「終わりよければすべてよし」の本当の意味【英語表現や類語も解説】

終わりよければすべてよしの意味と使い方

「終わりよければすべてよし」という言葉、よく使いますよね。文字通り、「物事は終わりがよければ、過程が悪くても問題にならない」という意味です。

今回は「終わりよければすべてよし」の正しい意味や使い方、その由来について解説します。ぜひ参考にしてみてください。

目次

「終わりよければすべてよし」の意味

終わりよければすべてよし

読み:おわりよければすべてよし

意味:物事は終わりがよければ、過程が悪くても問題にならないこと

終わりよければすべてよしの意味は、「物事は終わりがよければ、過程が悪くても問題にならないこと」です。

物事には、最初からすべて成功するものもありますが、最初からすべて成功することは稀だと思います。途中で失敗や困難があるものです。

終わりよければすべてよしは、「何かを進める過程で問題や失敗があったとしても、結果的に成功すればすべて成功である」と物事を前向きに捉えることわざです。

「終わりよければすべてよし」の語源はシェイクスピア

シェイクスピア

出典:Wikipedia

「終わりよければすべてよし」の語源は、イングランドの劇作家であるウィリアム・シェイクスピアの戯曲『All’s well that ends well』と言われています。

「All’s well that ends well」を直訳すると、「終わりよければすべてよし」になります。もともとあった言葉だと思いますが、シェイクスピアをきっかけに広まったと言われています。

戯曲『All’s well that ends well』のあらすじ

all's well that ends well

出典:amazon

ある女性が自分より身分が高い男性を好きになり、試行錯誤しながら結婚へと持ち込むというお話です。女性は男性の気を引くため、あの手この手でアプローチしますが男性は振り向いてくれません。

最終的には半ば無理矢理にでも結ばれる方法を取り、男性と結ばれるという内容です。最後に主人公の女性が「終わりよければすべてよし」と言います。この物語が由来となり、「終わりよければすべてよし」が広く使われるようになりました。

「終わりよければすべてよし」は心理学的に正しい?

「終わりよければすべてよし」は、途中でどんな失敗をしても最後が良ければ成功という解釈ができます。

これは心理学的に見ると、正しいのでしょうか?

「ピーク・エンドの法則」が答え

心理学には、ピーク・エンドの法則というものがあります。

ピーク・エンドの法則とは、「人が過去を振り返るとき、ピーク(最高または最悪)とエンド(最後)の記憶をもとに思い出す」というもの。

つまり、人間には、「一番良かった記憶または一番悪かった記憶」と「一番最後の記憶」をもとに述懐する性質があるということです。

「終わりよければすべてよし」は、終わりだけがよければOKという意味ですが、人間にはピーク(最高または最悪)の記憶も重要になることがわかります。

例えば、大学時代を振り返るとき、

  • ピーク:学園祭の楽しかった記憶
  • エンド:卒業旅行の楽しかった記憶

この場合、ポジティブな記憶として大学時代を振り返ることができますね。

一方、

  • ピーク:彼女との楽しかった記憶
  • エンド:就活で失敗した記憶

この場合、ピークは良い思い出、エンドは残念な思い出として残っています。甘くて苦い大学時代ですね。これはこれで、一番収穫のある大学時代だと思います。

では、こちらはどうでしょうか?

  • ピーク:いじめられた記憶
  • エンド:就活で失敗した記憶

この場合、ネガティブな記憶として大学時代を振り返ることになります。

「終わりよければすべてよし」の例文と使い方

例文1.練習は失敗続きだったけど、試合には勝てたので終わりよければすべてよしだ。

例文2.「終わりよければすべてよし」で学生最後の学園祭を成功できてよかった!

