相対取引とは【読み方や意味、市場取引との違い、メリット・デメリットについて解説】

目次

相対取引とは?【読み方や意味を紹介】

相対とは「あいたい」と読み、当事者同士が対等なことを意味します。

相対取引とは、「売り手と買い手が同等の立場に立ち、市場を通さないで直接取り引きすること」を表します。

例えば、株式取引においては、東京証券取引所のような取引所を通さずに取引する方法があり、「取引所外取引」とも呼ばれています。

英語では、OTC(over-the-counter:取引所を越えた)と呼ばれています。取引所を通さず、売り手が直接売る取引であるため、「店頭取引」という意味合いもあります。

市場取引と相対取引の違い

相対取引と反対の意味で使われる言葉に、市場取引があります。

市場取引と相対取引の違いは、以下のとおりです。

  • 市場取引:市場を通して取引すること
  • 相対取引:市場を通さないで取引すること

※市場取引と相対取引を比べたメリット・デメリットについては、下記の「相対取引のメリット・デメリット」で解説しています。

市場取引とは

市場取引とは、「大人数の買い手と売り手で構成される市場を通して行われる」取引です。そのため、資産の価格は、その資産に対する買い手数と売り手数の関係によって変わります。

市場取引では、一定数の買い手と売り手が取引を行うため、買い手は自分が欲しい資産を簡単に見つけることができ、売り手は自分の資産の買い手を見つけやすいことが特徴です。

相対取引とは

相対取引は、「買い手と売り手が直接行う、市場を通さない」取引です。そのため、資産の価格は、買い手と売り手同士で決めることができます。

「市場に上場されていない非上場株式などの資産」や「商品数が少ない希少な資産」を取り扱かったり、「市場に大きな影響を与えてしまうほどの大口購入」をしたりするときに使われます。

相対取引はインサイダー規制を受けるの?

相対取引では、取り扱う資産において企業未公開の重大情報がある場合、取引を行う買い手・売り手のどちらも知っているなら、インサイダー規制はかかりません。

取引においては、買い手と売り手に信頼関係がある上で、しっかりと合意形成を図ることが大切です。

インサイダー取引とは?

買い手・売り手どちらかが、企業未発表の事実を悪用し、その事実を知らない買い手・売り手から不当な利益を得ることです。

相対取引はどんな投資で行われているのか

相対取引が行われる投資は、主に以下の3つです。

  1. FX
  2. 株式
  3. 仮想通貨

①FX

国内にあるFX業者では、全般的に相対取引のみが行われています。

例えば、FX業者ごとによって為替レートやスワップポイント、取扱通貨ペアが異なるのは、業者がそれぞれ独自で設定しているためです。買い手は、様々な条件を持ったFX業者の中から自分の予算に合った業者を探すことができるとともに、売り手も自社のリスクを考えて販売することができます。

また、「くりっく365」では、FX業者で国内唯一の取引所取引を行っています。

②株式

株式で主に相対取引が行われる場面は、「非上場企業が株式を取引するとき」と「株式譲渡をするとき」です。

株式は基本市場取引であるため、一般的なトレーダーにとっては、非上場企業を営む知人がいない限り馴染みのない言葉かもしれません。

株式譲渡とは?

企業の合併・買収を行うときの手段の一つです。

他の企業や投資家に、多数の株式を譲り受ける・または譲り渡すことで、会社の経営権を握る・または渡すことができます。

③仮想通貨

仮想通貨では、株式取引と同じように取引所での取引が主流ですが、近年では相対取引も増加しています。

理由としては、取引所がサイバー攻撃を受けるなどのセキュリティに関する心配をする必要がないことや、相場に関係なく取引することができることが挙げられます。

しかし、活用方法によっては、取引所を使うよりも手数料がかからないことを狙ったトレーダーも増加しており、将来的に規制が厳しくなることも考えられます。

相対取引のメリット・デメリット

相対取引をする上でのメリットとデメリットを、市場取引と比べながら解説します。

相対取引のメリット

相対取引のメリットは、3つあります。

  1. 資産の価格・数量・決済方法を自由に決めることができる
  2. 外部的な影響を受けずに取引できる
  3. 大口注文をしても市場に影響を与えない

メリット①:資産の価格・数量・決済方法を自由に決めることができる

買い手と売り手の合意によって取引が行われるので、お互いのニーズを重視した自由な取引を行うことができます。

市場取引では、資産の価格は需要と供給によって決まります。そのため、欲しい資産が見つかっても、自分の予算に合った価格になるまで待たなければならなかったり、あるいは、保有している資産が売りたい価格まで上昇しないこともあります。

