プロダクトアウトの意味とは?【知っておきたいビジネス用語】
「プロダクトアウト」(product out)とは、「提供側の発想で商品の企画・開発提供を行うこと」です。自社の強みや技術を活かした商品を展開することで、「作り手がいいと思うものを作る」提供側視点のマーケティング手法です。
例えば、高度経済成長期の日本では、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫が大量に売れていました。当時は消費者ニーズが顕在化していたので、マーケット調査をしなくても、作り手が良いと思うモノを作れば、売れた時代です。そのため、この時期は「プロダクトアウト」の象徴的な時代と言われています。
一方で、高度経済成長期を過ぎると、多くの業界で供給過剰となり、消費者の好みが多様化してきました。その結果として、自社の売りたいモノを売っているだけでは売れない時代になりました。
プロダクトアウトのメリットとデメリット
プロダクトアウトのメリット
メリット:①差別化を図ることができる
自社の強みを活かしているので、他社とのポジショニングが明確になり、差別化しやすくなります。
メリット:②爆発的な人気・収益を得られる可能性を秘めている
上記の自社の強みがうまく商品開発と結びついた場合、画期的な製品やサービスによって独占的な市場を作り出し、企業の優位性を高める事ができます。
プロダクトアウトのデメリット
デメリット:①消費者に受け入れられないリスクがある
「作り手がいいと思うものを作る」という提供側優先の発想で開発したサービスになるため、製品がユーザーが求めるものと異なる可能性が高くなります。
デメリット:②売上げがあがらなかった際の判断が遅くなる可能性がある
売上げがあがっていない場合にも、売り手の創りたいものを作っているので、見直しのタイミングが難しく経営判断が遅くなることがあります。
プロダクトアウトの事例
「プロダクトアウト」の時代は終わり、顧客視点に近い「マーケットイン」の考え方が主流になりました。しかし、現代でも「プロダクトアウト」で成功している事例は数多くあります。
例えば、いまでは誰もが知っているApple社製品であるiPhoneやMacbookは、販売当時はデザインや機能が斬新すぎると言われ、マーケットに受け入れられない懸念がありました。しかし、スティーブ・ジョブズのアイデアは、その斬新さとシンプルさによって、顧客自身がまだ気が付いていないニーズを見事に満たし、非常に高い収益とともに、爆発的なヒットとなりました。
このように「プロダクト アウト」の発想は、顧客自身が気が付いていないニーズと自社の強みが一致した際に爆発的なヒットを生む可能性を秘めているともいえます。