『他山の石(たざんのいし)』の意味【例文と使い方も解説】

他山の石の意味と使い方

「他山の石(たざんのいし)」という故事成語を知っていますか?

結論から言うと「他山の石」の意味は「自分の人格を磨くために役立つ他人の誤った言動のこと」です。

この記事では「他山の石」の意味はもちろん、その由来や使い方、そして類語、対義語まで詳しく解説していきます。「他山の石」の意味や使い方だけでなく、類語や英語表現も合わせて覚えて、日常生活からビジネスシーンまであらゆる場面で活用してくださいね。

「他山の石」の意味

「他山の石」

読み:たざんのいし

意味:自分の人格を磨くために役立つ他人の誤った言動のこと

先述した通り、「他山の石」の意味は「自分の人格を磨くために役立つ他人の誤った言動のこと」です。簡単に言うと、「他人の誤った言動も自分の行いの参考になる」ということです。

「自分の人格を磨くために役立つ、他人の良い言動のこと」のように誤った意味で覚えている方がいるので注意しましょう。意味は反対です。

「他山の石」と混同しやすい「対岸の火事(たいがんのかじ)」

「他山の石」と混同しやすい故事成語に「対岸の火事(たいがんのかじ)」があります。「対岸の火事」の意味は「他人にとって重要な出来事でも、自分にはまったく関係ないこと」です。

それぞれ「他山」や「対岸」といった『自分以外の他人』がキーワードとなっているため、混同されやすい故事成語です。

「他山の石」の由来は「他山の石以て玉を攻むべし」

詩経

出典:Wikipedia

「他山の石」は、中国最古の詩集『詩経』に由来しています。

『詩経』の小雅・鶴鳴(しょうが・かくめい/本でいう章のようなもの)に「他山の石以て玉を攻むべし」という一節があります。

「他山の石以て玉を攻むべし」の意味は「よその山から出た粗悪(質の悪い)な石でも、自分の宝石を磨くために利用できる」です。

この意味から転じて「他山の石」は「自分の人格を磨くために役立つ他人の誤った言動のこと」という意味で使わるようになりました。

「他山の石」の例文と使い方

例文1.彼の失敗を見て、他山の石とする。

例文2.他人の失敗を笑って終わらせるのではなく、他山の石として自分を磨くのに役立てるべきだ。

例文3.A社の新事業の失敗を他山の石としながら、弊社の新事業にも活かしていこう。

例文4.今回のコンペでの競合他社への批評を他山の石として、我々のコンペに役立るべきだった。

例文5.批評や批判は誰にでもできる。大切なのはそれを他山の石として自己研鑽に役立てることだ。

「他山の石」は他人の失敗を目にしたときに、その失敗をただ見過ごすのではなく、「その失敗から学ぼう」「失敗だとわかっていることを繰り返さない」という姿勢を表したいときに使います。

目上の人に使うのはNG!「他山の石」の誤った使い方

「他山の石」の意味は「自分の人格を磨くために役立つ他人の誤った言動のこと」です。そのため「他山の石」を目上の人に使わないほうが良いです。

「他山の石」を誤った意味で使用すると以下のような使い方になります。

誤った使い方

部長のアドバイスを他山の石として、これからの営業活動に取り組んでいきます。

上記のような誤用は、「他山の石」の意味を「自分の人格を磨くために役立つ、他人の良い言動のこと」と勘違いしている場合に起こります。

「他山の石」を目上の人に使うことは大変失礼になりますので、気をつけましょう。

「他山の石」の類語

社会人の常識用語

「他山の石」の類語を6つご紹介します。

  1. 反面教師
  2. 人の振り見て我が振り直せ
  3. 上手は下手の手本、下手は上手の手本
  4. 人こそ人の鏡
  5. 前車の覆るは後車の戒め
  6. 殷鑑遠からず

1.反面教師

「反面教師」の意味は「悪い意味で手本・見本であり、それを見ることでそうなってはいけないという教えになる人・物事」です。

「他山の石」の類語として、必ずおさえておきたい四字熟語です。中国の政治家である毛沢東の言葉が由来といわれています。

例文1.仕事が忙しすぎてストレスフルな彼女を反面教師にして、私はオンオフが充実できるような企業へ転職することにした。

例文2.私は兄に憧れその背中を追いかけていたが、彼の失敗に関しては反面教師にしていた。

例文3.家庭を顧みない父を反面教師に、僕は夫婦や子育ての時間を取ってしっかり向き合っていこうと思っている。

2.人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ)

「人の振り見て我が振り直せ」の意味は「他人の失敗を見て、自分の姿勢・行動を振り返り直すこと」です。

他人の失敗から学ぶという意味のことわざですが、「他人が起こす失敗は、必ず(他人と同じ程度である)自分でも起こす可能性がある」という意味合いがあります。

「人の振り見て我が振り直せ」も「反面教師」同様、「他山の石」の代表的な類語です。後述する英語表現にも登場しますので、しっかりおさえてください。

例文1.彼は無神経な言動で周りから完全に浮いている。人の振り見て我が振り直せで調子に乗らずに周りのことを考えて発言・行動しようと思う。

例文2.彼女は人のうわさや悪い口ばかり言っていると周りからの信頼を失っている。人の振り見て我が振り直せというように、私は安易にうわさ話などに首を突っ込まないようにしよう。

例文3.友人の失敗を笑っていたが、人の振り見て我が振り直せで自分も同じことをしないように気を付けよう。

3.上手は下手の手本、下手は上手の手本(じょうずはへたのてほん、へたはじょうずのてほん)

