「うだつが上がらない」という言葉は聞いたことがありますが、正しい意味や語源を知っている人は少ないと思います。
結論、「うだつが上がらない」の意味は、「出世しない、生活が向上しないこと」です。なぜ、このような意味になったのか、この記事では語源・由来についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「うだつが上がらない」の意味
うだつが上がらない
読み:うだつがあがらない
意味:出世しない、生活が向上しないこと
「うだつが上がらない」の意味は、「出世しない、生活が向上しないこと」です。努力はしているが、出世したり地位が上がらず良い境遇に恵まれないことを指します。
その他にも、
- 出世しない
- 生活が向上しない
- 良い境遇に恵まれない
- 金銭的にうまくいかない
- ぱっとしない
などの意味があります。基本的には、「出世しない、生活が向上しないこと」と覚えておけば問題ないでしょう。
「うだつ」を漢字で書くこともできます
「うだつ」は、
- 梲
- 卯建
- 宇立
と書くことができます。
本来は「梲」と書きますが、室町時代以降は「卯建」や「宇立」という字が当てられるようになりました。
「うだつが上がらない」の語源・由来
「うだつが上がらない」の語源・由来は、2つあります。
- 卯建(うだつ)の説
- 梲(うだつ)の説
卯建の説
卯建(うだつ)とは、隣りの家との間にある防火壁の目的で作られた、屋根の立ち上がり部分のことです。(下の写真を参照ください)
出典:wikipedia
今は「卯建」を目にすることはほとんどありませんが、昔は「卯建」をより立派にするのがステータスとして考えられていました。
そこから、出世しない、地位が上がらないことを「卯建(うだつ)が上がらない」と表現するようになりました。
梲の説
梲(うだつ)とは、棟木(むなぎ)を支えるために梁(はり)の上に建てる短い柱のことです。少し難しいですが、下の画像の赤い部分をイメージしてください。
出典:https://kotobank.jp/
梲は、屋根の重みを直に受けていることから、上から押さえつけられる象徴として考えられていました。そこから、出世しない、地位が上がらないことを「梲(うだつ)が上がらない」と表現するようになりました。
「うだつが上がらない」の例文と使い方
「うだつが上がらない」は、
- 謙遜するとき
- 良くない現状を表すとき
- その場にいない誰かを評価するとき
などに用いられることが多いです。ネガティブな意味で使われるので、目上の人には使わない方が良いでしょう。
例文①:謙遜するとき
例文1.勤続年数は長いですが、なかなかうだつは上がりません。
例文2.会社ではだいぶ古参になりましたが、うだつが上がらないですよ。
例文3.◯◯さんと違い、なかなかうだつが上がらないですよ。
例文②:良くない現状を表すとき
例文1.自分としては頑張っているんですけど、うだつが上がりません。
例文2.転職を繰り返しているが、なかなかうだつが上がらない。
例文3.継続して結果を出しているんですが、うだつが上がらないですよ。
例文③:その場にいない誰かを評価するとき
例文1.長年頑張っているのを見るけど、彼はうだつが上がらないなぁ。
例文2.彼は新人のホープとして入社したけど、なかなかうだつが上がらないね。
例文3.彼は勤続年数はすごいけど、うだつが上がらないね。
「うだつが上がらない」の使い方の注意点
「うだつが上がらない」の使い方の注意点は、2つあります。
- 面と向かって使わない
- 目上の人には使わない
- 「うだつが上がる」では使わない
注意点①:面と向かって使わない
「君はうだつが上がらないね」のように面と向かって使わない方が良いです。「うだつが上がらない」は、少し強めのニュアンスなので、失礼に当たることがあります。
注意点②:目上の人には使わない
「部長はうだつが上がりませんね」のように、たとえ敬語を使ったとしても、目上の人には使わない方が良いでしょう。確実に失礼に当たるので、注意が必要です。
注意点③:「うだつが上がる」では使わない
「うだつが上がる」のように肯定形で使う表現はありません。「うだつが上がらない」のように否定形で使うことしかできないと覚えておきましょう。
「うだつが上がらない」の英語表現
「うだつが上がらない」は、「get on in the world」で表現することができます。
He can’t get on in the world.
