移動平均線のおすすめの設定は?【意味や見方もわかりやすく解説】

投資家が証券会社の取引ツールを使い、ある資産を登録した時に真っ先に目に入るのが「移動平均線」です。移動平均線は、資産の今後の動向を掴むためにとても重要な情報源です。

この記事では、「移動平均線の意味」だけでなく「おすすめの設定・使い方」についても解説します。

目次

移動平均線とは?

移動平均線とは、「一定期間の価格(終値)を平均値で繋いだ線のこと」です。

主に、証券会社や取引所が提供している取引ツールを利用すると、必ず移動平均線が表示されるようになっています。

「1分足、2分足、3分足など短期的な期間」〜「日足、週足、月足までの長期的な期間」まで、自分が知りたい期間を選ぶことで、その期間中の株価の終値の平均値を繋いだ線が現れます。これが移動平均線です。

移動平均線の種類

移動平均線には、3つの種類があります。

  1. 単純移動平均線(SMA)
  2. 指数平滑移動平均線(EMA)
  3. 加重移動平均線(WMA)

①単純移動平均線(SMA)

単純移動平均線(SMA)は、「単純に終値の平均値を繋いだ線」のことで、「他の価格と比べる時」や「価格の価値を知りたい時」に一番使いやすい線です。

例えば、5日間(1週間分)の移動平均を求める場合の計算方法

単純移動平均線=(5日前の終値+4日前の終値+3日前の終値+2日前の終値+1日前の終値)÷5

上記の単純移動平均線は、5日間の終値の平均を求めただけですが、自分が知りたい期間の終値を平均化して求めることもできます。

②指数平滑移動平均線(EMA)

指数平滑(しすうへいかつ)移動平均線は、「単純移動平均線(SMA)に最新の終値をもう一度足し、平均値を出して繋いだ線」で、相場取引のトレンドを反映しやすいところが特徴的です。

例えば、直近の相場トレンドを知りたい場合の計算方法

指数平滑移動平均線=(5日前〜1日前までの終値の合計)+(直近の終値)÷5+1

このような計算することで、直近の価格変化が重視されるため、トレンドを見抜くことができます。

また、「単純移動平均線」「指数平滑移動平均線」「加重移動平均線」の3つの中でも、価格の変化に対する反応が早いと言われています。

③加重移動平均線(WMA)

加重移動平均線(WMA)は、「最新の終値に価値をつけて、終値の平均値を出して繋いだ線」のことで、新しい終値になるほど価値が高くなるため、長期的な取引をしたい方に向いています。

例えば、長期的な価格の動向を比較する場合の計算方法

{1日目×1}+{2日目×2}+{3日目×3}+{4日目×4}+{5日目×5}÷15

※(期間が5日の場合の分母)15=(1日前+2日前+3日前+4日前+5日前)

指数平滑移動平均線(EMA)と同じように最新の終値の価値を重視した線ですが、加重移動平均線(WMA)は、長期的な価格の動向に利用されます。

移動平均線のおすすめの設定【見方・使い方も解説】

移動平均線のおすすめの設定

移動平均線のおすすめの設定は、「短期(5日)・中期(20~25日)・長期(60日)」の3本線です。

この3つを設定することで、資産のトレンドを偏りなく把握することができます。また、3本線なら、比較的見やすいという点も挙げられます。

ここに挙げた期間の長さはあくまで目安なので、自分の知りたい期間をもとに3つ設定しましょう。短期・中期・長期の3本線については、下記の「移動平均線の見方・使い方」で解説します。

移動平均線の見方・使い方

移動平均線の簡単な見方として、以下の順に紹介します。上から順に読んでいけば、移動平均線のおおまかな見方が分かるようになっています。

  1. 短期・中期・長期の3本線
  2. 線の傾きを見てみよう
  3. ゴールデンクロス・デッドクロスを見極める
  4. 価格の位置が上にあるか、下にあるか
  5. 補足:乖離率について

移動平均線の見方①:短期・中期・長期の3本線

移動平均線を用いた投資をするとき、最も分かりやすいインジケーター(表示のされ方)は、「短期・中期・長期の3本線」であると言われています。

短期・中期・長期とは、移動平均線における期間の長さであり、たとえば短期では5日、中期では25日、長期では75日というように、それぞれの期間の長さで移動平均線が作られています。

利用する証券会社の取引ツールによって、期間の日数が異なるので、しっかりと確認しておきましょう。分足・週足・月足ごとに表示される画面上に、3本線があるスタイルがベターです。

