『ノスタルジック』の意味と語源【社会人なら知っておきたいカタカナ語】

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ノスタルジックの意味

ノスタルジック

意味:過ぎ去った時代を懐古するさまやノスタルジアを感じさせるさま

「ノスタルジック」の意味は、「過ぎ去った時代を懐古するさまやノスタルジアを感じさせるさま」です。(ノスタルジア:異国にいて離れた故郷を思い返す気持ちや、古いものを懐かしく思う気持ちなど、事物や景色を見て生まれる郷愁の想い)

ノスタルジックの語源・由来

「ノスタルジック」の語源は英語の「nostalgic」ですが、これは形容詞で、名詞は「ノスタルジア(nostalgia)」です。つまりノスタルジックのあとには「~な街並み」「~な雰囲気」などの名詞が置かれ、ノスタルジアのあとには「~に浸る」「~を感じる」などの動詞が来ることになります。

「ノスタルジア」と同等の意味を持つ「ノスタルジー」も比較的よく使われますが、これはフランス語の「nostalgie」が由来となっています。英単語としての「nosralgy」は基本的に存在しないので、ネイティブの方と話すときは注意が必要かもしれません。

もちろん、日本語のカタカナとしては「ノスタルジー」も「ノスタルジア」も同じ名詞として使うことが出来るので、使い分けの必要はありません。

その使い方として、いくつかの例文を挙げてみましょう。

ノスタルジックの例文と使い方

社会人の常識用語

①「オレンジ色のランプが僕をノスタルジックな気分にした」

②「この町にはノスタルジックな雰囲気の建物が多く残っている」

③「私にとってはその終日日に厭(あ)いた眺めが悲しいまでノスタルジックだった」 (梶井喜二郎『蒼穹』より引用)

「ノスタルジック」の例文として、①と②は「ノスタルジック」を形容詞として名詞とあわせて使っています。一般的にはこちらの使い方がポピュラーになります。

一方、例文の③では「ノスタルジック」の中に名詞的な意味も込められています。つまり「ノスタルジックだった」には「ノスタルジックな様子だった」や「ノスタルジックな景色だった」という意味が含まれていることになります。

「ノスタルジア/ノスタルジー」の例文

④「これはノスタルジアに耽(ふけ)るための散策とも言えようか」
⑤「ゆえなきノスタルジーが募るばかりである」 (熊野純彦『レヴィナス入門』より引用)

この例文は二つとも「ノスタルジー」または「ノスタルジア」を動詞と組み合わせて使用しています。

ノスタルジックの類義語

社会人の常識用語

ノスタルジックの類義語①:センチメンタル

意味は「感傷的で涙もろく、弱弱しい感情に走りやすいさま」を指します。「ノスタルジック」が「故郷を思い返して懐かしく思う行為」を示しているとすれば、「センチメンタル」は「その行為によって生まれた感情や、心の動き」を指します。

人によっては故郷を思い返して楽しい気持ちになるかもしれませんが、「ノスタルジック」の歴史を踏まえて考えると、やはり感情的には「センチメンタル」に近い状態が正しいと考えられます。

ノスタルジックの類義語②:レトロ

意味は「ノスタルジックから感情的な様子を差し引いたものの状態や見え方」を示すことが多いようです。

「レトロ」の反対は「モダン」と、この二つに関してはハッキリ棲み分けすることができますが、「ノスタルジック」の反対は? と尋ねられた時、正確に対を示す言葉は今の段階では存在していません。

このことから「ノスタルジック」という言葉には状態を指し示す意味の他に、多少なり感情的な意味が含まれていることが分かります。

ノスタルジックの類義語③:エモい

若者たちの間で流行しているこの「エモい」ですが、この語源は英単語の「emotion(感情・表現)」からきており、その言葉自体が感情を示す言葉として使われています。

ただこれに関しては、感傷的な状態を示すというよりも心を動かされたあらゆる状況で使用可能な万能で広義な言葉なので、「ノスタルジック」な場合にのみ使用するという見方はできません。

ノスタルジックの歴史

景色

「ノスタルジア」という言葉の概念は、1688年にスイスの医学生(精神科医)ヨハネス・ホーファーによってつくられました。

「nostos(帰郷)」そして「algos(心の痛み)」という二つのギリシャ語を組み合わせて生まれたこの言葉は当時、感傷的な状態を示す言葉としてではなく、医学的な意味で使われることが多かったようです。

18世紀から19世紀。どの国でも戦争が行われていた時代、スイスでは前線にいる兵士達の「故郷へ戻りたい」という願いや「もう二度と戻ることが叶わないかもしれない」という心の痛みは、精神病としておおいに戦場に蔓延しました。

これはスイスに限らず各国でも同様に起こり、フランスでは「mal du pays(国の痛み)」、ドイツでは「Heimaeh(家の痛み)」などと言葉を変えて、多くの国で医学的な研究の対象とされていました。

戦争でいつ命が失われてもおかしくない兵士達が思う「ノスタルジア」は、現代の「ノスタルジア」とは意味も重みも大きく異なります。そして、この病のおもしろいところは、自国が優勢な時にはそこまで力を発揮せず、やはり不利な時に蔓延する病だったということでしょう。兵士達のノスタルジアは後ろ向きでネガティブな繊維の喪失とみなされ、排除されねばならない感情とされました。

そして現在、戦争がなくなり、精神医学のカテゴリとしての「ノスタルジア」への関心はほとんど消え失せました。「ノスタルジア」はその意味を薄め、現代用語としてしばし人々に用いられるようになったのです。

こうした経緯を経て生まれた「ノスタルジア」「ノスタルジック」は、やはり故郷を想う、懐古的で感傷的な思いにかられた時に用いることが正しいと言えるでしょう。「ホームシック」よりも強く哀愁をたたえ、「レトロ」よりも思い出や感情を含んだこの言葉、ぜひ皆さんも使ってみてください。

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