『縁の下の力持ち(えんのしたのちからもち)』の意味【由来・使い方・類語・英語表現も解説】

「縁の下の力持ち」の意味と使い方コロナ渦のおうち時間に欠かせない存在が、テレビ番組やドラマ、映画などのエンタメ。エンタメ作品の主役は、出演している俳優や女優、タレント、アーティストです。

しかし、すべての作品や番組は、彼らの力だけでは完成しません。ユーザーの目に直接触れない、監督や脚本家など多くのスタッフに支えられて初めて完成します。まさに「縁の下の力持ち」です。

「縁の下の力持ち」の意味は、「人目につかないところで、他人を支えるために努力や苦労をすること」です。

この記事では「縁の下の力持ち」の意味はもちろん、由来や使い方、類語、英語表現まで詳しく解説していきます。

目次

「縁の下の力持ち」の意味

縁の下の力持ち

読み:えんのしたのちからもち

意味:人目につかないところで、他人を支えるために努力や苦労をすること

先述した通り、「縁の下の力持ち」の意味は「人目につかないところで、他人を支えるために努力や苦労をすること」です。

「縁の下の力持ち」は使い方に注意が必要

「縁の下の力持ち」は、

  1. 就職や転職活動などの自己PR
  2. プロジェクト成功などの大きな功績の功労者を褒めるとき

といったシーンで使います。

一方で、上司など目上の人に対して使うと失礼になるので、注意してください。

「縁の下の力持ち」の由来

「縁の下の力持ち」の由来は、大阪の四天王寺で行われている「縁の下の舞といわれています。

四天王寺は、聖徳太子建立七大寺(しょうとくたいしこんりゅうしちだいじ※1)のひとつで、日本仏法最初の官寺(かんじ※2)といわれています。

本尊(※3)は救世観世音菩薩(ぐぜかんぜぼさつ)、「四天王寺式伽藍配置(してんのうじしきがらんはいち)」という日本で最も古い建築様式をとっています。1945年(昭和20年)の大阪大空襲で一部を残して全焼しましたが、戦後再建されました。

四天王寺では、陰暦3月2日に経供養という法会(※4)が開催され、「縁の下の舞」が披露されます。この舞は昭和40年代までは非公開だったため、日々の練習の成果が観客の目に触れることはありませんでした。

この様子から「縁の下の力持ち」ということわざができたといわれています。

※1:聖徳太子が建立したと伝承されている7つの寺院の総称のこと

※2:国から監督される代わりに、寺を維持するための費用を支給されていた寺院のこと

※3:仏教寺院や仏壇において、最も大切にされる仏像のこと。経典や掛け軸、仏塔などのことも指す。

※4:仏法を説いたり、供養を行うための僧侶などの集まり、儀式のこと。

「縁の下の力持ち」の使い方と例文

「縁の下の力持ち」は、目立たないけれど重要な役割を果たしている人に対して使います。

例えば、人目に触れずにプロジェクトの成功へ貢献している人を褒めるときに使用します。また、就職や転職活動の自己PRにも使用できます。

例文1.うちの会社にとって「縁の下の力持ち」というべきはエンジニアだろう。クライアントの目には触れないが、サービスを通して彼らの事業に貢献しているのだから。

例文2.いつもは忘れがちだが、企業の「縁の下の力持ち」は管理部署だ。

例文3.花形部署よりも、「縁の下の力持ち」として会社に貢献できる管理部署のほうが性に合っている。

例文4.この大型プロジェクトが成功したのも、エンジニアのみなさんのおかげだ。まさに「縁の下の力持ち」だ。

例文5.私は学生時代、スポーツ部のマネージャーをしていました。プレイヤーが実力を発揮できるように日々支える仕事はとても大変でしたが、大きなやりがいと大きな達成感を感じることができました。この経験から社会人としても、「縁の下の力持ち」として会社に貢献していきたいと思っています。

「縁の下の力持ち」の類語

「縁の下の力持ち」の類語を2つ紹介します。

  1. 内助の功
  2. 陰の立役者

①内助の功(ないじょのこう)

「内助の功」の意味は、「陰(家庭内)で献身的に夫を支える妻の功績のこと」です。

「内助」の意味は、「内部から援助すること、妻が家庭内で夫に働きかけること」です。「功」は「労力を尽くして得た成功や手柄、功績」を意味します。

例文1.「内助の功」というように、最年少で部長になれたのは、ひとえに妻の支えがあったからです。

例文2.結婚してから調子いいね。これも「内助の功」、奥さんのおかげじゃない?

例文3.「内助の功」というだろう。彼は本当にいい奥さんにめぐり会えたみたいだね。

②陰の立役者(かげのたてやくしゃ)

「陰の立役者」の意味は、「物事を達成する上で、目立たないが重要な役割を果たす人物のこと」です。

「立役者」は、「物事を成し遂げるために重要な役割を果たす人物」を意味します。

例文1.今回のプロジェクト成功は、営業部や宣伝部だけの功績ではない。エンジニアのみんなが「陰の立役者」として貢献してくれたからだ。

例文2.「陰の立役者」というだろう。花形部署だけではプロジェクトは成功しないんだよ。

例文3.「陰の立役者」というように、管理部署は企業にとって重要な役割を果たす組織だ。

「縁の下の力持ち」の英語表現

「縁の下の力持ち」の英語表現を3つ紹介します。

  1. backseat player
  2. power behind the scene
  3. unsung hero

①backseat player

「縁の下の力持ち」の英語表現のひとつめは、「backseat player」です。「縁の下の力持ち」以外に、「控え選手」や「脇役」といった意味でも使用します。

  • backseat:(名詞)目立たない位置
  • player:(名詞)役者、選手

の単語で構成されています。

②power behind the scene

「縁の下の力持ち」の英語表現のふたつめは、「power behind the scene」です。

  • power:(不可算名詞)力
  • behind:(前置詞)陰で、隠れて
  • the scene:(可算名詞)舞台

の単語で構成されています。

③unsung hero

「縁の下の力持ち」の英語表現の3つめは、「unsung hero」です。直訳は「詩歌に歌われないヒーロー」で、意訳は「縁の下の力持ち」のほかに「陰の立役者」があります。

  • unsung:脚光を浴びていない、詩歌に歌われない
  • hero:英雄

の単語で構成されています。

まとめ

企業はいろいろな部署や部門が支え合って成り立っています。営業や宣伝、企画など目立つ部署もあれば、クライアントの目には触れない技術開発の部署や管理部署もあります。

後者の部署は、目立たずに企業活動をサポートする、まさに「縁の下の力持ち」です。

プロジェクト成功など大きな結果を残せたときは、ぜひ「縁の下の力持ち」の存在を思い出してくださいね。

①「縁の下の力持ち」の意味

・人目につかないところで、他人を支えるために努力や苦労をすること

②「縁の下の力持ち」の由来

・大阪の四天王寺で行われている「縁の下の舞」から

③「縁の下の力持ち」の使い方と例文

・うちの会社にとって「縁の下の力持ち」というべきはエンジニアだろう。クライアントの目には触れないが、サービスを通して彼らの事業に貢献しているのだから。

・いつもは忘れがちだが、企業の「縁の下の力持ち」は管理部署だ。

・花形部署よりも、「縁の下の力持ち」として会社に貢献できる管理部署のほうが性に合っている。など

④「縁の下の力持ち」の類語

・「内助の功」

・「陰の立役者」

「縁の下の力持ち」の英語表現

・「backseat player」

・「power behind the scene」

・「unsung hero」

目次
閉じる