『虎の威を借る狐(とらのいをかるきつね)』の意味【由来・使い方・類語・英語表現も解説】

「虎の威を借る狐」の意味と使い方

転職活動は、自身のキャリアや実力を見直すことができる、絶好の機会です。転職後、いかに自分のキャリアを活かして高評価を得られるか。自分の実力が大きく試されます。

しかしビジネスパーソンの中には自らの実力ではなく、権力のある人の影をチラつかせて自らの昇進や地位の向上に活かす、という人物もいるかもしれません。まさに「虎の威を借る狐」です。

「虎の威を借る狐」の意味は、「権力を持っている強者の力に頼って威張ること」です。

この記事では「虎の威を借る狐」の意味はもちろん、由来や使い方、類語、英語表現まで詳しく解説していきます。

「虎の威を借る狐」の意味

虎の威を借る狐

読み:とらのいをかるきつね

意味:権力を持っている強者の力に頼って威張ること

先述した通り、「虎の威を借る狐」の意味は「権力を持っている強者の力に頼って威張ること」です。

「虎の威を借る狐」の由来

「虎の威を借る狐」の由来は、古代中国の書物「戦国策 楚策(せんごくさく そさく)」に記述されている寓話(※1)といわれています。

あるとき、虎が狐を捕まえて食べようとします。そのとき狐が虎に向かって、「天帝は私を百獣の王として、この世に遣わせた。その私を食べるということは、天帝の命に背くことになります。嘘だと思うなら、私についてきてください。」と言ったので、狐の後ろについて歩いてみた。

すると他の動物たちはみな、(狐の後ろを歩く虎を見て)逃げていった。虎は動物たちが自らの姿を見て逃げたと気づかず、狐を百獣の王と思って逃げたと狐の話を信じてしまった。

※1:擬人化した動物などを利用して、教訓や風刺を表現した短い物語のこと

「虎の威を借る狐」の使い方と例文

「虎の威を借る狐」は、周りや家族を利用して自らの実力以上の振る舞いをする人物を批評する、ネガティブな表現です。

例えば、父親など家族が大企業の社長など高い職位を持っていることを利用して、実力以上に振舞っているビジネスパーソンを非難するときに使用します。

例文1.彼の父親は、うちの取引先の大手A社の会長だそうだ。だからあの横柄な態度でも許されるのか。まさに「虎の威を借る狐」だね。

例文2.「虎の威を借る狐」とは、彼女のことをいうんだよ。うちの取締役と仲がいいからって、すぐに高圧的な態度を取るんだ。やりにくいったらないよ。

例文3.自分より優れた人と触れ合い、関係を築くことはいいことだ。しかしくれぐれも自分の実力を見誤らないように。さもないと「虎の威を借る狐」と、後ろ指をさされてしまうからね。

例文4.「虎の威を借る狐」というだろう。彼女は取締役である父親の存在を匂わして、思い通りに振る舞おうとするのさ。

例文5.たしかに彼のお母さんは素晴らしい医師だ。一方でその息子は偉そうでとても評判が悪い。「虎の威を借る狐」とはこのことだね。

「虎の威を借る狐」の類語

「虎の威を借る狐」の類語を2つ紹介します。

  1. 笠に着る
  2. 人の褌で相撲を取る

1.笠に着る(かさにきる)

「笠に着る」の意味は、「自分の地位や権力、または権勢がある後ろ盾の存在を利用して、威張り自らの思うままにふるまうこと」です。

「笠」は、「雨や雪を防ぎ、日光を遮るために頭に被るもの」を意味します。「権力」とともに、「権力を笠に着る」等と使用します。

例文1.権力を「笠に着る」というが、彼の社内での振る舞いはまさにそれだ。

例文2.彼女は、大企業の社長である父親と大学教授の母親の力を「笠に着て」、いつも偉そうで高圧的な態度を取るんだ。

例文3.また家族の自慢話かい?そうやって親や兄弟の権力を「笠に着て」ばかりいると、いつまで経っても友達ができないと思うよ。

2.人の褌で相撲を取る(ひとのふんどしですもうをとる)

「人の褌で相撲を取る」の意味は、「他人のものを利用して、自分の利益を得ようとすること」です。

「他人から援助を受ける」と誤用されることがあるので、注意してください。

例文1「人の褌で相撲を取る」というだろう。他人のアイディアを利用して、自分の提案に組み込むのはいけないよ。

例文2.それって、君の後輩が考えた企画じゃないか?「人の褌で相撲を取る」、他人のアイディアを自分の提案書に組み込むのは、ダメだろう。

例文3.「人の褌で相撲を取る」というし、協力会社が考えた企画をそのまま提案に使うのは、気が引ける。

「虎の威を借る狐」の英語表現

「虎の威を借る狐」の英語表現を2つ紹介します。

  1. An ass in a lion’s skin
  2. A person who swaggers about under borrowed authority

1.An ass in a lion’s skin

「虎の威を借る狐」の英語表現のひとつめは、「An ass in a lion’s skin」です。直訳は「ライオンの皮をかぶったロバ」です。

  • ass:(名詞)ロバ
  • lion:(名詞)ライオン
  • skin:(名詞)肌

で構成されています。

「~’s」で「~の」を意味します。

2.A person who swaggers about under borrowed authority

「虎の威を借る狐」の英語表現のふたつめは、「A person who swaggers about under borrowed authority」です。直訳は「借りた権力の下で威張って自分の思いのままに振舞う人」です。

  • person:(名詞)人、ある人
  • who:(関係代名詞)~な人
  • swagger about:(イディオム)闊歩する(※2)
  • under:(前置詞)下で
  • borrowed:(形容詞)借りた
  • authority:(名詞)権威、権力

で構成されます。

この英文では、関係代名詞のwhoが使用されています。「A person」を、「who swaggers ~」以下で説明しています。

※2:⓵おおまたで歩くこと。②威張って思うままに振舞うこと。ここでは②の意味として使用。

まとめ

長い人生では、様々な人と出会います。ときには自分と価値観が異なる人と触れながら、生きていかなくてなりません。特に社会人はどんな相手とも、分け隔てなく一緒に仕事をする必要があります。

そしてどこかで、他人の権力を利用して思うがままに振舞う人と出会うこともあると思います。こうした人物と接しなくてはならないときは、ぜひ「虎の威を借る狐」を思い出してください。

そして彼らの行動を自らの振る舞いの教訓にしながら、自分のペースでキャリアを積み上げていってくださいね。

①「虎の威を借る狐」の意味

・権力を持っている強者の力に頼って威張ること

②「虎の威を借る狐」の由来

・古代中国の書物「戦国策 楚策」の寓話から

③「虎の威を借る狐」の使い方と例文

・彼の父親は、うちの取引先の大手A社の会長だそうだ。だからあの横柄な態度でも許されるのか。まさに「虎の威を借る狐」だね。

・「虎の威を借る狐」とは、彼女のことをいうんだよ。うちの取締役と仲がいいからって、すぐに高圧的な態度を取るんだ。やりにくいったらないよ。

・自分より優れた人と触れ合い、関係を築くことはいいことだ。しかしくれぐれも自分の実力を見誤らないように。さもないと「虎の威を借る狐」と後ろ指をさされてしまうからね。など

④「虎の威を借る狐」の類語

・「笠に着る」

・「人の褌で相撲を取る」

⑤「虎の威を借る狐」の英語表現

・「An ass in a lion’s skin」

・「A person who swaggers about under borrowed authority」