『故郷へ錦を飾る(こきょうへにしきをかざる)』の意味【使い方・例文・類語も解説】

故郷へ錦を飾るの意味と使い方

「故郷へ錦を飾る(こきょうへにしきをかざる)」という故事成語を知っていますか?

結論から言うと「故郷へ錦を飾る」の意味は「故郷を離れ、功績をあげ、社会的地位や名声を得た者が、晴れ晴れしく故郷へ帰ること」です。

この記事では「故郷へ錦を飾る」の意味はもちろん、例文、類語、由来まで詳しく解説していきます。

「故郷へ錦を飾る」は日常生活やビジネスシーンで頻繁に使うことはありませんが、非常に有名な故事成語です。

必ずどこかで耳にする表現なので、しっかりおさえておきましょう。

『故郷へ錦を飾る』の意味

故郷へ錦を飾る

読み:こきょうへにしきをかざる

意味:故郷を離れ、功績をあげ、社会的地位や名声を得た者が、晴れ晴れしく故郷へ帰ること

先述した通り、「故郷へ錦を飾る」の意味は「故郷を離れ、功績をあげ、社会的地位や名声を得た者が、晴れ晴れしく故郷へ帰ること」です。

「故郷へ錦を飾る」の「錦」とは

「故郷へ錦を飾る」で使用されている「錦」とは、「2色以上の様々な色糸を使用して地色と模様を織り出した高級な絹織物のこと」です。「錦」は中国で紀元前から作られている織物で、立派で豪華なものです。

つまり「故郷へ錦を飾る」における「錦」は、故郷から出るときには到底買うことができなかった高価なものの例えとして使われています。

そんな高価なものを身につけられるほど立派になって帰ってくるさまを例えたのが、「故郷へ錦を飾る」なのです。

『故郷へ錦を飾る』の由来

「故郷へ錦を飾る」の由来は、中国の歴史書である『南史』の「劉之遴伝」と言われています。

『南史』の「劉之遴伝」の一節を見てましょう。「衣錦還郷」が「故郷に錦を飾る」にあたる部分です。

  • 高祖謂曰、卿母年徳並高
  • 故令卿衣錦還郷、盡榮養之理

書き下し文

  • 高祖謂いて曰く、卿の母は年徳並び高し。
  • 故に卿をして錦を衣て、郷に還り、栄養の理を尽くさしめんとす。

現代語訳

高祖(当時の皇帝)は自らの臣下に対して「あなたの母は年齢も徳も高い。だから、あなたに錦の着物を着て帰らせて、親に美しい服や栄養のある食事を勧めて孝養(親を養い孝行すること)を尽くさせたい」と言った。

当時高祖が出世した自らの臣下に向けてかけた言葉が、現代において「出世」「成功」を意味する故事成語として活用されているのです。

『故郷へ錦を飾る』の使い方・例文

例文1.田舎と貧乏が嫌で飛び出して、死に物狂いで学び働いた。責任ある地位につき、業界内でも一目を置かれる存在になった。ようやく故郷へ錦を飾ることができた。

例文2.後ろ盾のない地方出身者には到底出世は無理といわれていたが、ついにこの度代表取締役に就任することができた。まさに故郷へ錦を飾ることができたのだ。

例文3.次の試合に勝てば、悲願の全国制覇だ。僕らの代でようやく故郷へ錦を飾ることができそうだ!

例文4.音楽家への将来をかけていた世界コンクールで見事最優秀賞を獲得できた。これで故郷へ錦を飾り、堂々と日本に帰国できるぞ。

例文5.故郷へ錦を飾ることを目標にどんなに辛くても辞めずにがんばってきた。そしてついに今日、私は社長に就任した。

「故郷へ錦を飾る」は、名声を得る・成功するなど、自分の得た良い結果を表現する際に使用する故事成語です。

日常的に使う言葉ではありませんが、「ここぞ」という時に使用する表現で、特にスポーツ試合のナレーションなどに使われます。

『故郷へ錦を飾る』の類語

「故郷へ錦を飾る」の類語を4つ紹介します。どの類語も「故郷へ錦を飾る」と同様の使い方をします。「故郷へ錦を飾る」と合わせて覚えていきましょう。

  1. 帰るには錦を着ていく
  2. 故郷には錦の袴を着て帰れ
  3. 錦を着て昼行く
  4. 故郷へ花を飾る

1.帰るには錦を着ていく(かえるにはにしきをきていく)