例文3.「終わりよければすべてよし」とは言うが、なるべくプロセスも大事にしたい。

例文4.「終わりよければすべてよし」とは言うけれど、もう少し改善する余地はあった。

例文5.「終わりよければすべてよし」とは言うけれど、結果がすべてではないよ。

「終わりよければすべてよし」は、ポジティブな意味で使うことが多いです。また、「次はより改善しよう」と前向きな意思を表示するときにも使います。

「終わりよければすべてよし」の使い方の注意点

「終わりよければすべてよし」は、最初からすべて上手く行っている場合に使う表現ではありません。むしろ、途中の過程では上手く行っていない場合に使うのが正しい表現となります。

「終わりよければすべてよし」の四字熟語

社会人の常識用語

「終わりよければすべてよし」の四字熟語を2つ紹介します。

  1. 有終完美
  2. 雨過天晴

①有終完美(ゆうしゅうかんび)

有終完美の意味は、「何事も終わりが肝心であること」です。最後まで物事をやり遂げる大事さを表した四字熟語です。

②雨過天晴(うかてんせい)

雨過天晴の意味は、「悪い状態から最後にはうまくいくこと」です。

  • 雨過:雨が通り過ぎると
  • 天晴:空が晴れ渡り明るくなる

という単語から成り立つ四字熟語です。

「終わりよければすべてよし」の類語

社会人の常識用語

「終わりよければすべてよし」の類語を5つ紹介します。

  1. 有終の美
  2. 花道を飾る
  3. 仕上げが肝心
  4. 詰めが甘い
  5. 立つ鳥跡を濁さず

①有終の美

有終の美の意味は、「物事を最後まで立派にやり遂げること」「結果が立派であること」です。「優秀の美」と書くのは誤りなので、注意しましょう。

例文1.途中まではいろいろとあったけど、最後は有終の美で飾った。

例文2.最後の試合を勝利し、有終の美を飾った。

例文3.息子の有終の美を見届けられて満足な一日だった。

②花道を飾る

花道を飾るの意味は、「最後まで立派にやり遂げ、惜しまれてその道を退くこと」です。

例文1.内田選手は今日の試合で引退し、花道を飾った。

例文2.この試合で出場できるのは、花道を飾るのにふさわしい。

例文3.彼は連続出場記録を伸ばし、彼のサッカー人生の花道るものとなった。

③仕上げが肝心

仕上げが肝心の意味は、文字通り「物事は途中よりも最後の仕上げが大事」です。

例文1.どんなに時間をかけても、仕上げが肝心ということを忘れてはならない。

例文2.フレンチの修行では、「仕上げが肝心」ということを痛いほど学ぶ。

例文3.最後まで気を抜くな。どんなことも仕上げが肝心なんだよ。

④詰めが甘い

詰めが甘いの意味は、「物事の最後で精細を欠いている」です。「終わりよければすべてよし」と同じ意味ではありませんが、「物事は終わりが大事」という観点では似ている言葉です。

例文1.◯◯さんは、仕事は早いけど詰めが甘い。

例文2.誤字脱字が多く、彼の仕事は詰めが甘い。

例文3.詰めが甘いことは、直す意識をもたないと、いつまでも変わらない。

⑤立つ鳥跡を濁さず

立つ鳥跡を濁さずの意味は、「①立ち去るときは後始末をしっかりするべき、②引き際は潔く」です。

例文1.立つ鳥跡を濁さずというように、しっかりと現場に引き継いでから転職した。

例文2.立つ鳥跡を濁さずというように、彼氏と別れる際にはトラブルなく穏やかに別れたいものだ。

例文3.チェックアウトの日は、立つ鳥跡を濁さずというようにきれいに去りたいものだ。

「終わりよければすべてよし」の対義語

「終わりよければすべてよし」の対義語を4つ紹介します。

  1. 仏作って魂入れず
  2. 画竜点睛を欠く
  3. 枡ではかって箕でこぼす
  4. 九仞の功を一簣に虧く

①仏作って魂入れず

仏作って魂入れずの意味は、「一番肝心な部分が抜けていること」です。

仏作って魂入れずは、仏像を作っても、魂を入れて作らなければ、単なる石や木と同じであることから由来しています。

例文1.選手は補強できたが、肝心の監督が決まっていない。これでは仏作って魂入れずだ。

例文2.良い画は撮れたけど、BGMが合っていない。これでは仏作って魂入れずだ。

例文3.完璧な作品だと思っていたけど、何かが足りない。これでは仏作って魂入れずだ。

②画竜点睛を欠く(がりゅうてんせいをかく)

画竜点睛を欠くの意味は、「最後の仕上げを忘れること」です。

例文1.そのアートには作者の名前がなく、画竜点睛を欠く作品だ。

例文2.誰でも気づきそうなミスに気づかず、画竜点睛を欠くとはこのことだ。

例文3.素晴らしい構想だったが、画竜点睛を欠く事態となった。

③枡ではかって箕でこぼす(ますではかってみでこぼす)

