【稼ぐに追いつく貧乏なし】の意味と由来【使い方も例文で解説】

稼ぐに追いつく貧乏なしの意味と使い方

「稼ぐに追いつく貧乏なし(かせぐにおいつくびんぼうなし)」ということわざを知っていますか?

日本を代表するドラマ・映画シリーズ『男はつらいよ』の主人公・寅さんのセリフで聞いたことがある方もいるかもしれません。

結論から言うと、稼ぐに追いつく貧乏なしの意味は「常に精を出して一生懸命働けば、貧乏に苦しむことはないこと」です。

この記事では、「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味はもちろん、その由来や使い方まで詳しく解説していきます。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」は、フリーランスや起業家、そして会社員に至るまで幅広いビジネスパーソンに役立つ言葉です。「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味だけでなく、類義語や対義語、そして英語表現も合わせて覚えておきましょう。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味

「稼ぐに追いつく貧乏なし」

読み:かせぐにおいつくびんぼうなし

意味:常に精を出して一生懸命働けば、貧乏に苦しむことはないということ

先述した通り、「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味は「常に精を出して一生懸命働けば、貧乏に苦しむことはないこと」です。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」を分解して考えると、

  • 稼ぐ:遊びなど他のことをする暇がないほど、仕事に対して真面目に一生懸命働く
  • 追いつく貧乏なし:貧乏になる(稼ぐ量が多くて使い果たす、または稼いだ金を使う)ことはない

と考えられます。

また「稼ぐに追いつく貧乏なし」には、お金がない、貧乏だと悩んでいる暇があるなら、働くべきだという意味で使われることがあります。さらにこの意味から転じて、働かないと貧乏になり苦労するから、人は働かなくてはならないという意味の表現としても使われます。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の由来は貧乏神?

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の由来を考える上でのキーワードは「貧乏神」です。古くから「貧乏になる」ということは、「貧乏神に憑かれている」といると考えられていました。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」は稼ぐために常に動いていると、貧乏神に追いつかれることはない、つまり貧乏になることはないとされました。

つまり「稼ぐに追いつく貧乏なし」は、古来より人々が抱いてきた「貧乏=貧乏神に憑かれている」という概念から、人々に勤勉に働くことの重要性を説いた表現として使われてきたのです。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の例文と使い方

例文1.稼ぐに追いつく貧乏なしというように、自分の仕事に集中し真面目に働けば安定した生活を送れるだろう

例文2.稼ぐに追いつく貧乏なしというが、そもそも安い給料では目の前の生活で精いっぱいだ

例文3.一攫千金で金持ちになることを夢見る暇があったら、稼ぐに追いつく貧乏なしで地道にコツコツ働きなさい

例文4.会社員よりもフリーランスになって、稼ぐに追いつく貧乏なしの言葉の意味を身をもって実感している

例文5.異動でなかなかつらいこともあったが変わらず一所懸命取り組んだおかげで、今年も稼ぐに追いつく貧乏なしだった

「稼ぐに追いつく貧乏なし」は、「真面目」「勤勉」「コツコツ」と働くことを肯定するときに使用される表現です。

一方、不景気など真面目に働いても貧しいという理不尽な状況を説明するときにも使われることがあります。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」と寅さんとの関係

「稼ぐに追いつく貧乏なし」は、国民的ドラマ『男はつらいよ』のセリフにも使われているのを知っていますか?

『男はつらいよ』は、俳優・渥美清さん主演、山田洋次原作・脚本・監督(一部作品を除く)の日本を代表するドラマ・映画のシリーズです。

同作品では東京都葛飾区柴又を舞台に、渥美さん演じるテキ屋稼業(※)を営む寅さんを中心した人間ドラマが描かれています。

『男はつらいよ』純情篇の寅さんのセリフに

「労働者諸君! 稼ぐに追いつく貧乏なし、か? 結構、結構!!」

があります。忙しく働く自分の知人が自分の話を聞かない様子に機嫌が悪くなった寅さんが、その会社の職工たちに放った少し嫌みを効かせた一言です。

劇中で描かれている時代は昭和45年(1970年)。日本が高度経済成長を経て、資本主義を突き進みながら、人々が豊かさを求めている、そんな時代背景を反映したセリフといえます。

「稼ぐに追いつく貧乏なしとむやみやたらに骨を折ること」は事業失敗のもと!?

勤勉に働くことの重要性を説く「稼ぐに追いつく貧乏なし」ですが、実は事業経営に関してはマイナスの文脈で使用されている例があります。

東京・大森にある仕出し弁当を手がける「玉子屋」の社長だった菅原勇継さん(同社の現社長は 2代目の菅原勇一郎さん)が同社の成功の秘訣として「事業に失敗するコツ12か条」を提唱しています。

その12か条の中に

5条:稼ぐに追いつく貧乏なしとむやみやたらと骨を折ること。

とあります。

ここでは「稼ぐに追いつく貧乏なし」は「仕事に精を出してむやみやたらと頑張りすぎることが事業失敗を招く」という意味で使われています。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」は自分を奮いたたせり、戒めるときに使う言葉であり、ビジネスにそのまま使うのは危険かもしれませんね。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の類語

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の類語を3つ紹介します。

  1. 稼げば身立つ
  2. 鍬をかたげた乞食は来ない
  3. 辛抱に追いつく貧乏なし

1.稼げば身立つ(かせげばみたつ)

