欧州委員会とは【欧州委員会委員長についても解説】

この記事を読んでいる方の中には、欧州連合(EU)について知っていても、欧州委員会(EC)に関して知らない方がほとんどではないでしょうか。

欧州委員会(EC)とは、「欧州連合(EU)の中で、立法に関する準備を行う行政執行機関のこと」です。別名、「EUの政府(内閣)」とも呼ばれています。

私たちの生活は、世界の情勢に応じて、さまざま影響を受けているため、欧州委員会での決定が、少なからず私たちの生活にも影響を与えています。

この記事で、欧州委員会について知ることには、必ずメリットがあるので、ぜひチェックしてみてください。

目次

欧州委員会とは

欧州委員会とは、欧州連合の政策執行機関のことで、欧州連合(EU)の法案の提出や決定事項の実施、基本条約の支持などの運営を行います。

英語では「European Commission(略称:EC)」と言います。欧州委員会は、EUの行政執行委員会であり「EUの政府、内閣」とも呼ばれています。

本部は「ベルギーのブリュッセル」に置かれており、会合の際には、欧州委員会本部ビルである「ベルレモン」の会議室に集合し、欧州委員会委員長が定めた議題について協議を行います。

特定の会議は、隣国の「ルクセンブルク」で開かれます。委員会で話し合った内容は、委員が記者会見したり、ネット上に議事日程や議事録が公開されます。

欧州委員会委員長とは?

欧州委員会委員長とは、欧州連合の政務執行機関「欧州委員会の首班」で、欧州連合の役職のなかで最も強い権限を持っています。

欧州委員会委員長は、「委員の担当職域を割り当ての変更」「委員の解任」「政策方針」「すべての法案の策定」が可能です。また、EUを代表して、EU大統領とともに主要国首脳会議に出席することができます。

欧州委員会の組織

欧州委員会の組織は、日本の省庁に相当する「総局」で構成され、特定の政策分野や業務を担当します。総局では、主に「欧州委員会の補佐」「政策の実施」「法案の準備」などを行っています。

欧州委員会のスタッフ総数のうち、多くの人が本部のある「ベルギーのブリュッセル」と隣国の「ルクセンブルク」に勤務しています。

また、ベルギーのブリュッセルやルクセンブルク以外のEU地域の勤務、駐日EU代表部の職員などEU圏外などで働く人もいます。

欧州委員会の会合は、毎週水曜日に委員が招集され「ベルギーのブリュッセル」で行われます。欧州議会の本会議がフランスで行われている時は、同地で開催されます。

欧州委員会の役割

欧州委員会は、EU加盟国の政府からは、独立した立場で権限を持っているため、外部からの影響を受けない中立性の立場としての役割を担っています。

欧州委員会の役割は、以下のとおりです。

  1. 新規法案を提出する
  2. EU法の遵守を監視する
  3. EUの代表として交渉する
  4. 政策の遂行・運営を行う
  5. 予算の割当をする

①新規法案を提出する

欧州委員会では、新規法案を策定します。

欧州委員会は、唯一EUの主要な機関のなかで、新規法案を提出する権限を持っています。欧州連合理事会と欧州議会は欧州委員会に対して、法案の提出を要求することができます。

②EU法の遵守を監視する

EUの規則が確実に執行されていることを確認する権限を持っています。規則違反があればEU司法裁判所に提訴します。

③EUの代表として交渉する

EU加盟国を代表して、開発・人道援助・環境・貿易・競争政策などEUに権限が移った政策分野に関して交渉します。

④政策の遂行・運営を行う

EUの各政策を遂行したり、運営する役割を担います。また、政策の予算の管理も行います。

⑤予算の割当をする

EU理事会と欧州議会と協力して、予算の優先事項を決め、年間の予算案を提案します。予算案の執行状況を、欧州委員会が会計検査院の監督下で確認を行います。

欧州委員会と欧州議会の違い

欧州委員会と欧州議会の違いは、以下のとおりです。

  • 欧州委員会:EUの内閣機関であり、法案の提出、EU法の施行と遵守を行う
  • 欧州議会:EUの立法機関のひとつであり、政策分野の法案を決める

欧州議会は、5年1度の直接選挙で選ばれた議員で構成されています。

欧州委員会は、法案の提出権を唯一有しているため、欧州議会は法案の作成ができませんが、EUの政策分野の法案を欧州連合理事会と共同で決定します。

欧州連合理事会は、欧州委員会が提出する予算案に対して、同等の責任を持っているため、予算案の承認・拒否を行うことができます。また、欧州議会は、5年に1度の欧州委員会委員長の任命にも影響力を持っています。

目次
閉じる