上司やクライアントとのやり取りで良く目にする「お手すきの際に」という言葉。何となく意味は分かっていても、正しい使い方を理解している人は以外と少ないのではないでしょうか。
今回はビジネスシーンよく使われる「お手すきの際に」について、正しい使い方や使う上での注意点などを例文付きでご紹介します。
「お手すきの際に」の意味
お手すきの際に
読み:おてすきのさいに
意味:お時間ある時で構いません
「お手すき」は手が空いている状況を表す「手すき」の敬語表現で、依頼する際に「時間がある時で構いません」という意味でよく使われます。
特にビジネスシーンで使われた場合は「緊急度・優先度が高くない」依頼であることを表し、「そちらの都合に合わせます」「仕事がひと段落したタイミングでお願いします」ということを表します。
『お手すき』の意味と使い方【社会人なら知っておきたい常識用語】
・お手すきの際に、資料のご確認をお願い致します。
・お手すきの際に、ご連絡をお願い致します。
・お手すきの際に、ご一読頂けますと幸いです。
「お手すきの際に」を使う上での注意点
注意点①:期限が決まっている依頼には使わない方がベター
「お手すきの際に」という言葉ですが、「緊急度・優先度が高くない」というニュアンスがあるため、緊急性や優先度が高い依頼に対しては使わないようにしましょう。
期限がある場合や優先度が高い場合は、「お忙しいところ恐縮ですが」のような言葉を添え、期日を明記した上で依頼するようにしましょう。
・お忙しいところ恐縮ですが、〇月〇日までに資料のご確認をお願い致します。
・お忙しいところ恐れ入りますが、本日〇時までにご返信頂けますでしょうか。
注意点②:自分に対して使うことはできない
「お手すきの際に」は相手に使う言葉であり、自分自身に対して使うことはできません。そのため、「お手すきの際に、ご連絡させて頂きます。」のような使い方は間違いだと言えます。自分自身の手が空いた時にということを伝えたい場合は、「時間のある時に、ご連絡させて頂きます。」や「申し訳ありませんが、後ほどご連絡させて頂きます。」のような表現をすれば良いでしょう。
注意点③:「お手すきの際に」と依頼された時もできるだけ早く対応する
ビジネスおいては、スピード感を持った対応を心掛けることが重要で、他の人から依頼されたことを放置するのは失礼にあたります。「お手すきの際に」と依頼された場合でも、放置することは失礼にあたりますので、できるだけ早く対応するのが正しいマナーと言えます。
また、思いやりの気持ちで使われる場合もあり、「お手すきの際に」と依頼された場合でも必ずしも優先度が高くないとは限らない点に注意が必要です。
注意点④:漢字表記について
「おてすきのさいに」を文字変換をすると「お手すきの際に」「お手透きの際に」「お手隙の際に」のように複数の漢字表記が候補として出てきます。
これらの表記方法について、基本的に全て意味は同じであり、どれを使っても間違いではありません。表記方法についてバリエーションがあることを理解しておけば問題ないでしょう。
「お手すきの際に」を使うメリット
使うメリット①:丁寧な印象を与えることができる
何かを依頼する時に「お手すきの際に」を付けることで、相手の都合に合わせる・多忙な相手を気遣うという印象を与え、丁寧な印象を与えることができます。
また、依頼事項について押しつけがましい印象を軽減し、謙虚な印象を与えることができるため、相手への印象を気にする場面で使うと効果的です。
使うメリット②:「クッション言葉」として用いることができる
クッション言葉とは、相手に「何かをお願いする」「何かを尋ねる」「何かを断る」ような場面において、角が立たないように本題の前に一言添える言葉のことです。
本題に入る前に「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」「あいにくですが」などの言葉を付けることで柔らかな印象を与え、相手との関係が悪化しないようクッションのような役割を果たします。
「お手すきの際に」もクッション言葉として使うことができ、ここまで見てきた通り、何かを依頼する際に一緒に使われる表現になります。
「ご都合がよろしければ」「もしよろしければ」「ご迷惑でなければ」など他にもクッション言葉は沢山ありますので、利用シーンに応じて良く使われるクッション言葉を覚えておくと便利です。
使うメリット③:会話と文章どちらでも使える
「お手すきの際に」は、会話と文章どちらにも使うことができます。使い方や意味は会話と文章どちらも同じで、「お手すきの際に、〇〇をお願い致します」という形で使われます。話し言葉で使われた際も相手への思いやりが伝わり、丁寧な印象を与えることができます。
「お手すきの際に」の類語
同じように使える類語として、「お手すきの時に」「お手すきの折に」という言葉があります。「お手すきの時に」の方が少しカジュアル、「お手すきの折に」の方が少しフォーマルな印象がありますが、どちらも「お手すきの際に」をそのまま置き換えられる言葉です。
・お手すきの時に、ご連絡をお願い致します。
・お手すきの折に、ご一読頂けますでしょうか。
また、似た意味を持つ言葉として「ご都合の良い時に」「お時間のある時に」「お暇な時に」などの言葉があります。「ご都合の良い時に」「お時間のある時に」は丁寧な敬語表現として、ビジネスシーンで使うことができる言葉です。しかし「暇」という言葉が含まれる「お暇な時に」はクライアントや目上の人に使うと失礼にあたる場合があり、ビジネスシーンでは使わない方が無難です。
「お手すきでしょうか」も覚えておこう
同じ「お手すき」を使った言葉として「お手すきでしょうか」があります。主に話し言葉として、目上の人に何かをお願いする前に、相手の都合を伺う表現として使われます。
・資料のご確認をお願いしたいのですが、いまお手すきでしょうか。
・(電話を取り次いで貰う際に)〇〇様は、お手すきでしょうか。
こちらも「お手すきの際に」と同じで、「緊急度・優先度が高くない」というニュアンスがあるため、緊急性・優先度が高い依頼には使わない方がベターです。また、要件に応じて相手も今対応するか・後で対応するか判断したい場合があるため、1つめの例文のように要件を伝えた上で都合を伺うようにした方が良いでしょう。
おわりに
ここまで「お手すきの際に」の使い方を見てきました。使い方に注意が必要な点もありますが、ビジネスシーンで使うと上司やクライアントに対して丁寧で思いやりがある印象を与えることができます。
ビジネスであれば期限があるものが多く、そのような依頼に対しては期限を明記した上でお願いする方がスムーズに仕事が進みますが、急ぎではない依頼に対して「お手すきの際に」を上手く使うことで相手への配慮を示すことができます。
「お手すきの際に」に限らず相手への思いやりを持って言葉を上手に使うことで、より親密な関係を築くことも可能ですので、この機会に是非正しく使えるようになりましょう。