「帰るには錦を着ていく」の意味は「成功・出世し美しく着飾って故郷に帰ること」です。

例文1.僕も責任ある立場になった。帰るには錦を着ていくというように、少しは胸を張って田舎へ帰れるような気がするよ。

例文2.よく帰ってきてくれたね。帰るには錦を着ていくというけれど、こんなに立派になって…東京で苦労もあったと思うけれど、あなたが誇らしいわ。

例文3.帰るには錦を着ていくというだろう。故郷に帰るときにはちゃんとした格好をしなくては。

2.故郷には錦の袴を着て帰れ(こきょうにはにしきのはかまをきてかえれ)

「故郷には錦の袴を着て帰れ」の意味は「故郷を離れ立身出世した者が美しく着飾って故郷へ帰ること」です。

例文1.東京へ行くのね。故郷には錦の袴を着て帰れというように、次にここに戻るときは必ず成功して戻ってきなさい。

例文2.田舎を出るとき「故郷には錦の袴を着て帰れ、というだろう。上京するからには必ず結果を残して帰りなさい」と父に言われた。代表取締役を任された今、ようやくその約束を果たせそうだ。

例文3.故郷には錦の袴を着て帰れっていうけれど、お兄ちゃん、本当に立派になって帰ってきたね。

3.錦を着て昼行く(にしきをきてひるいく)

「錦を着て昼行く」の意味は「故郷を出たものが成功して、着飾って帰郷すること」です。

例文1.錦を着て昼行く、管理職になった今、ようやく胸を張って帰れそうだよ。

例文2.上京していたAくん、とてもあか抜けていいものを身につけているわ。まさに錦を着て昼行く、東京で出世したのねえ。

例文3.どんなことがあってめげずにがんばってきた。役員にまで登りつめて、ようやく錦を着て昼行くが実現できた気がするよ。

4.故郷へ花を飾る(こきょうへはなをかざる)

「故郷へ花を飾る」の意味は「故郷を出た人が出世・成功し、美しく豪華に着飾って帰郷すること」です。

例文1.彼はその才能に溺れず遊ぶ暇も惜しんで、練習に励んでいた。その努力が実を結びついに日本代表に選ばれた。まさに故郷に花を飾ることができたようだ。

例文2.まさか私がB社の社長になる日がこようとは。故郷に花を飾ることがことができた気がするよ。

例文3.先月ついに教授に任命された。両親には随分苦労をかけたが、これで故郷に花を飾ることができた。

『故郷へ錦を飾る』の対義語(反対語)

「故郷へ錦を飾る」の対義語を紹介します。

「故郷へ錦を飾る」の対義語は「錦を衣て夜行くが如し(にしきをきてよるいくがごとし)」です。

「錦を衣て夜行くが如し」の意味は「故郷を離れて立身出世し成功しても、故郷の人に知られずにただ老いて終わってしまうのは出世したかいが無いことの例え」です。

「錦を衣て夜行くが如し」も「故郷へ錦を飾る」と同様に、古代中国由来の故事成語で、ともに「錦」を使用しています。

「故郷へ錦を飾る」は「飾る」という華やかさや明るさを表す用語を使用している一方、「錦を衣て夜行くが如し」は「夜」という暗い用語が使用されています。

こうした使用用語の違いによって、「錦を衣て夜行くが如し」は「錦」が使用されているにもかかわらず、「故郷へ錦を飾る」とは真逆の意味を表しているのです。

まとめ

「故郷へ錦を飾る」は普段生活している中では馴染みがあまりない故事成語です。

しかしその意味や由来、使い方を知ると、日常生活や仕事に活きる故事成語だとわかります。

まずは意味と使い方を理解しながら、由来や類語、対義語までしっかりマスターしてくださいね。

①「故郷へ錦を飾る」の意味

故郷を離れ、功績をあげ、社会的地位や名声を得た者が、晴れ晴れしく故郷へ帰ること

②「故郷へ錦を飾る」の由来

・中国の歴史書である『南史』の「劉之遴伝」

③「故郷へ錦を飾る」の使い方と例文

・田舎と貧乏が嫌で飛び出して、死に物狂いで学び働いた。責任ある地位につき、業界内でも一目を置かれる存在になった。ようやく故郷に錦を飾ることができた。

・後ろ盾のない地方出身者には到底出世は無理といわれていたが、ついにこの度代表取締役に就任することができた。まさに故郷に錦を飾ることができたのだ。

・次の試合に勝てば、悲願の全国制覇だ。僕らの代でようやく故郷に錦を飾ることができそうだ!

・音楽家への将来をかけていた世界コンクールで見事最優秀賞を獲得できた。これで故郷を錦を飾ったと堂々と日本に帰国できるぞ。など

④「故郷へ錦を飾る」の類語
・帰るには錦を着ていく

・故郷には錦の袴を着て帰れ

・錦を着て昼行く

・故郷へ花を飾る

⑤「故郷へ錦を飾る」の対義語(反対語)

・錦を衣て夜行くが如し