彼はうだつが上がらない。
He doesn’t seem to get on in the world.
彼はうだつが上がらないね。
「うだつが上がらない」の類語
「うだつが上がらない」は、ネガティブな意味が強い言葉です。ここでは、ネガティブな意味の強い類語を5つ紹介します。
- 甲斐性なし
- ごくつぶし
- 伸び悩む
- 鳴かず飛ばず
- 一向に芽が出ない
類語①:甲斐性なし
「甲斐性なし(かいしょうなし)」の意味は、「頼りにならないさま、情けないさま、経済力がないこと」です。甲斐性なしは、「甲斐性なしの男性」のように男性に対して使われることが多いです。
例文1.私の夫は甲斐性がない。
例文2.甲斐性なしと結婚はしないほうがいいよ。
例文3.彼は仕事もプライベートも甲斐性がないのでおすすめできないよ。
類語②:ごくつぶし
「ごくつぶし」の意味は、「定職には付いていないが、一人前に食事だけは取る役立たず」です。稼ぎのない不甲斐ない者を批判する際に使われます。
漢字で書くと、「穀潰し」となります。
例文1.彼は仕事もしないで親に頼ってばかり。本当にごくつぶしだよ。
例文2.ニートはごくつぶしとも言うことができる。
例文3.彼は仕事探しを頑張っているから、ごくつぶしとは言わない方がいい。
類語③:伸び悩む
「伸び悩む」の意味は、「能力や勢いがある段階で停滞してそれ以上になれずにいること」です。「うだつが上がらない」よりは、「能力」や「成長」に焦点が当たっている表現です。
例文1.彼はスランプかわからないが、伸び悩んでいる。
例文2.成長には伸び悩む時期も必要だと考えている。
例文3.彼は伸び悩んでいるが、将来的にはチームの中心選手になるだろうと期待している。
類語④:鳴かず飛ばず
「鳴かず飛ばず」の意味は、
- 将来の活躍の機会を待っているさま
- 何の活躍もしないでいるさま
の2つがあります。
例文1.彼は鳴かず飛ばずの下積み生活を過ごしている。
例文2.芸能界に入ったけど、彼女は鳴かず飛ばずだな。
例文3.彼の芸術家人生は、始めのうちは本当に鳴かず飛ばずだった。
類語⑤:一向に芽が出ない
「一向に芽が出ない」の意味は、「物事がうまくいかずに停滞すること」です。頑張っているものの、なかなか成果が出ない際に、よく使う表現です。
例文1.彼は努力はしているが、一向に芽が出ない。
例文2.彼の才能は確かだが、一向に芽が出ない。
例文3.一向に芽が出ない理由を明確にすることで、ブレイクするーのチャンスをうかがう
持論:うだつが上がらない人の特徴
ここまでで「うだつが上がらない」の意味を理解できたと思います。ここからは、「うだつが上がらない人の特徴」を考えてみます。
20代の戯言として読んでくれるとありがたいです。
特徴①:ネガティブに考えがち
「何事もネガティブに考えてしまう」これも非常に多いと思います。同じ事でも人によって見方は千差万別です。どうせならポジティブに捉えて、前向きに仕事に向き合ったほうがいいですよね。
例えば、「仕事がもうすぐ終わりそう」という時に、
Aさん:あと少しで仕事が終わるぞ!
