イエス誘導法とは
イエス誘導法とは、「相手がイエス(はい)と答えてしまう質問を繰り返すことで、最終的に同意を得る心理テクニック」のことです。
相手がイエスと答えてしまう簡単な質問を繰り返し、流れができたところで、本題に移る。そして、同意を得る。これがイエス誘導法です。
例えば、パソコン販売の営業トークを見てみましょう。
営業マン:パソコンを持たれる方増えてますよね。
お客さん:はい。
営業マン:最近では一家に一台ではなく一人一台の時代ですよね。
お客さん:はい。
営業マン:IT化が進むとさらにパソコンを持たれる方は増えていきますよね。
お客さん:はい。
営業マン:実はですね。今キャンペーン中でして…
イエス誘導法は一貫性の原理によるもの
上記の例のように、イエスをを積み上げてから本題に入ると「同意」を得られる可能性は高まります。その理由は、人間には一貫性の原理という心理的性質があるからです。
一貫性の原理とは、「自分の発言や行動には一貫性を持ちたい」という人間の心理です。イエス誘導法は、イエスという肯定的な態度を取らせることで、最後まで肯定的な態度でありたいという、一貫性の原理を応用した心理テクニックなのです。
イエス誘導法の注意点
イエス誘導法は、相手が「イエス(はい)」と答える質問であれば、何でも良いという訳ではありません。イエスには3種類あるので、その違いを理解していないと、効果的なイエス誘導法は難しいでしょう。
- 相づちのイエス
- 世間話のイエス
- 同意のイエス
①相づちのイエス
「えぇ」「まぁ」「うーん」などは、相づちのイエスです。これはイエス誘導法の「イエス」とは違うので、注意が必要です。「相づちのイエス」のあとに本題を切り出しても断られる可能性が高いと思います。
②世間話のイエス
世間話のイエスとは、本題とは異なる世間話の中での「イエス」のことです。世間話でのイエスを得ることができれば、相手の警戒心を解くことができます。
そうすることで、相手がこちら側に耳を貸してくれる状態になります。ここまで来れば、本題を切り出しても良いでしょう。
③同意のイエス
同意のイエスとは、本題に対する「イエス」のことです。営業マンであれば、クロージングに当たります。最終的に、お客さんからの「イエス」を得ることができれば、イエス誘導法は成功です。
イエス誘導法のコツ
イエス誘導法のコツは、「同意だけでなく共感を得る」です。世間話や本題の中で、「同意(同じように考えること)」を得るだけでなく、「共感(同じように感じること)」を得ることで、相手に親近感を覚えさせ、こちら側の話を能動的に聞いてくれるようになります。
・同意の例
営業マン:春が近づいて暖かくなりましたね。
お客さん:そうですね。(同意のイエス)
・共感の例
営業マン:春が近づいて行楽日和になりましたね。
お客さん:そうですね。
営業マン:先週、花見に行ったら本当に綺麗でしたよ。
お客さん:私も先週行きましたが、この時期は本当に綺麗ですよね。(共感のイエス)