『ご容赦ください』の意味と使い方【社会人の常識用語】

みなさんはビジネスシーンでのやり取りにおいて、「ご容赦ください」という一文を目にしたことはありますか?

「ご容赦ください」は、メールのやり取りの中で使われるケースが多く、普段から使っているという方もいらっしゃると思います。しかし、何気なく使っている「ご容赦ください」の正しい意味やニュアンスを理解していますでしょうか。普段から使う言葉だからこそ、よく考えてみると正しい使い方が出来ているか分からないものです。

そこで、この記事では「ご容赦ください」の意味や由来に触れながら正しい使い方についてご紹介していきたいと思います。ビジネスシーンでよく使われる表現だからこそ、正しい場面で使えるように再確認しておきましょう!

目次

「ご容赦ください」の意味

ご容赦ください

読み:ごようしゃください

意味:大目に見てほしい、どうか許してほしい

「ご容赦ください」は、「(何かの事象について)大目に見てほしい、どうか許してほしい」という意味の言葉です。何かこちらに不手際や落ち度があった時、許してほしいという気持ちを伝える時に使います。

ちなみに、容赦という言葉は、過ちや失敗を許すことや、相手の立場を考慮して手加減することを意味します。つまり、誰かを許す場合や、自分を許して欲しいという場面で使う言葉です。

「ご容赦ください」の語源・由来

「ご容赦ください」という言葉は、「容赦」という単語の前に「ご」が付いています。これは、容赦という言葉を尊敬語にしている表現です。

日本語には謙譲語や丁寧語、尊敬語などがありますが、尊敬語とは、相手を目上の方として捉え、敬う気持ちを表現する日本語です。ビジネスでは会話の中でもメールの中でも、お客様に対して尊敬語を使うことが多いと思います。

お客様に対して、容赦してほしいという気持ちを尊敬語として伝えているのが「ご容赦ください」の語源となっています。

「ご容赦ください」の使い方と例文

社会人の常識用語

「ご容赦ください」の使い方にもそれぞれの場面に沿った使い方があります。ここでは、いろいろな形の「ご容赦ください」の使い方を取り上げ、例文を通してご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

「ご容赦ください」

「ご容赦ください」の使い方ですが、使う相手は同僚や部下などにとどめておきましょう。なぜなら、「~ください」で終わる場合、相手方に対して理解してもらうのが当然のようなニュアンスとなってしまうからです。

目上の方や取引先に対しては、無礼と捉えられてしまう可能性もあります。「ご容赦ください」を場合は、使っても問題ない相手かどうかを良く考えて使いましょう。

■例文

・駐車場が満車の場合はご容赦ください。

・開封済みの商品の返品は出来かねますのでご容赦ください。

「ご容赦頂ければ~」

「ご容赦頂ければ」として使う場合は、目上の方や取引先に対しても使える表現となります。「頂ければ~」というフレーズを使うと、許してもらうことができれば嬉しいです、というニュアンスになります。

その為、相手方に対して許して欲しいというお願いとして伝わるので、失礼には当たりません。丁寧な表現なので、使い勝手が良い表現と言えるでしょう。

■例文

・メールに行き違いがあった際はどうかご容赦頂ければと思います。

・明日の会議は10分ほど遅れますので、ご容赦頂ければ幸いです。

「ご容赦のほど」

どうか許して頂きたい、というお願いが更に強調された表現が「ご容赦のほど~」です。「~のほど」とは、相手方に「~してくれるよう」という意味になります。

つまり、どうか許してくれるようにお願いをするという表現です。こちらが下手に出ている丁寧な表現となるので、目上の方や取引先に対しても問題なく使うことができます。

■例文

・スケジュールが調整できない場合はご容赦のほどよろしくお願い致します。

・道路状況により配送が遅れる場合がございます。ご容赦のほどよろしくお願い致します。

「ご容赦ください」の類語

社会人の常識用語

「ご容赦ください」と同じような場面で使われる言葉は他にもあります。類語をご紹介した上で、「ご容赦ください」との微妙な違いや正しい使い方についてご紹介します。

それぞれの違いを理解した上で、正しい場面で使えるようにしておきましょう。

「ご容赦ください」の類語①:ご了承ください

「ご了承ください」とは、相手方に対して了解を得る、理解を得る時によく使われる表現です。相手方にこちらの事情を分かってもらうという点において、ご容赦くださいと似た意味になります。

しかし、「了承」は相手方の理解を得ることですが、「容赦」は相手方にこちらの行い(不備など)を許してもらうというニュアンスになります。また、「ご了承ください」という場合、事前に相手方に納得してもらうというニュアンスになります。

「ご容赦ください」は事前ではなく、もう決定した事項や過ぎてしまった事に使う言葉なので、その点においても意味が異なります。

■例文

・満席時は2時間制とさせて頂きますので、ご了承ください。

・お返事にお時間いただく場合がございますのでご了承ください。

「ご容赦ください」の類語②:ご理解ください

「ご理解ください」とは相手方に対して、こちらの事情を理解して下さいね、という理解を求めるときに使うフレーズです。
「ご容赦ください」は謝罪の意味も含まれていますが、「ご理解ください」は謝罪の意味は含まれていない点において異なります。

しかし、「ご理解ください」というフレーズの使い方については注意が必要で、相手方に対してこちらの事情を理解をしてもらうのが前提のニュアンスになります。その為、目上の方や取引先に対して使う言葉としてはふさわしくなく、部下や同僚などの範囲で使うのが好ましいでしょう。

■例文

・翌週から一部のサービスが使用できなくなりますのでご理解ください。

・出張の為、ご連絡が出来ないかもしれません。ご理解ください。

「ご容赦ください」の類語③:ご承知おきください

「ご承知おきください」とは相手方に対して、こちらの事情をあらかじめ知っておいてくださいね、という時に使われるフレーズです。「ご容赦ください」はこちらの非をお詫びする表現なので、「ご承知おきください」とは使うシーンが異なってきます。

「ご承知おきください」も使い方には要注意で、目上の方や取引先に対しては適さない表現となります。こちらの事情をあらかじめ知っておいてくださいね、という相手の協力を得られるのが前提となっているニュアンスがあるからです。

先述した「ご理解ください」と同様に部下や同僚など比較的、距離感が理解相手に使うのが好ましいでしょう。

■例文

・チケットを紛失した場合は、再発行をしておりません。ご承知おきください。

・天候によっては開催が中止となる場合がありますので、ご承知おきください。

まとめ

この記事では「ご容赦ください」の意味と正しい使い方をご紹介いたしました。

まとめると、ご容赦くださいは、

  • 相手方に許してもらう、謝罪するなどの意味がある
  • 目上の方や取引先に対して使うには適さない
  • 似たような言葉には「ご了承ください」「ご理解ください」「ご承知おきください」などがある

という事が理解頂けたかと思います。

ビジネスにおいて、正しい日本語を使えているかどうかは基本中の基本です。正しい日本語をマスターしてデキるビジネスパーソンを目指していきましょう。

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