捲土重来(けんどちょうらい)の意味と由来【使い方も例文で解説】

捲土重来の意味と由来

捲土重来の意味は、「一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すこと」です。あまり馴染みのない言葉だと思いますが、ビジネスシーンや新聞、また選挙など、さまざまなシーンで見かけます。

捲土重来は有名な四字熟語であり、故事成語。大人の教養として、しっかり理解をして正しい意味で使えるようにしましょう。

目次

捲土重来の意味

捲土重来

読み:けんどちょうらい

意味:一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すこと

先述したとおり、捲土重来の意味は「一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すこと」です。失敗したり、負けたときに、ポジティブな意味として使われます。

捲土重来を分解すると、

  • 捲土:土を捲る(まくる)
  • 重来:再びやって来る

このようになります。このように分解して考えると、非常にわかりやすいですね。

捲土重来の読み間違いに注意!

「捲土重来(けんどちょうらい)」を読み間違えている人は多くいます。

「捲土」を「ねんど」と読み間違えたり、「重来」を「じゅうらい」と読み間違えたり。

捲土重来は、「けんどちょうらい」としか読まないので注意しましょう。

捲土重来の由来

題鳥江亭

出典:関西吟詩文化協会

捲土重来は、唐の詩人「牧之(ぼくし)」による詩『題鳥江亭』の一説「巻土重來 未だ知る可からず」からできた言葉です。

垓下(がいか)の戦いで、項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)が天下を争うも、項羽は敗戦し自決してしまいました。

そんな項羽をしのび、牧之が烏江亭(うちょうてい)に訪れたときに作ったのが『題鳥江亭』です。敗戦し自害した項羽に対して、牧之は「江東の子弟 才俊多し巻土重來 未だ知る可からず(江東には優秀な若者が多い。項羽がもう一度巻き返していたならば、歴史はどうなっていたかわからない。)」と記しており、そこから捲土重来という言葉が生まれました。

題鳥江亭の原文

題烏江亭

勝敗兵家事不期

包羞忍恥是男兒

江東子弟多才俊

捲土重來未可知

題鳥江亭の現代語訳

烏江亭にて

戦いの勝敗は兵家という専門家でもわからないものだ。

男子たるもの大義の前には恥をしのんでこそ。

江東には優秀な若者が多い。

項羽がもう一度巻き返していたならば、歴史はどうなっていたかわからない。

おすすめの一冊

項羽と劉邦

「捲土重来」の由来となった、項羽と劉邦の戦いを描いた歴史小説です。この時代の戦いの激しさやリーダーの苦悩などを味わえるので、ぜひ手にとってみてください。

捲土重来の例文と使い方

例文1.仕事の失敗は捲土重来だ!仕事で取り返すしかない

例文2.捲土重来と言われるように、今年は仕事に全力で取り組む

例文3.何度も負けた相手だが、捲土重来を期して何度も立ち向かう

例文4.捲土重来を心に刻み、なんとか今年の売上をV字回復させた

例文5.捲土重来を期して、今年の選挙はなんとしてでも勝つ

捲土重来は、「捲土重来に期して」と使われることが多いです。「期して」の意味がわかりにくい場合、「捲土重来を念頭に」「捲土重来を心に刻んで」と考えるとわかりやすいですよ。

「捲土重来を果たす」も覚えておこう!

捲土重来を果たすもよく使われます。

捲土重来は、「一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すこと」という意味でしたね。捲土重来を果たすは、言葉の通り、捲土重来を果たすことができたということです。

つまり、「一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すことに成功し、復活した」という意味です。こちらもよく使われる表現なので合わせて覚えておきましょう。

選挙でもよく使われる!?

捲土重来は、選挙でもよく使われます。

前回の選挙で落選した議員が、「次の選挙は捲土重来を期す」と言うことはよくあります。選挙演説などでも「捲土重来」は使われるので、知っておくと便利ですね。

捲土重来の類語

社会人の常識用語

捲土重来は、「一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すこと」です。簡単に言うと、マイナスからプラスに転じる様子を表しているので、それに近い言葉は数多くあります。

  1. 臥薪嘗胆
  2. 起死回生
  3. 巻き返し
  4. 失地回復
  5. リベンジ
  6. 反撃
  7. 反転攻勢

捲土重来の類語①:臥薪嘗胆(がしんしょうたん)

先述したとおり、捲土重来の意味は「一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すこと」です。失敗したり、負けたときに、ポジティブな意味として使われます。