枡ではかって箕でこぼすの意味は、「苦労して貯めたものを、無駄に使い果たしてしまうこと」です。

枡ではかって箕でこぼすは、収穫の際に、枡できちんと量り入れたものを、箕(穀物をふるための道具)でこぼしてしまうことが由来しています。

例文1.貯金を「枡ではかって箕でこぼす」ように使ってしまった。

例文2.マイホームを諦めて「枡ではかって箕でこぼす」のように使う。

例文3.1億円稼いでも9,999万円使ったら1万円しか残らないよ。「枡ではかって箕でこぼす」のはやめなさい。

④九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく)

九仞の功を一簣に虧くの意味は、「長い間の努力も最後の少しのミスで台無しになってしまうこと」です。

九仞の功を一簣に虧くは、高い山を築くのに、最後のもっこ(運搬道具)一杯の土が足りないために完成しないことから由来しています。

例文1.寝坊して大事な仕事を逃してしまうなんて、九仞の功を一簣に虧くとはこの事だ。

例文2.九仞の功を一簣に虧くことのないように、最後まで集中する必要がある。

例文3.ここまで努力してきたのだから、九仞の功を一簣に虧くことのないようにしましょう。

「終わりよければすべてよし」の英語表現

「終わりよければすべてよし」の英語表現を3つ紹介します。ちなみに、他にも言い方がありますが、基本的に下記3つを覚えておけば間違いないと思います。

  1. All is well that ends well.
  2. The end justifies the means.
  3. Everything was OK in the end.

①All is well that ends well.

「All is well that ends well.」は、直訳すると「終わりよければすべてよし」となります。シェイクスピアの戯曲では、「All is」を短縮形にして「All’s」となっています。

②The end justifies the means.

「The end justifies the means.」は、直訳すると「結果は手段を正当化する」となります。

「All is well that ends well.」とニュアンスが異なりますが、「結果が良ければ、どんな過程、手段でも正当化される」という意味です。

③Everything was OK in the end.

「Everything was OK in the end.」は、直訳すると「最終的にはすべてうまくいった」です。

  • Everything was OK:すべてはうまくいった
  • in the end:最終的には

「in the end」は、「最終的には」という意味の副詞です。よく出てくる表現なので、覚えておくと便利です。

「終わりよければすべてよし」の中国語表現

「終わりよければすべてよし」の中国語表現は、こちらを覚えておきましょう。

结果好就一切都好

まとめ

「終わりよければすべてよし」という言葉の意味が理解できたと思います。普段使っている言葉だからこそ、勉強してみると新しい発見があります。

私は、今までシェイクスピアの戯曲が語源ということを知らなかったので、驚きました。ぜひ、これを機に「終わりよければすべてよし」を正しく使ってみてください。

①「終わりよければすべてよし」の意味

・物事は終わりがよければ、過程が悪くても問題にならないこと

②「終わりよければすべてよし」の語源はシェイクスピア

・「終わりよければすべてよし」の語源は、イングランドの劇作家であるウィリアム・シェイクスピアの戯曲『All’s well that ends well』

③「終わりよければすべてよし」は心理学的に正しい?

・「終わりよければすべてよし」は、終わりだけがよければOKという意味ですが、人間にはピーク(最高または最悪)の記憶も重要になる

④「終わりよければすべてよし」の例文と使い方

・練習は失敗続きだったけど、試合には勝てたので終わりよければすべてよしだ。

・「終わりよければすべてよし」で学生最後の学園祭を成功できてよかった!

・「終わりよければすべてよし」とは言うが、なるべくプロセスも大事にしたい。

⑤「終わりよければすべてよし」の四字熟語

・有終完美

・雨過天晴

⑥「終わりよければすべてよし」の類語

・有終の美

・花道を飾る

・仕上げが肝心

・詰めが甘い

・立つ鳥跡を濁さず

⑦「終わりよければすべてよし」の対義語

・仏作って魂入れず

・画竜点睛を欠く

・枡(ます)ではかって箕(み)でこぼす

・九仞の功を一簣に虧く

⑧「終わりよければすべてよし」の英語表現

・All is well that ends well.

・The end justifies the means.

・Everything was OK in the end.

⑨「終わりよければすべてよし」の中国語表現

・结果好就一切都好

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