「渡りに船」の意味・使い方を例文で解説【英語表現についても】

渡りに船の意味と使い方

「渡りに船」ということわざは、使う機会は少ないですが、大人の常識としては知っておきたいですよね。結論、「渡りに船」の意味は、「困っているときに、ちょうどよく助けになる人や環境に恵まれること」です。「ピンチの時に訪れる救世主が現れた!」そんな時に使いたいことわざです。

この記事では、「渡りに船」の意味はもちろん、例文や使い方、語源について詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

「渡りに船」の意味

渡りに船

読み:わたりにふね

意味:困っているときに、ちょうどよく助けになる人や環境に恵まれること

「渡りに船」の意味は、「困っているときに、ちょうどよく助けになる人や環境に恵まれること」です。

何かしようとしているときに、ちょうど都合のよいことが起きる。そのような状況を「渡りに船」と表現できるのです。

「渡りに船」の語源・由来

渡りに船の語源

「渡りに船」の語源は、「どうやって川を渡ろうかと考えていたときに、ちょうどよく目の前に船が現れて助かったこと」から来ています。

昔の日本では、大きな川に橋がありませんでした。江戸時代には、幕府の政策により大きな川に橋をかけることは禁止されていたそうです。

その理由は、反乱が起きても、橋がなければすぐには進めないようにするためです。そのため、川を渡るためには船が必要でした。

深堀り:「渡りに船」の語源は「法華経」

法華経

出典:wikipedia

実は、先述した「渡りに船」の語源は『法華経(ほけきょう)』の出典です。

『法華経』とは、大乗仏教(だいじょうぶんっきょう)というユーラシア大陸から東部にかけて信仰されてきた仏教の一派の代表的な経典です。

その『法華経』の中に出てくる「薬王菩薩本事品」という一節が「渡りに船」の由来となります。「薬王菩薩本事品」の意味は、苦境(渡り)に立たされている衆生(しゅじょう:人間をはじめすべてのすべての生物)を、その困厄から救済するお経こそ法華経(船)である、ということです。

「渡りに船」の例文と使い方

例文1.転職先を探していたときに、渡りに船といった具合に、知人に優良会社を紹介してもらった

例文2.新しくパソコンを購入しようとしていたら、渡りに船でタイムセールだったので即購入した

例文3.突然の大雨に見舞われたが、ちょうど友人の車が通りかかり、渡りに船で乗せてもらった

例文4.料理を作り始めて材料が足りないことに気づいたが、渡りに船で妻がちょうど材料を買って帰ってきた

例文5.チームの主力メンバーが怪我をしてしまったが、渡りの船といった具合に経験豊富のメンバーが入部した

例文のように、「ピンチのときに幸運がやって来た」という場合に「渡りに船」を使います。予測していなかったが、人や環境が助けになってくれた。そんな時に「渡りに船」を使ってみましょう。

「渡りに船」の注意点

「渡りに船」の注意点は、2つあります。

  1. 努力と幸運は違う
  2. 「渡りの船」は誤り

注意点①:努力と幸運は違う

先述したように、「渡りに船」は「困っているときに、ちょうどよく助けになる人や環境に恵まれること」という意味です。

言い換えれば、運が良くて助けられたという意味です。そのため、「頑張って努力すれば、渡りに船で優勝できる」のように、「頑張って努力した結果」に対して、「渡りに船」は使うことができないのです。

「頑張って努力した結果」に対しては、『得手(えて)に帆を揚げる』がぴったりです。

注意点②:「渡りの船」は誤り

「渡りに船」を「渡りの船」と言い間違えている方は多いです。「渡り(川岸)に船が来た」と捉えれば、「渡りの船」は間違いということがわかると思います。

「渡りに船」の英語表現

「渡りに船」の英語表現

「渡りに船」の英語表現で覚えておきたいのが、“lifesaver”です。

“lifesaver”とは、「困ったときに助けてくれる人やこと」を指します。そのため、下記のように「渡りに船」と表現することができます。

You’re a lifesaver.

あなたは渡りに船です。

Your offer is a life-saver.

その申し出は渡りに船だ。

「渡りに船」の類義語

「渡りに船」の類義語

「渡りに船」の類義語は数多くあります。ここでは、代表的な7つの類義語を紹介します。

「渡りに船」の類義語 意味
1 地獄で仏に会ったよう 苦境に立ったとき思わぬ助けにあったうれしさのたとえ
2 日照りに雨 待ち望んでいたことが、やっと実現することのたとえ
3 闇夜に提灯 困っている時に、頼りになるものに出会うことのたとえ
4 大海で浮木に出会う 困窮しているときの願ってもない助け
5 大海の木片 困窮しているときの願ってもない助け
6 願ってもない助け 困窮しているときの願ってもない助けのこと
7 助け舟 困っている人を助けるために力を貸すこと

類義語①:地獄で仏に会ったよう

例文1.山登りの途中に方向がわからなくなったが、経験豊富な登山者が通りかかり、地獄で仏に会ったような気分だった。

例文2.漂流したときに、たまたま漁船に出会えたことは、地獄で仏に会ったようで忘れられない。

例文3.突然の大雨に傘を持たっていなかったが、通りかかった父が車に乗せてくれたことは地獄で仏に会ったようだった。

「地獄で仏に会ったよう」の意味は、「苦境に立ったとき思わぬ助けにあったうれしさのたとえ」です。「地獄で仏に会ったよう」は、「地獄に仏」や「地獄で仏」とも言い換えることができます。

