誰しも一度は、仕事やプライベートで頑張った成果が得られて、達成感を味わったことがあるかと思います。
しかしそういうときに限って、普段ならしない失敗やミスをすることがあります。「やった!」「成功したぞ」と思ったときこそ、「勝って兜の緒を締めよ」という気持ちが大切です。
「勝って兜の緒を締めよ」の意味は、「成功したからといって、油断せずに気を引き締めないといけないということ」です。
この記事では「勝って兜の緒を締めよ」の意味はもちろん、由来や使い方、類語、対義語、英語表現まで詳しく解説していきます。
「勝って兜の緒を締めよ」の意味
勝って兜の緒を締めよ
読み:かってかぶとのおをしめよ
意味:成功したからといって、油断せずに気を引き締めないといけないということ
先述した通り、「勝って兜の緒を締めよ」の意味は「成功したからといって、油断せずに気を引き締めないといけないということ」です。
「勝って兜の緒を締めよ」の由来
「勝って兜の緒を締めよ」の由来は、戦国武将・北条氏康の父、北条氏綱の遺言『五箇条の訓戒(ごかじょうのくんかい)』といわれています。
北条氏綱は、有名な戦国武将・上田謙信や武田信玄と互角に渡り合ったといわれている武将です。氏綱が息子である氏康に遺した『五箇条の訓戒』の5条目に、「勝って兜の緒を締めよ」が記載されています。
「勝って兜の緒を締めよ」の使い方と例文
「勝って兜の緒を締めよ」は、成功した相手に対して、油断せずに気を引き締めることが大切だと伝えたいときに使います。
例えば、同期や友人が成功に浮かれて、注意散漫になっていたり、真面目に業務に取り組んでいないことを注意するときに使います。
例文1.「勝って兜の緒を締めよ」というように、一度の成功で調子に乗らないほうがいいよ。
例文2.大型受注、本当におめでとう!「勝って兜の緒を締めよ」で、引き続き気を抜かずに頑張れ。
例文3.確かにあのプロジェクト成功に導いた君はすごい。でも「勝って兜の緒を締めよ」、気を抜いたら足をすくわれるかもしれないから、気を引き締めたほうがいいよ。
例文4.「勝って兜の緒を締めよ」というし、この結果に甘んじることなく、さらに気を引き締めなくては。
例文5.「勝って兜の緒を締めよ」で、引き続きしっかり業務に励んでくれ。
「勝って兜の緒を締めよ」の類語
「勝って兜の緒を締めよ」の類語を4つ紹介します。
①油断大敵(ゆだんたいてき)
「油断大敵」の意味は、「少しでも気を抜くと、思わぬ失敗につながるいうこと」です。
非常に有名な四字熟語で、座右の銘として使用されることもあります。
例文1.明日はいよいよプレゼンだ。「油断大敵」というように、最後まで気を抜かずがんばろう。
例文2.「油断大敵」というだろう。正式に結果が出るまで気を抜いてはいけないよ。
例文3.前年の担当だったうちが有力候補ではある。しかし「油断大敵」というし、気を抜かずにしっかり提案するぞ。
②好事魔多し(こうじまおおし)
「好事魔多し」の意味は、「良いことには邪魔が入りやすいこと」です。
「好事」は「めでたいことや喜ばしいこと」、「魔」は邪魔の「魔」を意味します。
例文1.「好事魔多し」というし、調子がいいときこそ用心したほうがいいよ。
例文2.内定おめでとう、前から行きたがっていた企業に転職できて本当によかった!でも「好事魔多し」というように、気を抜きすぎないようにね!
