マイノリティの意味とは?【ビジネスや社会的課題についても広く解説】

「性的マイノリティ(LGBT)」や「マイノリティ市場」など、近年、「マイノリティ」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。「マイノリティ」という言葉を正しく理解していただけるように、本記事で徹底解説いたします!

目次

マイノリティの意味

マイノリティ

意味:社会的少数派

マイノリティとは「社会的少数派」という意味です。単純に「少数派」を表す言葉としても使われます。
また、数は問わず、単に「社会的弱者」を表す言葉としても使われています。その理由については語源で説明いたします。

マイノリティの語源

マイノリティとは、英語の「minority」という単語を語源としています。 日本語訳すると、「少数、少数派」です。

minorityという単語は、英語の「minor」という単語と関連しています。この単語は、「少数派、(地位・重要性などが)比較的重要でない、大したことのない、二流の、(効果・範囲などが)小さい、目立たない」という意味を持ちます。minorという単語はカタカナ英語にもなっており、あまり有名でないタレントのことを「マイナーなタレント」と表現しますよね。

つまり、minorという言葉には「重要ではないと判断される人・モノ=ないがしろにされている人・モノ」という意味も含まれるのです。minorを語源に持つminorityも同様です。
したがって、数は問わずに、社会的に軽んじられている人やないがしろにされている人=社会的弱者に対しても、マイノリティという言葉が使われるようになりました。

マイノリティの反対語

マイノリティの反対語は「マジョリティ」です。「社会的多数派、多数派」という意味を持ちます。マジョリティという言葉も、マイノリティと同様に、単純な人数的多数派だけではなく、強い力を持つグループ・派閥を指すこともあります。

マイノリティとマジョリティの例文と使い方

「社会的多数派、多数派」という意味での使われ方の例

「日本人の民族構成のマジョリティは大和民族だ。マイノリティはアイヌ民族や琉球民族だ」

日本人の民族構成は、人数的に大和民族が多数派のため、このような使い方をします。

「強い力を持つグループ・派閥」という意味での使われ方の例

「南アフリカにおいて90年代まで行われていたアルパヘイト体制下では、白人がマジョリティだった」

90年代までの南アフリカでは、人数的に少数の白人が強い権力を持ち、人数的に多数の黒人には権力がありませんでした。そのため、この場合は白人がマジョリティ、黒人がマイノリティと表現されます。

社会の中にあるマイノリティ

それでは、私たちが今生活をしている社会の中には、どのようなマイノリティがあるのでしょうか。例を提示して説明していきます。

日常生活の中にあるマイノリティ

日常生活を過ごす中で、マジョリティにとっては利用しやすい一方で、マイノリティにとっては不便な慣習や制度、システム設計がなされていることがあります。例えば、利き腕です。

日本には圧倒的に右利きの人が多いため、自然と右利きのための慣習が出来上がっています。例えば、ハサミは基本的に右利きの人用に設計されています。また、電車の改札口も右側にタッチパネルや切符挿入口があります。文字の書き順も右利きの人が描きやすい順番になっています。

一方、マジョリティの人たちは使わないけれども、マイノリティの人たちにとって必要だから生まれた慣習やシステムも存在します。例えば、電車やバスの優先席はお年寄りや妊婦の方に譲ります。他にも、障がい者用の点字パネルや、音響信号機などもマイノリティの人たちのために設計・設置されています。

日常生活において、人間は誰しもマイノリティとマジョリティの両方の側面を持っています。生活していく中で、マイノリティとマジョリティの視点を持って見渡してみると、新たな発見があるかもしれませんね。

ビジネスにおけるマイノリティ

ビジネスにおいてもマイノリティという単語は頻繁に使われます。例えば、マーケティングにおいては、「マイノリティ市場」という言葉があります。対象となる市場は決して大きくないものの、ニッチな需要や競合他社のすき間を狙って利益に繋げることができる市場を指しています。

他には、「マイノリティオピニオン」という言葉もあります。政治の場でも使われる言葉ですが、会議の場などでの少数派の意見を指す言葉です。多数派の意見だから正しく、少数派の意見だから間違っているということはありません。ビジネスの場では、マイノリティオピニオンをしっかりすくい上げて、取り入れていくことも重要だとされています。

マイノリティの社会的課題

近年、LGBT(性的マイノリティ)に代表される、マイノリティに対する社会的な課題が顕在化しています。そもそもなぜマイノリティが社会的課題になるのか、マイノリティに対する社会的な課題とはどういうものなのかについて、解説していきます。

