『現状維持の法則』とは?【仕事で使えるビジネス心理学】

この記事では、「現状維持の法則とはなにか?」だけでなく、現状維持の法則の例や実験についても解説しています。

現状維持の法則は、日常シーンだけでなくビジネスシーンにもよく起こることです。これを機に現状維持の法則を学びましょう。

目次

現状維持の法則とは

現状維持の法則とは、プリンストン大学の行動経済学者エルダー・シャフィール博士が提唱した「人間は選択肢が多すぎると、結局いつもと同じ選択肢を選んでしまう心理現象のこと」です。

なぜ、いつもと同じ選択肢を選んでしまうのか?

その理由は、簡単です。複数の選択肢から選択することは、人間にとってエネルギーの消費を意味します。エネルギーの消費を避けるために、いつもと同じ選択肢を選んでしまうのです。

つまり、現状維持の法則は、人間の本能的な生存戦略と言うことができます。

現状維持の法則の例

ハンバーグランチ

現状維持の法則は、日常シーンでも働いています。

例えば、

  • 外食をするときはいつも同じ料理ばかりを注文してしまう。
  • このお店ではこれしか食べない。

これも現状維持の法則です。

つまり、複数の選択肢からひとつを選ぶことは、人間にとってエネルギーの消費を意味するので、それを避けるためにいつもと同じ選択肢を選んでいるのです。

現状維持の法則の実験

黒い手帳

現状維持の法則は、一時期CMでも紹介されていました。あるCMでは、エルダー・シャフィール博士ご本人が出演しており、ある実験を行っています。

それは、下記のような実験です。

ある男性がお店に手帳を買いに来ました。

彼はいつも黒の手帳を買います。

しかし、本当はもっと多くの色から手帳を選びたいと思っているらしいのです。

そこで後日、10種類以上の色を用意しました。

すると、彼は少し迷った表情を見せましたが、結局、黒の手帳を手に取ったのです。

このように、複数の選択肢から選びたいと思っているものの、結局いつもと同じ選択肢を取ってしまう。この実験で、人間の現状維持の習性が明らかになりました。

現状維持の法則はビジネスでよく使われる

何か商品を購入する際に、現状維持の法則が働いていることはよくあります。ビジネスで利用される現状維持の法則の代表例を2つご紹介します。

  1. メニューを少なくする
  2. サンプル品を提供する

①メニューを少なくする

先述したように、複数の選択肢から選択することは、人間にとってエネルギーの消費を意味します。そこで、メニューを少なくすることで、エネルギーの消費を抑えることができます。

結果的に、お客様に心理的負担をかけることなく、メニューを選んでもらうことができるのです。レストランでは、定番料理と季節のおすすめ料理のように、複数の選択肢から特定の商品を目立たせることで、現状維持の法則を利用することも可能です。

②サンプル品を提供する

サンプル品を提供するのは、通販では当たり前の手法です。お客様に一度利用してもらうことで、「この商品から、別の商品に変えるのは面倒くさい」と思わせることができます。

結果的に、お客様に心理的負担をかけることなく、継続購入してもらうことができます。また、ブランドに対する愛着も湧いてくるので、別の商品を購入してもらえる可能性も高くなります。

現状維持の法則をビジネスに応用するコツ

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現状維持の法則をビジネスに応用するコツは、

選択肢を3つまでに絞る

これだけです。

お客様に商品・サービスを購入してもらうためには、選択肢が多すぎるとNG。複数の選択肢から選択することは、人間にとってエネルギーの消費を意味するので、「選択肢を複数与えないこと」が現状維持の法則をビジネスに応用するコツです。

選択肢を3つまでに絞ることで、お客様に心理的負担をかけることなく商品・サービスを購入してもらえる可能性は高まるのです。

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