ビジネスシーンでよく使う敬語のひとつに、「されています」という表現があります。
実は、「されています」には複数の意味があるため、それぞれの意味を理解した上で使うことが重要です。
この記事では、「されています」の意味や使い方、類語などについてわかりやすく解説していきます。
「されています」の意味
「されています」の意味は、
- 尊敬語(敬語)としての意味
- 受け身としての意味
- 使役としての意味
- 慣習や習慣としての意味
4つあります。
①尊敬語(敬語)としての意味
「されています」には、「(目上の人やクライアントが現在)~されています」という尊敬語としての意味があります。
「されています」は、「する」の尊敬語で、ビジネスシーンでは、主に上司など自分より目上の人やクライアントの行動・動作に対して使います。
「現在~されています(~の動作をされています)」という現在完了の意味を表し、「到着」や「電話」など動作を表す名詞の後につけて使用します。
例文1.部長は現在、別の打ち合わせに出席されています。終わり次第、こちらの会議に出席するとおっしゃっていました。
例文2.課長、1階のロビーに〇〇様が到着されていますので、会議室にご案内します。
例文3.以前私の上司だったAさんは、現在フリーのデザイナーとしてさまざまな分野で活躍されています。
②受け身としての意味
「されています」には、「(自分や相手・第三者が他の人などに)~されています」という受け身としての意味があります。
自分や相手、それ以外の第三者が自らの意思や感情とは関係なく、他の何者かによってある状態になっている様子を表します。
「受け身」と後述する「使役」は、非常に似通っていて混同しやすいです。どちらの意味で使用されているか、ニュアンスをしっかり読み取れるように理解し使い慣れていく必要があります。
例文1.彼は確かに優秀だが、周りに合わせることができないので、大型プロジェクトなどチームワークが必要とされる案件のメンバーからは外されています。
例文2.Bさんは年下だけど、マルチに何でもこなす優秀な子です。だからいろいろな部署から声がかかって、さまざまな案件を任されています。
例文3.彼女はその明るさと親しみやすさから、多くの人に愛されています。
③使役としての意味
「されています」には、「(相手・第三者が他の人のために)~されています」という使役としての意味があります。
使役が受け身と大きく異なる点は、使役の対象者が起こさなくてはならない動作や行動の原因が誰にあるのか、ということです。
先述した通り、受け身の要因は受け身対象者の自らの動作や状態、存在です。一方、「使役」は自ら、つまり使役の対象者自身ではなく、他人の動作や状態、存在が要因になります。
例文1.Cさんは後輩の営業フォローのために、クライアントのオフィスまで行かされています。
例文2.営業アシスタントが一人辞めてしまったので、彼女は現在営業のフォローに回されています。
例文3.人手不足の影響により、アシスタント業務まで、仕事をまわされています。
④慣習や習慣としての意味
「されています」には、「(イベントや物、人が定期的に)~されています」という慣習や習慣としての意味があります。
「毎年~されている」という習慣、「以前からずっと~の状態となっている」という慣習を表します。イベントや物を主語とする場合が、多いようです。
例文1.このフードイベントは毎年2回、春と秋に開催されています。
例文2.あの書は、歴史上の有名な政治家によって書かれたとされています。
例文3.本大会は隔年に一度、毎回違う都市で開催されています。
「されています」の謙譲語と丁寧語
敬語には3つの形「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」がある
尊敬語「されています」の謙譲語と丁寧語を解説するにあたり、まずは敬語の種類を説明します。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類あります。
- 尊敬語:相手(敬語を使う対象者:目上の人やクライアントなど)に対して使用し、相手を立てたり、敬っていることを示す敬語
- 謙譲語:自分の動作や状態を謙(へりくだ)り、その動作を受ける相手(目上の人やクライアントなど)を立てたい時に使う敬語
- 丁寧語:相手を問わず、聞き手に対して、丁寧に内容を伝えたい時に使用する敬語
「する」の謙譲語と丁寧語
先述した「謙譲語」「丁寧語」の意味を踏まながら、「する」のそれぞれの表現と使い方をご紹介します。
1.謙譲語「いたします」の例文
例文1.本日はお忙しいところ、お時間いただきありがとうございました。本日いただいたご意見を踏まえ、来週改めてご提案いたします。
例文2.先ほどはありがとうございました。また追ってご連絡いたします。
例文3.お電話ありがとうございます。大変申し訳ございませんが、△△は席を外しております。またこちらから折り返しいたします。
2.丁寧語「します」の例文
例文1.先ほどはフォローいただき、ありがとうございました。自分のリサーチ不足でご迷惑おかけしました。今後はこのようなことがないようにします。
例文2.申し訳ございません。クライアントから急ぎの電話がきたので、対応後すぐ折り返します。
例文3.午前中は重要な打ち合わせが入っているので、本件は午後すぐに対応します。
「されています」の類語
「されています」の類語は、「なさっています」です。「されています」と同様に「する」の尊敬語で、「(目上の人やクライアントなどが)~なさっています」と表現します。
ビジネスシーンでは、「電話」「対応」など動作や様子を表す名詞の後ろにつけて使用することが多い言葉です。
例文1.部長は現在出張なさっています。伝言は私のほうでお預かりします。
例文2.主任は、先ほどからクライアントと電話なさっています。
例文3.連日イベントのご対応で、大変無理なさっています。明日からゆっくりお休みくださいませ。
まとめ
「されています」は、ビジネスシーンにおいて非常によく使われる敬語です。意味が多様で、シーンやニュアンスに合った使い方が必要とされます。
今回紹介した「されています」の意味と例文、使い方を参考に、ぜひマスターしてくださいね。
①「されています」の意味と使い方
・尊敬語(敬語)としての意味
・受け身としての意味
・使役としての意味
・慣習や習慣としての意味
②「されています」の例文と使い方
・部長は現在、別の打ち合わせに出席されています。終わり次第、こちらの会議に出席するとおっしゃっていました。
・彼は確かに優秀だが、周りに合わせることができないので、大型プロジェクトなどチームワークが必要とされる案件のメンバーからは外されています。
・Cさんは、後輩の営業フォローのためにクライアントのオフィスまで行かされています。
・このフードイベントは毎年2回、春と秋に開催されています。など
③「されています」の謙譲語と丁寧語
・謙譲語:「いたします」
・丁寧語:「します」
④「されています」の類語
・「なさっています」