臥薪嘗胆は、「苦心・苦労を重ねる」という意味です。

「負けた相手に敵を討とうして、苦労や苦心を重ねる」という意味としても使われますが、「将来の成功を期して苦労に耐える」という意味で使われます。

例文1.今は辛いけど、臥薪嘗胆と思い踏ん張ろう

例文2.第一志望に受かるために臥薪嘗胆の気持ちで勉強しよう

例文3.臥薪嘗胆の日々を経て第一志望に合格した

捲土重来の類語②:起死回生

起死回生は、「危機的な状況から一気によい方向に立て直す」という意味です。

本来の意味は、死にかかった人を生き返らす意味として、医術の優れた様を表す言葉でしたが、起死回生はさまざまシーンで使うことができます。

例文1.売上が急激に下がったため、起死回生の策を講じた

例文2.手遅れになる前に起死回生を図る

例文3.ここに来て、起死回生の策を思いついた

捲土重来の類語③:巻き返し

巻き返しは、「劣勢から、態勢を立て直して反撃すること」という意味です。

「巻き返しに出る」や「巻き返しを図る」のように使われます。

例文1.遅れをとったが、ここから巻き返しを図る

例文2.相手が巻き返しに出てきた

例文3.ここで巻き返しできなかったらまずい

捲土重来の類語④:失地回復

失地回復(しっちかいふく)は、「奪われた土地を取り返すこと」という意味です。「軍隊により失地回復に成功した」のように使われます。

また、「失われた地位や勢力などを取り戻す」という意味もあります。例えば、「前回の総選挙では惨敗したが、今回は失地回復を目指す」のように使われます。

例文1.前回の総選挙では惨敗したが、今回は失地回復を目指す

例文2.ここで踏ん張ることができれば失地回復を果たすことができる

例文3.失地回復するのは並大抵のことではない

捲土重来の類語⑤:リベンジ

リベンジは、日常的に使われるカタカタ言葉です。

意味は、「復讐する、報復する、仇討ち」です。「一度、負けた相手にリベンジする」のように使われます。

例文1.昨年負けたチームにようやくリベンジすることができた

例文2.ここでリベンジしないでいつするんだ

例文3.リベンジに燃え尽きるのもよくない

捲土重来の類語⑥:反撃

反撃も、よく使われますね。

意味はご存知の通り、「相手の攻撃に対して攻め返すこと」です。「反撃に転じる」や「反撃されて浮足立つ」のように使われます。

例文1.相手側が反撃に打って出てきた

例文2.反撃される前に叩き潰してしまう

例文3.相手側が反撃に転じ始めた

捲土重来の類語⑦:反転攻勢

反転攻勢(はんてんこうせい)は、言葉のとおり「守備から攻めに転じる」という意味です。「沈黙を破り、反転攻勢に出る」のように使われます。

例文1.反転攻勢のための営業戦略を考える

例文2.ゴーン氏が沈黙を破り、反転攻勢に出た

例文3.反転攻勢の切り札を考える

捲土重来の対義語

対義

捲土重来は、「一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すこと」という意味でしたね。つまり、捲土重来の対義語は、「二度と復活することができない」となります。

ここでは、捲土重来の対義語を3つ紹介します。

  1. 再起不能
  2. 一蹶不振
  3. 戦意喪失

捲土重来の対義語①:再起不能

再起不能は、「立ち直って元の勢いを取り返すことができない」という意味です。

例文1.大怪我をして再起不能となった

例文2.会社は借金により再起不能になった

例文3.再起不能と言われていたが大復活を果たした

捲土重来の対義語②:一蹶不振(いっけつふしん)

一蹶不振は、「一度の失敗で挫折し、二度と立ち上がれなくなる」という意味です。

例文1.受験に落ちて一蹶不振になった

例文2.一度の失敗で一蹶不振になるほどやわではない

例文3.彼は一蹶不振と言われていたがなんとか立ち直った

捲土重来の対義語③:戦意喪失

戦意喪失は、「戦う気力をなくすこと」「物事に立ち向かう意思が挫けること」という意味です。

例文1.彼がチームから抜けて戦意喪失となった

例文2.相手のキーマンを潰して戦意喪失を狙う

例文3.実力の違いに戦意喪失した

捲土重来の英語表現

連絡を取る

捲土重来を英語で表現する場合、

  • make a comeback(復活する)
  • regain lost ground(失地回復する)
  • regain one’s strength(強さを取り戻す)

を使います。

例文1.The player made a comeback.(そのプレイヤーは再起を果たした)

例文2.The company have to regain lost ground.(その会社は失地回復するべきである)

例文3.After being defeated in a battle, one has regained his strength and fights back.(敗戦後、再び勢力を取り戻して反撃に転じる)

まとめ

捲土重来の意味や使い方を理解できたでしょうか?

捲土重来は、日常的によく使う言葉ではありませんが、知っておくと便利な言葉です。捲土重来を座右の銘としている人もいるので、何かに失敗して落ち込んだときには思い出したい言葉ですね。

①捲土重来の意味

一度失敗した人が非常な勢いで盛り返すこと

②捲土重来の由来

唐の詩人「牧之(ぼくし)」による詩『題鳥江亭』の一説「巻土重來 未だ知る可からず」からできた言葉

③捲土重来の例文と使い方

・捲土重来を期する

・捲土重来を果たす

・捲土重来を心に刻み

④捲土重来の類語

・臥薪嘗胆

・起死回生

・巻き返し

・失地回復

・リベンジ

・反撃

・反転攻勢

⑤捲土重来の対義語

・再起不能

・一蹶不振

・戦意喪失

⑥捲土重来の英語表現

・make a comeback(復活する)

・regain lost ground(失地回復する)

・regain one’s strength(強さを取り戻す)

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