類義語②:日照りに雨

例文1.実験は失敗続きだったが、3年目にしてようやく成功した。まさに日照りに雨だ。

例文2.今年は猛暑日が続いて雨が降らなかったが、やっと雨が降ってくれた。これが日照りに雨ということだ。

例文3.毎日の練習むなしくなかなか勝てない時期が続いたが、昨日の試合でやっと1勝できた。これが日照りに雨ということか。

「日照りに雨」の意味は、「待ち望んでいたことが、やっと実現することのたとえ」です。「早(ひでり)に雨」と書くこともできます。

「日照りに雨」の語源は、日照り続きの時にやっと待望の雨が降ったことからです。昔は、稲作が盛んだったので雨が降らないことは、死活問題でした。日照りが続いて乾燥しきった田畑に雨が降る。これは昔の人からしたら待ち望んだことでした。

類義語③:闇夜に提灯

例文1.終電を逃して困っていたが、たまたま通りかかった友人が来るまで送ってくれた。まさに闇夜に提灯だ。

例文2.コンビニでレジに並んでいるときに財布を忘れたことに気づいたが、仲がいい隣人がお金を貸してくれた。まさに闇夜に提灯だ。

例文3.下山途中に道に迷って途方に暮れていたが、団体の登山者が通りかかり、なんとか助かった。まさに闇夜に提灯だった。

「闇夜に提灯」の意味は、「困っている時に、頼りになるものに出会うことのたとえ」です。「闇夜の提灯」「闇夜の灯火」と言うこともあります。

「闇夜に提灯」は、ピンチのときに救いの神が現れた。そんな時にピッタリのことわざです。

類義語④:大海で浮木に出会う

例文1.山奥で道に迷ってしまったときに、登山経験が豊富な方に出会えた。大海で浮木に出会うような気分だった。

例文2.生活が困窮していたが、ボランティアの援助によりなんとか立て直すことができた。大海で浮木に出会うような気分だった。

例文3.船のエンジンが故障してしまったが、たまたま通りかかった漁船によって全員助けられた。大海で浮木に出会うとはこのことだ。

「大海で浮木に出会う」の意味は、「困窮しているときの願ってもない助け」です。文字通り、大きな海で浮木に出会うことは、命を救われるということです。

ピンチのときに、願ってもない助けが来る。そんな時にピッタリのことわざです。

類義語⑤:大海の木片

例文1.山奥で道に迷ってしまったときに、登山経験が豊富な方に出会ることは、大海の木片だ。

例文2.生活が困窮していたが、ボランティアの援助によりなんとか立て直すことができた。大海の木片とはこのことだ。

例文3.船のエンジンが故障してしまったが、たまたま通りかかった漁船によって全員助けられた。大海の木片とはこのことだ。

「大海の木片」の意味は、「大海で浮木に出会う」と同じで「困窮しているときの願ってもない助け」です。文字通り、大きな海で木片に出会うことは、命を救われるということです。

類義語⑥:願ってもない助け

例文1.主力メンバーが怪我で離脱する中、新しい選手が大活躍した。願ってもない助けだった。

例文2.コンビニで支払い中にお金が足りないことに気づいたが、たまたま会った友人にお金を借してもらった。願ってもない助けだった。

例文3.旅の途中に車が故障してしまったが、たまたま通りかかった修理工にすぐに直してもらえた。本当に願ってもない助けだった。感謝しかない。

「願ってもない助け」の意味は、文字通り「困窮しているときの願ってもない助けのこと」です。

類義語⑦:助け舟

例文1.後輩がプレゼン中に次に言うことを飛ばしてしまったので、助け舟を出した。

例文2.人生は周囲の人に支えられながら生きていくものだ。助け舟なしには、今の成功はなかったと断言できる。

例文3.山奥で車が故障してしまい途方に暮れていたが、保険会社に電話したらすぐに対応してもらえた。こんなに頼りになる助け舟はないね。

「助け舟」の意味は、

  1. 水上で遭難を救助するために出す船(救助船)
  2. 困っている人を助けるために力を貸すこと

主に2つです。

「渡りに船」の類義語としては、2の意味が当てはまります。

まとめ

「渡りに船」の意味と使い方を解説しました。日常的によく使うことわざではありませんが、大人の常識として覚えておきましょう。

①「渡りに船」の意味

困っているときに、ちょうどよく助けになる人や環境に恵まれること

②「渡りに船」の語源・由来

「どうやって川を渡ろうかと考えていたときに、ちょうどよく目の前に船が現れて助かったこと」から

③「渡りに船」の例文と使い方

「ピンチのときに幸運がやって来た」という場合に「渡りに船」を使います(例文は上記を参照)

④「渡りに船」の注意点

・努力と幸運は違う

・「渡りの船」は誤り

⑤「渡りに船」の英語表現

・You’re a lifesaver.

・Your offer is a life-saver.

⑥「渡りに船」の類義語

・地獄で仏に会ったよう

・日照りに雨

・闇夜に提灯

・大海で浮木に出会う

・大海の木片

・願ってもない助け

・助け舟