例文3.「好事魔多し」というだろう。飛ぶ鳥を落とす勢いの今だからこそ、油断せずにしっかりやろう。
③油断は怪我の基(ゆだんはけがのもと)
「油断は怪我の基」の意味は、「少しの気の緩みが怪我につながるから、気を抜かないのが大切だということ」です。
例えば、注意散漫になっている同期や友人に注意喚起したいときに使用します。
例文1.「油断は怪我の基」というだろう。あまり浮かれてばかりいるのもよくないと思うよ。
例文2.転職活動が順調だからって気を抜かないほうがいいよ。「油断は怪我の基」というし、大きな失敗を招いてしまうかもしれないよ。
例文3.最近調子がいいみたいね。「油断は怪我の基」というし、最後まで気を抜かずにがんばってね。
④心に垣をせよ(こころにかきをせよ)
「心に垣をせよ」の意味は、「油断せずに用心すべきだということ」です。
「垣」は間を隔てることを意味し、「親しき仲に垣をせよ(親しい間柄であっても節度は守ったほうがよい)」など他のことわざにも使用されています。
例文1.「心に垣をせよ」というように、そうやって注意散漫だと大きな失敗をしてしまうかもしれないよ。
例文2.あの大型プロジェクトが、無事にクロージングできるみたいで、ひとまずお疲れ様!でも「心に垣をせよ」というし、最後まで気を抜かずにがんばってね。
例文3.「心に垣をせよ」というだろう。常に注意を怠らずに業務に取り組むべきだと思うよ。
「勝って兜の緒を締めよ」の英語表現
「勝って兜の緒を締めよ」の英語表現を2つ紹介します。
①Don’t halloo till you are out of the wood.
「勝って兜の緒を締めよ」の英語表現のひとつめは、「Don’t halloo till you are out of the wood.」です。直訳は「危険を脱するまで喜び叫ぶな」です。
- halloo:(動詞)喜び叫ぶこと
- till:(接続詞)~まで
- out of the wood:(イディオム)危険を脱して
といった単語やイディオムで構成されています。この英文はtillという接続詞で、「Don’t halloo(命令文)」と「you are out of the wood」の2文をつなげています。
②You must keep up your guard even after a victory.
「勝って兜の緒を締めよ」の英語表現のふたつめは、「You must keep up your guard even after a victory.」です。直訳は「勝利のあとでも警戒し続けなくてはならない」です。
- keep up:(動詞・イディオム)~を続ける、継続する
- must:(助動詞)~しなくてはならない
- guard:(名詞・不可算名詞)警戒
- even after:(イディオム)~の後
- victory:(名詞)勝利
といった単語やイディオムで構成されています。
文中の「guard」は不可算名詞ですが、可算名詞で使用されることもあります。可算名詞の「guard」は、「番人」や「ボディーガード」などといった意味になります。
まとめ
「勝って兜の緒を締めよ」は、ビジネスシーンのみならず、プライベートでも使用する機会があることわざです。
頑張ったことで成果が出たときや努力が報われたときは、「勝って兜の緒を締めよ」を思い出してみてください。そして、その経験を糧に頑張り続ければ、きっとさらなる成功につながるはずです。
①「勝って兜の緒を締めよ」の意味
・成功したからといって、油断せずに気を引き締めないといけないということ
②「勝って兜の緒を締めよ」の由来
・戦国武将・北条氏康の父、北条氏綱氏の遺言『五箇条の訓戒』から
③「勝って兜の緒を締めよ」の使い方と例文
・「勝って兜の緒を締めよ」というように、一度の成功で調子に乗らないほうがいいよ。
・大型受注、本当におめでとう!「勝って兜の緒を締めよ」で、引き続き気を抜かずに頑張れ。
・確かにあのプロジェクト成功に導いた君はすごい。でも「勝って兜の緒を締めよ」、気を抜いたら足をすくわれるかもしれないから、気を引き締めたほうがいいよ。など
④「勝って兜の緒を締めよ」の類語
・「油断大敵」
・「好事魔多し」
・「油断は怪我の基」
・「心に垣をせよ」
⑤「勝って兜の緒を締めよ」の英語表現
・「Don’t halloo till you are out of the wood.」
・「You must keep up your guard even after a victory.」