「上手は下手の手本、下手は上手の手本」の意味は「下手な人が上手な人を手本にするのは当然だが、上手な人も下手な人のやり方が参考になる場合があること」です。

「他山の石」のように失敗といった悪いことではありませんが、本来学べることがあまりないように思える下手な人からも学ぶことはあるという部分が「他山の石」と似た意味になります。

例文1.上手は下手の手本、下手は上手の手本というが、新卒研修を担当し新入社員から学ぶことも多かった。

例文2.長年講師をしているが、上手は下手の手本、下手は上手の手本というように、後輩そして生徒からも毎年多くのことを学んでいる。

例文3.経験が浅いからといって邪見に扱うのはよくない。上手は下手の手本、下手は上手の手本で、後輩や部下から得られることが必ずあるはずだ。

4.人こそ人の鏡(ひとこそひとのかがみ)

「人こそ人の鏡」の意味は「他人の言動は自分を映し出す鏡ようなものだから、他人を見て自分の言動を振り返り正す手本にしなさいということ」です。

「人こそ人の鏡」の「他人を見て参考にして自分の言動に活かす」という部分が「他山の石」と似ています。

例文1.人こそ人の鏡というけれど、歩きスマホをやってしまっている人を見ると危ないから自分はやらないようにしようと思った。

例文2.正面から見たメイクもファッションも完璧なのに、スカートに座り皺(じわ)がついてしまっている人を見ると、人こそ人の鏡で自分のスカートもトイレで確認したくなる。

例文3.他人の愚痴や文句ばかり言っている人を見ていると嫌な気分になる。でも人こそ人の鏡、自分はああならないように気を付けよう。

5.前車の覆るは後車の戒め(ぜんしゃくつがえるはこうしゃのいましめ)

「前車の覆るは後車の戒め」の意味は「先人の失敗は後の人の教訓となること」です。

「前車の覆るは後車の戒め」は前の車がひっくり返るのをみて後の車が注意するようになるという例えからきていて、古代中国の漢書が由来とされています。

自分以外の人の失敗から学ぶという部分が「他山の石」の意味と似ています。

例文1.前車の覆るは後車の戒めというが、同期が注意されていたことを私もしないように気を付けよう。

例文2.前車の覆るは後車の戒めというが、彼はしっかりと先代の失敗から学んで経営に活かしている。

例文3.私は姉が大好きだが、よく姉が母に叱られていたおかげで前車覆るは後車の戒めとしてうまく立ちまわってこれたと思っている。

6.殷鑑遠からず(いんかんとおからず)

殷鑑遠からずの意味は「自分の戒めとなる悪い見本はすぐ近くにあること。近くにいる他人の失敗を自分の戒めにすること」です。

「殷鑑遠からず」の悪い手本や失敗を自分の戒めとするという意味が「他山の石」の意味と似ています。

例文1.殷鑑遠からずで先輩がやってしまった失敗は絶対しないように心がけよう。

例文2.殷鑑遠からずで彼のあの失敗があったからこそここまで勝ち上がってくることができた。

例文3.殷鑑遠からず、真っ向から反発するとあの先輩のようになってしまうので会社ではうまく立ちまわっていくのが重要だ。

「他山の石」の英語表現

類義語

「他山の石」には直訳の英語表現はありませんが、似た表現はいくつかあります。

代表的な類似表現に

She is a good example of who not to be.

彼女はなるべきではない人物の良い例だ

→彼女を他山の石とする。

があります。

「他山の石とすべきだ」は「learn A from B」(BからAを学ぶ)を活用する

先述した表現ではなく、「~すべき」という提言表現にしたい場合は「learn A from B」(BからAを学ぶ)を使用して「他山の石とすべきだ」というニュアンスを伝えることができます。

You should learn something from his mistake.

君は彼の失敗から学ぶべきだ。

→君は彼の失敗を他山の石とすべきだ。

「他山の石」の類語「人の振り見て我が振り直せ」の定型表現を代用

「他山の石」の類語表現である「人の振り見て我が振り直せ」の定型表現を代用して表現することもあります。

One man’s fault is another’s lesson.

ある人の失敗は違う人の教訓となる(人の振り見て我が振り直せ)

→他人の失敗を他山の石とする。

まとめ

「他山の石」は日々の自己研鑽に役立つ故事成語です。

「他山の石」はシンプルな言葉ゆえにその意味を誤解している方が多い故事成語でもあります。正しい意味、さらに類語や英語表現も合わせて覚えることであらゆるシーンに役立つはずです。

①「他山の石」の意味

・自分の人格を磨くために役立つ他人の誤った言動のこと

②「他山の石」の語源・由来

・中国最古の詩集『詩経』小雅・鶴鳴(しょうが・かくめい)

③「他山の石」の例文と使い方

・彼の失敗を見て、他山の石とする

・他人の失敗を笑って終わらせるのではなく、他山の石として自分を磨くのに役立てるべきだ

・批評や批判は誰にでもできる。大切なのはそれを他山の石として自己研鑽に役立てることだ など

④「他山の石」の類語

・反面教師

・人の振り見て我が振り直せ

・上手は下手の手本、下手は上手の手本

・人こそ人の鏡

・前車の覆るは後車の戒め

・殷鑑遠からず

「他山の石」の英語表現

・She is a good example of who not to be.

・You should learn something from his mistake.

・One man’s fault is another’s lesson