結論:外国債券の買い時は円高のとき
そもそも「外国債券の買い時はいつ?」と疑問に思う方が多いと思います。
結論から言うと、円高のときに外国債券を買い、円安になったときに売ることで為替差益を得ることができます。
買うときのポイントを具体的に数値で考えてみましょう。
1ドルが100円のときに10,000円分(100ドル分)の債券を買い、為替が変動して1ドル150円の円安になったとしましょう。
そのときに、持っている債券が満期を迎えた場合、15,000円分(100ドル分)の価値がある債券を持つことになります。
つまり、円高のときに債券を購入し、為替の変動による円安の時に、債券が満期が5,000円の利益を得ることができます。
このように外国債券の取引は、「円安」「円高」の流れを読むことで利益を出すことができます。
外国債券について「あまり詳しくないという方」や「基本的な部分を確認したい方」は、以下の内容から基礎的な部分を紹介しています。
前提:債券とはなにか
債券とは「国」「政府」「地方公共団体」「企業」などが、資金を借り入れるために発行する有価証券の一種です。
債券の発行ごとに「利率」や「利払日」「償還日」などの条件が決められており、債券の購入者はその債券の利率(クーポン)に応じた利息を得ることができます。
債券の種類はいくつある?
債券の種類を簡単に分けると、大きく3つに分類されています。
- 公共債券:国債や地方債のこと
- 民間債券:社債や金融債のこと
- 外国債券:外国通貨の債券のこと
①公共債券
公共債券とは「国債」や「地方債」のことを指し、国や地方公共団体などが国債や社債を発行して財源を確保しています。
②民間債券
民間債券とは、「社債」や「金融債」を指し、会社や金融機関などが同様に発行しています。
③外国債券
外国債券(外債)とは「発行体」「発行通貨」「発行市場」のいずれかが外国、または外国の通貨である債券のことです。
補足:償還(しょうかん)期間とは?
債券には、償還期間が設定されています。償還期間とは、「投資家に借りたお金を返すまでの期間のこと」です。
主な償還期間は、以下の4種類です。
- 短期債:3年未満
- 中期債:3年以上7年未満
- 長期債:7年以上11年未満
- 超長期債:11年以上
保有している債券が満期を迎えた場合、額面金額(額面×申込み単位で出された金額)を受け取れますが、債券の保有期間中も金利の動きにより債券の価格は変動しています。
そのため、どの償還期間が良いか一概には決められないので、自分にあった期間の債券を取引することをおすすめします。
額面金額を具体的に説明すると以下のとおりです。
例:「額面金額5万円」で「額面金額100円当たり発行価格が100.50円」の債券を購入する場合
債券の購入に必要なお金は「50,000円÷100円×100.50円=50,250円」です。
この時に買った債券が、償還期間を経て、額面金額(100,250円)で戻って来るということです。
※債券の保有中も金利は変動しているため、必ずしも購入時と同じ金額が償還されるわけではありません
外国債券のメリット・デメリット
外国債券の一番のメリットは、国内債券に比べ、比較的高い金利を誇っていることです。しかし。金利は常に変動しているため、償還期間が満期に達した時に、額面金額に利益があるかどうか分からないところが、デメリットと言えるでしょう。
ここからは、外国債券のメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。
外国債券のメリット
外国債券のメリットは、以下のとおりです。
- 金利
- 為替差益
- 運用面でのリスク分散
メリット①:金利
比較的に低金利が続く日本に比べ、金利が高い外国債券のほうが多くの利息をもらえます。
平均的な、「日本の金利は0.2%」なのに対し、「アメリカやイギリスなどの欧米諸国では2%」と高い金利を誇っています。
トルコやブラジルなどの金利は、10%を超えることもあります。
メリット②:為替差益について
外国債券は、為替レートで変動する価格の利益を為替差益と呼びます。
為替差益を具体的に説明すると、1ドル100円でドルを購入し、為替レートが1ドル110円に変動すれば、自分の持っているドルを円に交換する際、1ドルにつき10円の利益を得ることができます。
逆に、為替レートが、反対に振れた場合、損失が生じる場合もあり、これらの動きのことを為替差損といいます。
メリット③:運用面でのリスク分散
資産運用の基本は、リスク分散だと言われています。
外国債券は、日本の株式や債券などと値動きが異なるため、分散投資をすることで、他の資産と組み合わせて外国資産を保有したり、また複数の通貨に分散して投資したりすることで、運用リスクの低下が期待できます。
外国債券のデメリット
- 信用リスクと格付け
- 価格変動
- カントリーリスク
デメリット①:信用リスクと格付け
債券に対しての利息や、最終的に帰ってくる金額は予め決められています。
しかし、信用リスク(発行体の経営状況や財務状況が悪化して破綻すれば、お金を返せなくなる場合)があるので、注意が必要です。
この信用リスクを判断する尺度として「格付」があります。格付とは、格付機関が個別の発行体や債券の信用力を評価したものです。
デメリット②:価格変動
金利の上下変動によって自分の持っている債券の価値が変わることがあるので、そこにリスクが孕むことになります。満期前に売却したいと考えたときに金利の変化によって価格が上下変動するため価格が変動し売却損になってしまうことがあります。
具体的な状況としてインフレ状態のときに、中央銀行が政策金利を上げることによって、景気を安定させようとした場合、金利の上昇によって自分の持っている債券よりも高い利息の債権が多く発行されてしまうと相対的に自分が持っている債券の価値が下がってしまうことがあります。
デメリット③:カントリーリスク
通貨を発行する国家固有の政治的・経済的な変動等により元本を割込んだり、途中売却が困難になる可能性があります。
また、政府等による突発的な取引規制が行われた場合、円を含む他通貨への交換に影響がでる可能性があるので注意が必要です。
ロシアのウクライナ侵攻による外国債券の動き
結論から言うと、現状では、かなり円安が進んでいるので為替差の面から考えると、買い時ではないと考えられます。
現在日本では、歴史的な円安が続いています。
アメリカや欧米諸国は、ロシアのウクライナ侵攻による原材料価格の上昇によりインフレへの懸念が高まるとして金利を上昇させる傾向にあります。金利を上昇させることで景気がオーバーヒートすることを防ぐ効果が見込まれます。
一方、日本は「黒田総帥」を筆頭とする日銀が未だに大規模な金融緩和を継続しているので金利が低いままです。したがって、この歴史的な円安は、各国の中央銀行の政策の違いによって生まれた為替変動だということがわかります。