為替介入とは【意味・仕組み・効果についてわかりやすく解説】

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為替介入(外国為替市場介入)とは

為替介入(外国為替市場介入)とは、「通貨当局が直々に市場に入って、外国為替の売買を行うこと」です。

正式な名称では、外国為替平衡操作と呼ばれます。英語ではexchange interventionと表記されます。

外国為替の取引は通常、個人や企業が金融機関に対して行うものですが、まれに通貨の価値に急激な変化が起きたときなどに、通貨当局が代わりに取引を行い、価値を戻そうと働きかけます。

通貨当局とは?

日本においては、「財務省」「金融庁」「日本銀行」のことです。国の金融や財政、経済を担当する政府部局や中央銀行が当てはまります。

為替介入の仕組み

為替介入の仕組みを簡単にまとめると、

  1. 日銀からの経済状況に対する報告をもとに、財務省が指示を出す
  2. 円高の場合、日銀は国庫短期証券を発行して、金融機関からドルを買う
  3. 円安の場合、日銀は外国為替資金特別会計(外為特会)からドル資金を調達して、円を買い入れる

このようになります。

日銀が単独で行うのではなく、あくまで財務省の指示がなければ行えないことがポイントです。そのため、為替介入をするタイミングを作るのは財務省の仕事です。

補足として「現在、日銀がなかなか為替介入をしない理由」を記事の最後にまとめておきました。そちらもぜひ読んでいただければと思います。

為替介入の効果は?

なぜ日銀は為替介入を行うのでしょうか?

まず、自国の通貨と外国の通貨の価値が大きく異なったとき、自国の経済には深刻な影響が及ぼされます。

例えば、円安になると、輸入品の価値が上がってエネルギー資源の値段が急騰します。反対に円高になると、今度は輸出品の価値が高くなってしまうため、日本製品の外国での売上が減少します。

このような事態に陥ると、国民の生活が不安定になります。そこで為替介入を行うことで、通貨の価値を少しでも戻し、国の経済を安定させるのです。

為替介入のメリット・デメリット

為替介入をすることで生じる大まかなメリットとデメリットは、以下のとおりです。

  • メリット:経済状況の立て直しを図ることができる
  • デメリット:目的と反対の方向に作用すると、大きな損が生まれる

それぞれ解説します。

メリット:経済状況の立て直しを図ることができる

為替介入のメリットは、「経済状況の立て直しを図ることができること」です。

急激な円高と円安を解消に導くことで、経済状況が安定に向かいます。

デメリット:目的と反対の方向に作用すると、大きな損が生まれる

為替介入のデメリットは、「目的と反対の方向に作用すると、大きな損が生まれる」ことです。

仮に、ドル高・円安を正すために、ドル売り・円買いの為替介入を行った後、もしアメリカがドル金利を上げて、ドル価格がさらに上昇したらどうでしょうか。ドル高が進むので、円買いの意味がほとんどなくなってしまいます。

外国為替市場は他国の経済状況からも影響を受けるため、上記の例のような「計算外」の出来事も起きる可能性があります。

補足:日銀がなかなか為替介入をしない理由

日銀が為替介入に踏み切らない理由については、以下の2つが考えられます。

  1. 米国債券を売らなければならないため
  2. アメリカの反発を食らう可能性があるため

それぞれについて解説します。

理由①:米国債券を売らなければならないため

日本に準備されている外貨は、ほとんどが証券として運用されています。また、この証券の中には米国債券が入っています。

為替介入をするためにはこれらの証券を売り、円を買わないといけません。しかし米国債を売るとドル金利が増加するため、投資家によって円キャリートレード(低金利の円を調達し、それを使って高金利のドルを購入することで、金利差で利益を得る手法)が行われます。

その結果、円が外国に流出するため、円安を正そうとしたはずが円安が進んでしまうのです。円キャリートレードについては、以下の記事で解説しています。

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理由②:アメリカの反発を食らう可能性があるため

アメリカにとっては、ドル高・円安は好ましい状況です。

それは、現在アメリカがインフレにあり、国内でのドル流通量が増加しているため、ドル高によって輸入品の価格が下がることでドルを外国に流通させ、国内の通貨量を抑えることができるためです。

日本が円安を直すためにドルを売り円を買えば、ある意味でアメリカに真っ向から歯向かうことになります。日本の置かれた立場としては、非常に困難な選択であると言えます。

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