稼げば身立つの意味は「働いて稼いでいれば(一生懸命働いていれば)貧乏に苦しむことはないこと」です。

稼ぐことは身を立てる、つまり出世することにつながるということから、先述の意味になっています。

例文1.稼げば身立つというだろう、怠けず誠心誠意働きなさい

例文2.これまであきらめずに働いていたから今こうして安定した生活が送れている。まさに稼げば身立つということを実感している。

例文3.楽して稼げる仕事などない。稼げば身立つ、目の前の仕事にまい進することが重要だ

2.鍬をかたげた乞食は来ない(くわをかたげたこじきはこない)

鍬をかたげた乞食は来ないの意味は「働くものは貧乏になることはないこと」です。

鍬をかたげた乞食は来ないは、鍬(農作業で使う道具)をかつぐのは田畑で働くためであり、働かずに物乞いして生活する乞食(食べ物や金銭を他人から恵んでもらって生活する人のこと)は鍬をかつぐ来ることはないという意味から先述の意味になっています。

例文1.鍬をかたげた乞食は来ない、働いていれば贅沢ではないが安定した生活ができるだろう

例文2.鍬をかたげた乞食は来ないというが、生きていくために何があっても働いていることが重要だ。

例文3.また仕事辞めたの?鍬をかたげた乞食は来ないというのだから、早く次の仕事を探してしっかり働いて!

3.辛抱に追いつく貧乏なし(しんぼうにおいつくびんぼうはなし)

辛抱に追いつく貧乏なしの意味は「一生懸命働けば貧乏に苦しむことはないこと」です。

辛抱に追いつく貧乏なしは、途中で諦めたりせず辛抱して働き続ければ貧乏に苦しむことはないということから先述の意味になっています。

例文1.辛抱に追いつく貧乏なしというように、たとえ仕事がうまくいかなくても辛抱して働いていれば生きていけるだろう

例文2.昨年は不景気だったがなんとか暮らしていけた。辛抱に追いつく貧乏なしというが辞めずに働き続けてよかった

例文3.辛抱追いつく貧乏なし、辛くても踏ん張ることが重要だ

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の対義語(反対語)

社会人の常識用語

ここでは「稼ぐに追いつく貧乏なし」の対義語を紹介します。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味は「常に精を出して一生懸命働けば、貧乏に苦しむことはないということ」でした。つまり「稼ぐに追いつく貧乏なし」の反対の意味は「どんなに働いても貧乏から抜け出すことはできない」となります。

先述した意味を持つ「稼ぐに追いつく貧乏なし」の対義語は、「稼ぐに追いつく貧乏神」です。意味は「どんなに働いても貧乏から抜け出すことはできないということ」です。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の由来のキーワードは「貧乏神」でした。「稼ぐに追いつく貧乏神」も同様に「貧乏=貧乏神に憑かれている」という考え方からきています。

「稼ぐに追いつく貧乏神」は、働いて稼ぐスピードより貧乏神が憑いてくるスピードのが速いという例えを表現したことわざです。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」の英語表現

類義語

「稼ぐに追いつく貧乏なし」には英語の定型表見がいくつかあります。

その中でも最も使われる定型文は

Poverty is a stranger to industry.:貧乏は勤勉を知らない(と無縁のものだ)

です。

この定型文では、名詞は「poverty:貧困」「industry:勤勉」、イディオム(熟語表現)は
「be a stranger to:~を知らない」で構成されています。

日本語訳としては「稼ぐに追いつく貧乏なし」となります。

その他の英語表現

「稼ぐに追いつく貧乏なし」にはほかにも英語の定型文があります。

No poverty can overtake industry.:稼ぐに追いつく貧乏なし

No poverty catch up with industry.:勤勉に追いつける貧乏なし

A hard worker will never know poverty.:働き者(a hard worker)は決して貧乏を知らない

こちらの表現も合わせて覚えておくと、ビジネスシーンでも役立つこと間違いなしです。

まとめ

「稼ぐに追いつく貧乏なし」は幅広いビジネスパーソンに役立つことわざです。

仕事でつらいことがあったり、くじけそうになったとき、自分を奮い立たせたり戒めるためのセルフコントロールの言葉として活用してみてください。座右の銘に設定するのもおすすめです。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」は、働くあなたを助けてくれる言葉となるはずです。積極的に取り入れてみてくださいね。

①「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味

・常に精を出して一生懸命働けば、貧乏に苦しむことはないということ

②「稼ぐに追いつく貧乏なし」の語源・由来

・「貧乏=貧乏神に憑かれている」という考え方から

③「稼ぐに追いつく貧乏なし」の例文と使い方

・稼ぐに追いつく貧乏なしというように、自分の仕事に集中し真面目に働けば安定した生活を送れるだろう

・稼ぐに追いつく貧乏なしというが、そもそも安い給料では目の前の生活で精いっぱいだ

・一攫千金で金持ちになることを夢見る暇があったら、稼ぐに追いつく貧乏なしで地道にコツコツ働きなさい など

④「稼ぐに追いつく貧乏なし」の類語

・稼げば身立つ

・鍬をかたげた乞食は来ない

・辛抱に追いつく貧乏なし

⑤「稼ぐに追いつく貧乏なし」の対義語(反対語)

・「稼ぐに追いつく貧乏神」

⑥「稼ぐに追いつく貧乏なし」の英語表現

・Poverty is stranger to industry.

・No poverty can overtake industry.

・No poverty catch up with industry.

・A hard worker will never know poverty.