なぜマイノリティが社会的課題になるのか

①生活が成り立たなくなる人がいる

利き腕程度であれば、割と些細な不便さなので大きな問題にはなりません。しかし、それが日本国民が保証されている「健康で文化的な最低限度の生活」を脅かすほどの不便さだとするとどうでしょうか。

例えば、目が見えない人にとって、点字ブロックが無ければ一人で外を歩いたり、電車に乗ったりすることができません。そのため、マイノリティの方々が普通の日常生活を送るためには、社会全体で支えていかなければならないのです。

②マジョリティの人はマイノリティの課題を気づきにくい

マジョリティの人は、マイノリティの人が抱える課題に気付く機会があまりありません。左利きの人は、改札口を利用する度に少しの不便さを感じていますが、右利きの人はそれに全く気づきません。そのため、マイノリティにとって生活が成り立たないような不便なことも、マジョリティにとっては大きな問題として認識できないことがあります。

その結果、マイノリティの人たちが声を上げられず、また声を上げたとしても黙殺されてしまうことがあります。しっかりと社会全体で捉えて行かなければ、マイノリティの課題を気づくことが難しいのです。

③差別の歴史

時にマイノリティ側の人たちは大きな差別をされることもあります。歴史を振り返ると、多数派ではないという理由でイジメられたり、生活を制限されたり、弾圧されることもありました。

近年、人権思想が発達してきたことにより、マイノリティとして苦しい思いをしてきた人が声を上げることができるようになりました。過去の悲惨な歴史を繰り返してはいけないという思いから、マイノリティの意見をしっかりと社会的課題として捉えていこうという流れになりました。

しかし、解決は簡単ではない

一方で、全てのマイノリティの権利を認めることもできません。資源、時間、お金には限りがあります。そのため、何かを優先して、何かを諦める必要があるのです。また、民主主義は多数決で成り立っているため、どうしても多数派の意見を尊重する必要もあります。

これは極論ですが、「人を殺したい」と考えているマイノリティの集団がいたとしても、その団体の意見を尊重して人殺しを許可することはできませんよね。

マジョリティとマイノリティの願いを両立を目指すことは難しいです。だからこそ、社会全体の課題になっています。大事なことは、差別をしたり、数の力で押し通すだけではなく、しっかりと議論していく姿勢ではないでしょうか。

忘れてはいけないのは、人間誰しもマジョリティとマイノリティの両方の側面を持っているということです。昨日までマジョリティ側にいた人も、明日、マイノリティ側になる可能性もありますからね。

社会的課題になっている代表的なマイノリティ

以上を踏まえて、本記事では最後に代表的なマイノリティをご紹介します。興味を持たれた方は、調べてみると新たな発見があるかもしれませんね。

性的マイノリティ(LGBT)

LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった単語です。日本国内では人口の7.6%がLGBTと言われています。

性的マイノリティの方々は、同性同士で結婚ができない、トイレが不便、などといった課題を抱えています。

民族的マイノリティ(少数民族)

民族的マイノリティとは、ある国家や民族の中で、少数の割合となっている民族のことを指します。例えば、中国ではウイグル族、チベット族など。イギリスでは、ウェールズ人、スコットランド人、アイルランド人。アメリカではインディアンなど。オーストラリアではアボリジニなどが有名です。

少数民族は、権利が認められずに弾圧されてきたり、差別されてきた歴史を持つ場合が多々あります。民族的マイノリティの方々は、民族的なアイデンティティーを回復したり、差別を無くしたいなどといった課題を抱えている場合があります。

宗教的マイノリティ

その地域や国家などにおいて、少数派の宗教を信仰している人たちを指します。宗教的マイノリティもまた、弾圧されてきた歴史があります。古くは日本で言えば、江戸時代のキリスト教です。江戸時代の日本はキリスト教を信仰することを禁止しました。その結果、隠れてキリスト教を信仰する「隠れ切支丹」が生まれました。

「隠れ切支丹」であることがバレた場合には、処刑や拷問をされる場合もあったそうです。2017年にハリウッドで映画化もされた遠藤周作の『沈黙』という小説で、当時の状況が描写されています。
欧州で言えば、昔はユダヤ教、今はイスラム教徒などが宗教的マイノリティとなっています。信仰が対立するため、解決もまた難しい問題です。しかし、諦めずに議論していくことが大事ですね。

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