あらかじめ固定されている時間を超過して残業をしたら、その超過分も追加支給されます。
時間に応じて支給:9時〜17時が定時の場合、17時以降の残業代を時間に応じて支給
固定残業代制度:9時〜17時が定時で、月の固定残業代が40時間の場合、月の残業時間が40時間を超えたところから時間に応じて支給
また、みなし労働時間制の場合は、適応できる職種に制限があります。なかには、みなし労働時間制を違法に適応している企業もあります。専門知識がないと判断が難しいため、必ずキャリアアドバイザーに確認しましょう。
ブラック企業の求人を紹介された時の対処法
ブラック企業の求人を紹介された時の対処法は、シンプルに2点です。
- 他の転職エージェントに変更
- キャリアアドバイザーの変更
他の転職エージェントに変更
ブラック企業を紹介された場合、すぐに転職エージェントを変更しましょう。その転職エージェント自体の信頼性に疑問が生じたら、利用を止めるべきです。
他にも信頼性の高い転職エージェントはたくさんあります。ブラック企業を紹介するような転職エージェントとは、付き合うだけ時間の無駄です。
キャリアアドバイザーの変更
大手転職でブラック企業を紹介された場合は、キャリアアドバイザーの担当変更も手段の一つです。
ブラック企業を紹介するキャリアアドバイザーは、企業を見る目がない場合や、自分のノルマのことしか考えていない場合があります。つまり、転職エージェントに問題があるのではなく、キャリアアドバイザーに問題がある可能性が高いです。
信頼できる転職エージェントは決まっている
転職エージェントを選ぶ際の判断基準は、
- 求人数
- サポートの質
- 実績
この3つです。
この3つを満たしている転職エージェントであれば、ブラックな転職エージェントである可能性は極めて低いと思います。
ちなみに、転職決定者は平均4.2社の転職エージェントを利用しているので、最初から一つの転職サービスに絞るのではなく、3〜4つ登録してみて、自分に合った転職サービスを選びましょう。
1位:リクルートエージェント
2位:パソナキャリア
3位:doda