また、相対取引では、取引する資産の数量や、決済方法も決めることができます。形式にとらわれないことで、買い手と売り手に合った取引を行いやすいこともポイントです。

メリット②:外部的な影響を受けずに取引できる

市場の相場や、景気、政情の変化のような、短期間の外部的な影響を受けずに取引できます。

市場取引では、景気や政情が市場に及ぼす影響を無視できません。一つの市場で大多数の資産が扱われているため、世界情勢の変化によって資産の価値がほとんど決まってしまうと言っても過言ではありません。

その点、相対取引で扱う資産では、景気や政治情勢の影響を受けにくく、資産の持つ本来の価値を買い手と売り手の間で見定めて、交渉することになります。

メリット③:大口注文をしても市場に影響を与えない

市場を通さないで取引するため、資産を大口で買ったとしても、株価の変動に影響を与えることがありません。

仮に、市場取引で大口注文を行ってしまうと、資産の価値が急上昇するので、株価を大きく変動させてしまいます。これは他の投資家にとっては大打撃です。

相対取引で行えば、他の投資家に与える影響もなく、取引することができます。

相対取引のデメリット

相対取引のデメリットは、3つあります。

  1. 第三者の目が届かず、不正が起こる可能性がある
  2. 合意形成や取引完了までに時間がかかる
  3. 買い手・売り手を探す手間がかかる

デメリット①:第三者の目が届かず、不正が起こる可能性がある

市場を通さないため、取引所の目が届かず、買い手が不当に価格の高い買付をしてしまったり、売り手が代金を支払われなかったりするような詐欺被害にあう可能性も生じます。

市場取引では、証券会社の注文に不正がないか、売買が適正に行われているどうかなど、取引所がリアルタイムで監視しています。また取引所は、市場に上場したい未上場企業に対して審査をしているため、市場取引はある程度の公正さを保った取引であると言えます。

その点、相対取引には一定のルールがないため、公正さを保ちにくいと言えます。取引を行う当事者が、不正な点がないかどうかを見極める必要があるのです。

デメリット②:合意形成や取引完了までに時間がかかる

相対取引では、注文から取引成立までに時間がかかります。

市場取引では、買い手は証券会社に注文することで、証券会社は即座に取引所に注文を送り、買付手続を済ませます。証券会社と取引所が独立していることで、相互で効率的に運営できるため、突然の注文でもすぐに手続を済ませることができるのです。

相対取引では取引所を使わないため、市場取引に比べて手続に時間がかかります。また、約定力が低い取引相手では交渉が決裂したり、取引の進捗が思うように進まないということも起き得ます。

約定力とは?

ある取引において、注文した価格通りに買付できるかどうかを示す力です。主にFX取引において、「約定力の高いFX業者」などと使われます。

デメリット③:買い手・売り手を探す手間がかかる

例えば、非上場株式など、相対取引でしか取り扱えない資産を売りたいとき、売り手は自分の力で買い手を探さなければなりません。また、欲しい未上場企業の資産があっても、買い手は簡単に買付することができません。

市場取引は、大多数の買い手と売り手がいる市場で行われており、また買い手は証券会社が作った取引ツールを利用できるので、買い手と売り手のどちらも資産の情報を共有しやすく、比較的取引が成立しやすい環境が整っていると言えます。

そのため、すぐに取引をする必要にかられても、なかなか好ましい条件の買い手を見つけることができないという状況に陥る可能性もあります。

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