移動平均線の見方②:線の傾きを見てみよう

資産の価値が上昇しているとき、移動平均線は右肩上がりになり、価値が下降しているときは右肩下がりになります。

線の傾きを見ることで資産の価格の変動が分かるようになっているので、まずはこの傾きに注目してみましょう。

移動平均線の見方③:ゴールデンクロス・デッドクロスを見極める

短期移動平均線が、長期移動平均線を抜いて上昇するとき、その線の交差を「ゴールデンクロス」と呼びます。ゴールデンクロスは資産の価値が今後上昇する兆しとされているため、「買いのサイン」と言われています。

反対に、短期移動平均線が長期移動平均線よりも下降するとき、その線の交差を「デッドクロス」と呼びます。デッドクロスは資産の価値が今後下降する兆しとされているため、「売りのサイン」と言われています。

ゴールデンクロスやデッドクロスがあるからといって、そのとおりに価格が変動しない場合も十分に起こり得ますが、今後の見通しに活かすことができます。

移動平均線の見方④:価格の位置が上にあるか、下にあるか

資産の価値が今後も上昇していく可能性が高いとき、ローソク足が移動平均線の上にあることが多いです。反対に、資産の価格が移動平均線の下に降りてしまった場合、その資産の平均価格よりも価値が下がってきている証拠となり、価値が下降していく可能性が生まれます。

ローソク足は分足ごとに表示されるので、短期間の分足で見ると資産の価値の変化がより分かりやすくなります。

補足:乖離率(かいりりつ)について

乖離率とは、「価格がどれだけ移動平均線から離れているかを示す数値」です。乖離率の高低によって、資産の買われ過ぎや売られ過ぎが判断できます。

価格が移動平均線よりも上にある場合、乖離率はプラスになります。何%プラスになっているのかを判断し、下落前の売り時を予測します。

反対に、価格が移動平均線よりも下にある場合、乖離率はマイナスになります。何%マイナスになっているのかを判断して、上昇前の売り時を予測します。

移動平均線には意味がないのか?

移動平均線は、資産の今後の動向を予想し、リターン・リスクを考えた計画的な投資をする上で強い味方となってくれます。

しかし、あくまで過去の相場をパターン化したものなので、将来の価格の動向を完璧に予見できるものではありません。また、突然の景気不況や政情変化に対応することができないため、移動平均線には意味がないと考えている投資家もいます。

投資を成功させるために重要なポイントの一つとして「いかにその資産について、多角的な視点から見ることができるか」という点が挙げられます。

情報をあまり知らずに資産を買うよりも「どんな資産で、どんな成長をしてきたのか」という情報を詳しく知っている方が、その資産を扱いやすくなるのです。「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」です。

自分の投資スタイルに合わせつつ、資産の情報を知る一つのツールとして利用するなら、投資家にとっては絶対に損にならないツールだと断言することができます。

移動平均線を利用するメリット・デメリット

移動平均線を利用する上でのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

  • メリット:計画的な投資をすることができる、資産の売り時・買い時の判断材料になる
  • デメリット:突然の景気・政情変化を予想できない、予期しない価格の変動が起こる場合もある

移動平均線のメリット

移動平均線を利用する上でのメリットは、「計画的な投資をすることができること」と「資産の売り時・買い時の判断材料になること」です。

移動平均線は、過去の終値をまとめたデータであるため、「どのような価格でトレーダーが購入してきたのか・売られてきたか」がひと目で分かります。

例えば、株式投資の取引で「過去の企業の情報」や「過去の政治情勢を仕入れること」の情報がある場合、

その情報と移動平均線での情報を併用して取引することで、「企業が決算報告をするタイミングで、トレーダーの買付が増加し、価格が変動する」というように計画的な投資を行いやすくなります。

また、短期・中期・長期での移動平均線を交互に見ることで、資産の売り時・買い時を決めやすくなります。例えば短期だけを見て価格が下降しているが、中期・長期で見たときに価格が上昇している資産の場合、今後持ち直し、上昇していく可能性も十分考えられます。

短期・中期・長期の移動平均線については、下記の「移動平均線の見方」で解説しています。

移動平均線のデメリット

移動平均線を利用する上でのデメリットは、「突然の景気・政情変化を予想できないこと」と「予期しない価格の変動が起こる場合もあること」です。

移動平均線では、政治情勢(政情)の変化を予想することはできません。

政情の変化によって景気が著しく変わったとき、移動平均線で予測したとおりの価格の変動とは大きく異なる変化が生まれるかもしれません。

そのため、移動平均線に依存して投資の計画を立てるのではなく、敏感に社会の変化を感じ取りながら投資する必要があります。

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