協調介入とは
協調介入とは、「為替相場の極端な偏りを直すために、通常2カ国が合意して、それぞれの国で為替介入(外国為替市場介入)を行うこと」です。英語では「concerted intervention」と表記されます。
協調介入が行われる理由は、ある国の通貨価値が急激に変動すると、他の国の経済にも影響が及ぶので、通貨価値のバランスを保つために協調介入が行われています。
ある国の通貨当局が市場に入り、為替取引を行うことです。日本では、主に急激な円安・円高が続いている場合に行われます。
協調介入の対義語
協調介入の対義語には、単独介入があります。
単独介入とは、「一つの国で為替市場に介入すること」です。協調介入よりも規模が小さくなりますが、他国との協調介入が成立しないときなどに行われます。
協調介入と日本の歴史
協調介入を行うためには、2カ国間の同意が必要であるため、双方の国の利害が一致しない場合はなかなか行われません。そのため、先進国間で行われた回数は、それほど多くはありません。
ここでは、歴史上、日本に関係のある以下の2つの事例を解説します。
- プラザ合意(1985年)
- 東日本大震災(2011年)
事例①:プラザ合意(1985年)
1985年、アメリカのドル高を是正するために、アメリカのプラザホテルで先進5カ国が結んだ合意です。
この合意によって参加国は為替介入を行い、ドル安に転じましたが、この影響によって急激な円高になり、日本国内の景気が悪化しました。
事例②:東日本大震災(2011年)
2011年、東日本大震災の発生により、円の流通が少なくなることを見込んだ投資家によって円の買付が進み、急激な円高になりました。
このため、3月18日にはG7による協調介入が行われ、円高が完全には解消されなかったものの、緩やかに円安の傾向が強まりました。
G7とは、英語「Group of Seven(グループオブセブン)」の略で「フランス」「アメリカ合衆国」「イギリス」「ドイツ」「日本」「イタリア」「カナダ及び欧州連合」で構成されているグループのことです。
G7は、「貿易」「安全保障」「経済」「気候変動」に関するグローバルな問題に対して、議論を行い、解決策を模索することを中心に活動しています。
今後の動向:協調介入は行われる?
現在(2022年7月1日)、1ドル=135円台という極端な円安が起こっていますが、日米間では未だ協調介入が行われる見通しは立っていません。
その理由としては、アメリカが現在インフレ状態にあるので、ドル高によって輸入の物価を下げることで、国内での通貨の流通量を抑える目的があるからです。
今後、日銀の単独介入が行われる懸念もあるので、ますます世界情勢に目を凝らしておく必要がありそうですね。