『エスカレーション(escalation)』の意味【英語表現・使い方・言い換え表現・関連語】

ビジネスシーンでよく目にする言葉に、「エスカレーション」があります。

「エスカレーション」とは、ビジネスシーンでは「業務における下位者が自らで対応しきれないレベルの事案が発生した際に、上位者に状況を報告・対応を引き継ぐこと」という意味です。

「エスカレーション」は、英単語をそのままカタカナで表現した用語です。ビジネス用語としての意味と合わせて英語表現も覚えておくと、ビジネスシーンでさらに役立つはずです。

この記事では「エスカレーション」の意味、英語表現、使い方、反対語、関連語をわかりやすく解説していきます。

目次

「エスカレーション」の意味

エスカレーション

英語表記:escalation

意味:業務における下位者が自らで対応しきれないレベルの事案が発生した際に、上位者に状況を報告・対応を引き継ぐこと

先述した通り、「エスカレーション」の意味は「業務における下位者が自らで対応しきれないレベルの事案が発生した際に、上位者に状況を報告・対応を引き継ぐこと」です。

「エスカレーション」の具体的なアクションとしては、「現場対応中に不測の事態が起きたため、チーム長に状況を報告して対応を委ねる」などが考えられます。また、「上司に相談して判断を仰ぐ・相談すること」もエスカレーションの行為とされています。

「エスカレーション」の業界別の意味

「エスカレーション」は、ビジネスシーン全般で広く使用される用語ですが、業界によっては少し異なる意味で使用されることもあります。

  1. コールセンターにおける「エスカレーション」
  2. オペレータ業務(システムやサーバー関連)における「エスカレーション」
  3. 建設業界など一部業界における「エスカレーション」

①コールセンターにおける「エスカレーション」

コールセンターにおける「エスカレーション」の意味は、「オペレーターが自分で回答できない問い合わせ等を受けた場合、より詳しい人に質問すること」です。

ビジネスシーンにおける意味との違いは、「上司に対応を委ねる」のではなく、「専門的な内容をその領域に詳しい人に質問する」という点です。

②オペレータ業務(システムやサーバー関連)における「エスカレーション」

オペレータ業務(システムやサーバー関連)における「エスカレーション」の意味は、「システムの管理・運用者が、顧客にシステムの不具合などのトラブルを報告すること」です。

各システム受託業者はもしシステムに一時停止やエラーなどの不具合が起きた場合、その不具合を調査し、顧客に報告します。この行為を「エスカレーション」といいます。

③建設業界など一部業界における「エスカレーション」

建設業界など一部業界では「エスカレーション」を、「エスカレーション条項」として使用することが多くなっています。

建設業で使用される「エスカレーション条項」は、「受注している契約の価格に、資材等の費用変動を反映させる契約条項のこと」です。

物価変動という避けられない事態によって、不利益が生じないようにするために盛り込んでおくべき条項が「エスカレーション条項」です。

「エスカレーション」の使い方と例文

「エスカレーション」は、主に不測の事態やトラブルが生じたときに使用します。

例文1.今回は担当者が速やかに「エスカレーション」したことで、事態を迅速に収束させることができた。

例文2.自分で対応できない事態に遭遇した際は、無理に対応しようとせずに「エスカレーション」することを徹底してください。

例文3.今回の研修で紹介した事例は、あくまで代表的な対応例です。実際にはさまざまな問い合わせが発生しますので自分で対応できないと思った場合は、必ず「エスカレーション」してください。

例文4.先日のA社からの問い合わせについて、カスタマーサポートでは対応しきれないと判断した。先ほどエンジニアチームに「エスカレーション」し、回答を待っている状態だ。

例文5.今まで経験したことのない対応が発生したときは、必ず「エスカレーション」する、つまり上長に相談し判断を仰いでください。

「エスカレーション」の英語表現

「エスカレーション」は、英単語「escalation」をそのままカタカナで表記した用語です。「escalation」には主に2つの意味があります。

  1. (物価などの)段階的な拡大、増大、上昇、(戦争の)段階的拡大
  2. 上申(上長など上位者に自分の意見を申し述べること)

動詞は「escalate」で、自動詞としては「次第に上がる、段階的に拡大する」、他動詞としては「段階的に拡大させる、次第に上げる」を意味します。

「エスカレーション(escalation)」の反対語

「エスカレーション」の反対語は「デ・エスカレーション」、英語で「de-escalation」です。

「デ・エスカレーション」の意味は「(緊張などの)段階的縮小」です。

英語「escalation」の意味の反対で、ビジネスシーンにおける意味の反対ではありません。「上司から部下への引継ぎ」といった意味はないので注意してください。

「エスカレーション」の関連語

「エスカレーション」の関連語を2つご紹介します。

  1. エスカレーションフロー
  2. 報・連・相(ホウ・レン・ソウ)

①「エスカレーションフロー」

エスカレーションの関連語に「エスカレーションフロー」があります。

「エスカレーションフロー」の意味は、「トラブルや緊急事態が起きた際に行う、エスカレーションの流れをシステム化して記したもの」です。

「状況に応じてエスカレーションしてください」だけでは、「どんなときに・誰に・どのように報告すればいいのか」など現場で判断しづらい可能性があります。

また自分の直属の上司が不在の場合に、誰に「エスカレーション」したほうがいいのか、わからないといった事態も起こりえます。

こうした事態を防ぐため、実際にトラブルや不測の事態が起こった際にどういった流れでエスカレーションを行うのかを示す、上位者・権限者の関係図(エスカレーションフロー)を作成しておきます。

エスカレーションフローを事前に準備しておくことで、スムーズなエスカレーションを行うことが可能になるといわれています。

②「報・連・相(ホウ・レン・ソウ)」

エスカレーションと合わせておさえておきたいのが、「報・連・相」です。社会人の基本として、知られている用語です。

「報・連・相(ホウレンソウ)」の意味は、「報告・連絡・相談のこと」です。3語の頭文字を取った表現です。

「エスカレーション」は不測の事態やトラブルなど有事の際に必要な対応に対し、「報・連・相」は有事でなくとも通常業務を漏れなく円滑に進めるために必要な対応です。

あらゆるビジネスパーソンに必要とされる、頻出のビジネス用語なので「エスカレーション」とともにおさえてください。

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