Bさん:まだこんなに仕事が残っている…。
Aさんはポジティブに捉えていますが、Bさんはネガティブに捉えていますよね。この違いだけでも、仕事のスピードや成果は変わってくると思います。
ちなみに、ネガティブなことをポジティブに捉える心理テクニックを「ポジティブフレーム」と言います。日常的に意識するだけで、物事の捉え方が変わると思いますよ。
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特徴②:他人と比較しがち
「他人とすぐに比較してしまう」これが癖になっている方は多いと思います。私もその一人です。ですが、他人と比較しても得られるものはありません。
「◯◯さんの方ができるから自分はダメだ」
「◯◯の方がなんで年収が高いんだよ」
このように悩んでも虚無感だけが残ります。それよりも、自分がやるべき目の前のことに集中する。これを意識するだけでも、仕事の集中力や成果は変わってきます。
特徴③:言い訳が多い
ある企業のマネージャーと話した際に、「どんな部下が一番困りますか?」という会話をしたことがあります。
その時に、真っ先に「言い訳が多い部下ですね」と答えていました。また、伸びない人は他責(他人のせいにすること)の傾向が強いと言っていました。
私の前職のリクルートでも、「他責にするな、自責で捉えろ」とよく言われものです。うまくいかないときに、環境や他人のせいにするのは簡単ですが、それでは何も変わりません。
まずは、「自分に問題があるのでは?」と自責になることで、改善策が思い浮かぶ可能性が高まると思います。
特徴④:時間を守らない
これは論外ですね。時間を守らない人で出世している人は、ほとんどいないと思います。ある有名社長(誰か忘れました…)の本で、このようなエピソードを読みました。
上場企業の社長が集まる飲み会で、一番の後輩だった社長は30分前には現地に着きました。しかし、すでに全員揃っていたそうです。時間に遅れてはいないので怒られることはなかったそうですが、その時の学びとして下記があったそうです。
- できる人ほど時間厳守(30分前行動のようなマイルールがある)
- 飲み会の冒頭の30〜60分が生産性の高い会話ができる(後半になるにつれて酔ってくるので)
特徴⑤:「後でやる」が口癖
「後でやります」これが口癖になっている人は要注意です。このような方は、たいてい締め切りのギリギリで仕事を終わらせるタイプだと思います。
やるべきことが溜まってくると、頭では「やらないといけない!」とわかっていても、なかなか行動できない悪循環に陥る可能性があります。
「やるべきこと」が頭に残っている状態では、今やっている目の前の仕事の生産性も下がると思っていますい。なので、午前中には、その日やるべきタスクをやるようにしています。また、大きなタスクの場合は、細かく分けて行うようにしています。
そもそもやる気が起きないという方は「5秒の法則」という心理テクニックを試してみてください。
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特徴⑥:他人の成功を喜べない
「同期が出世したら、あなたは手放しで喜べますか?」
「No」と答えた方は、他人の成功を喜ぶというよりも、嫉妬心が強いタイプかもしれません。他人の成功を喜べないということは、どこか自分に劣等感を感じている場合が多いです。
そのような方は、すぐに他人と自分を比較して、無駄な感情が集中力の邪魔をしている可能性が高いです。無駄な嫉妬心はなくして、他人の成功を喜べるようになる。これだけでも、キャリアの描き方は変わってくるはずです。
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特徴⑦:上司や会社の悪口を言いがち
上司や会社の悪口が多い人は、他責思考が強いタイプが多いです。先述したように、他責にしがちな人は、仕事がうまくいかない原因を自分以外に求めます。
つまり、自分のせいではなく、他人のせいだと考えるので、なんの成長もしません。
まとめ
今回は「うだつが上がらない」の意味について解説しました。ネガティブな意味が強い言葉なので、目上の人には使わない。ということをぜひ覚えておきましょう。
①「うだつが上がらない」の意味
出世しない、生活が向上しないこと
②「うだつが上がらない」の語源・由来
「卯建(うだつ)の説」と「梲(うだつ)の説」がある
③「うだつが上がらない」の例文と使い方
「謙遜するとき」「良くない現状を表すとき」「その場にいない誰かを評価するとき」に使う(例文は上記参照)
④「うだつが上がらない」の使い方の注意点
・面と向かって使わない
・目上の人には使わない
⑤「うだつが上がらない」の英語表現
「get on in the world」を使う
⑥「うだつが上がらない」の類語
・甲斐性なし
・ごくつぶし
・伸び悩む
・鳴かず飛ばず
・一向に芽が出ない
⑦うだつが上がらない人の特徴
・ネガティブに考えがち
・他人と比較しがち
・言い訳が多い
・時間を守らない
・「後でやる」が口癖
・他人の成功を喜べない
・上司や会社の悪口を言いがち