金融政策という言葉を聞いたことがある方は多いですが、「その意味は?」と聞かれたら、どのように答えるのが正解でしょうか?
金融政策とは、大まかに言うと「日銀が行う経済安定・価格安定のための政策」のことです。似たような言葉に財政政策がありますが、これは政府が行う政策を指します。
この記事では、「金融政策の意味」や「金融政策の3つの種類」「財政政策との違い」について、詳しく解説します。
金融政策とは
金融政策とは、「経済成長や価格の安定のために、日本銀行が行う政策」のことです。
日本銀行は、日本銀行法によって定められた日本で唯一の中央銀行です。日本銀行法では、日本銀行について以下の2つが定められています。
- 銀行券を発行するとともに通貨・金融の調整を行うこと
- 銀行その他の金融機関で行われる資金決済を円滑にすることで、信用・秩序を維持すること
そこで日本銀行は、企業の経済活動や国民の生活を支えるために、物価の安定を目的にした政策を執り行います。これが金融政策です。
金融政策の内容は、金融政策決定会合で決定された後、国民に公表されます。金融政策決定会合については以下の記事で詳しく解説しています。
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金融政策にはどんな種類があるの?
金融政策には、
- 政策金利操作
- 預金準備率操作
- 公開市場操作
の3つの種類があります。
政策①:政策金利操作
前提として、政策金利とは「日本銀行が、一般の銀行にお金を貸すときにつける金利」のことです。そして、政策金利操作とは「政策金利を上げたり下げたりすることで、通貨の流通を調節すること」を言います。
経済の安定を目指すために、なぜ通貨の量を調節するのでしょうか。仮に日本がインフレーションとデフレーションに陥ったときのことを考えると、理解がしやすくなります。
日本がインフレーションに陥った場合
国内で流通する通貨の量が多いと、インフレーションに陥ります。
ドイツのマルク紙幣で遊ぶ子どもの写真を見たことがあるでしょうか。インフレーションに陥ると、物価がどれだけ上昇しても通貨の量は増え続けるので、通貨の価値がどんどん低くなり、経済は混乱します。
そのため、インフレーションに陥って経済が混乱することを防ぐために、日銀は政策金利を引き上げることで、流通する通貨量を抑えるのです。
日本がデフレーションに陥った場合
国内で流通する通貨の量が少ないと、デフレーションに陥ります。
デフレーションに陥ると、流通する通貨の量が減少し、その結果、国民の給料も少なくなります。物価を下げても買えないために物が売れず、通貨が回らなくなり、不景気に陥ります。
そのため、デフレーションに陥って経済が停滞することを防ぐために、日銀は政策金利を引き下げることで、通貨を流通させることを促すのです。
政策②:預金準備率操作
まず、預金準備率とは「一般の銀行が日銀に預けなければならないお金の割合」のことです。
そのため、預金準備率操作とは「預金準備率を上げ下げすることで、一般の銀行の保有する現金額を調節する」ことです。
預金準備率操作には、一般の銀行が企業などにお金を貸し出しすぎたために利用者がお金を引き出せないという状況を防ぐため、あらかじめ日銀に預金させるという目的がありました。
しかしバブルが崩壊した後の1991年以降、現在まで預金準備率操作は行われていません。
政策③:公開市場操作
公開市場操作とは、「日銀が市場で金融機関と行う取引」のことです。「オペレーション」とも呼ばれます。
日銀が公開市場操作を行うことで、市場に通貨を流通させることを促したり、反対に通貨を吸収したりします。
公開市場操作には以下の2つがあります。
- 買いオペレーション
- 売りオペレーション
買いオペレーション
買いオペレーション(買いオペ)とは、「日銀が、金融機関から債券や手形などを買い、金融機関に資金を流通させる」ことです。
国内で流通している通貨量が少なくなって不景気に陥ることを防ぐために、日銀は金融機関から債券などを買い付けて資金を流通させます。
売りオペレーション
売りオペレーション(売りオペ)とは、「日銀が、金融機関に債券や手形などを売り、金融機関から資金を吸収する」ことです。
国内で流通している通貨量が増加してインフレーションに陥ることを防ぐために、日銀は金融機関に債券などを売り付けて資金を吸収します。
金融政策と財政政策の違いとは?
金融政策と財政政策の違いは、「日銀が行うものであるか、政府が行うものであるか」です。
財政政策とは、政府が歳入や歳出を増減させることで経済の安定を狙って行われるもので、公共事業を行ったり、あるいは税金の割合を定めたりすることが当てはまります。
日銀ではカバーしきれない経済の部分を、政府の財政政策によって補っているのですね。