ソーシャルレンディングの運用期間とは?
運用期間とは、ファンドが集めた資金を運用、投資、融資する期間のことです。
ソーシャルレンディングの運用期間とは、ソーシャルレンディング事業者が投資家からお金を集めて企業に融資してから、そのお金が借り手企業から返済されるまでの期間を指します。
ソーシャルレンディングの運用期間はさまざまで、1ヶ月程度のものから、36ヶ月(3年間)までさまざまです。
一般的には運用期間が6ヶ月以下の場合は「短期運用案件」、1年以上の場合は「長期運用案件」と呼ばれます。
短期運用案件のメリット
短期運用案件のメリット
メリット①:必要な時にお金を引き出せないリスクが低い
ソーシャルレンディングでは、一度お金を投資すると、運用期間が終わるまで、引き出すことができないというリスクがあります。
このリスクは短期運用案件でもありますが、短期運用案件においては、数ヶ月程度でお金が戻ってきます。そのため、お金が必要だと思ったら、数ヶ月待てばお金を引き出すことができるのです。
メリット②:市況リスクが低い
市況リスクとは、景気などが悪くなって借り手企業やソーシャルレンディング事業者自体が倒産してしまうリスクのことです。
短期運用案件に投資していれば、景気が悪くなるなどして、ソーシャルレンディング投資が危険だと判断した場合には、比較的短期間で資金を撤退させることができます。
メリット③:貸し倒れリスクが低い
短期運用案件は、長期運用案件と比べて、ソーシャルレンディング最大のリスクである貸し倒れリスクも低くなります。
短期でお金を借りようとする企業は、財政的な健全性が高いことが多いからです。
仮に財政の健全性が悪かったとしても、数ヶ月先の業績を予想するのは、数年後の業績を予想するよりもずっと簡単なので、審査の精度も高くなると考えられます。
短期運用案件のデメリット
デメリット①:投資効率が悪い
「ソーシャルレンディングの案件に投資してから実際に運用が開始されるまで」と「運用が終了」してからお金が戻ってくるまでには、少し時間がかかります。
どのくらいの時間がかかるかは事業者によって異なりますが、それぞれ2週間程度はかかります。
例えば、運用期間が3ヶ月だった場合には、お金を投資してからお金が戻ってくるまでには4ヶ月程度かかることになります。
もちろん運用期間は3ヶ月なので、運用されていない1ヶ月の間、お金は1円も増えません。そのため、短期運用案件では長期運用案件と比べて投資の効率が悪いくなります。
また、短期運用案件には、長期運用案件と比べて利回りも低めに設定されている傾向があります。そのため、長期運用案件と比べてリターンは小さなものになります。
デメリット②:次の案件になかなか投資できない可能性がある
短期運用案件を中心に投資を行う場合、次に投資する案件を探しておく必要があります。
『SBIソーシャルレンディング』や『Funds』など、人気の事業者の場合には、募集するとすぐにお金が集まり、案件が短期間しか募集されないことがよくあります。
そのため、お金が戻ってきた時、次に投資できる案件がないこともあります。投資する案件を見つけられず、待つ時間が長くなると、それだけ投資効率も落ちます。
ソーシャルレンディング事業者の中には、常に何らかの案件が募集されています。ソーシャルレンディング事業者は、一つに絞るのではなく、複数利用することをおすすめします。
デメリット③:手間がかかる
ソーシャルレンディングは、あまり手間がかからない投資商品ですが、短期運用案件の場合、再投資する手間が多くかかってしまいます。
長期運用案件のメリット・デメリット
長期運用案件のメリット
メリット①:投資効率が良い
長期運用案件は、投資の効率が良いです。
長期運用案件は利回りが高めに設定されていることが多いため、効率的に資産を増やしていくことができます。
また、「投資家がソーシャルレンディングの案件にお金を投資してから実際に運用が開始されるまで」と「運用が終了してからお金が戻ってくるまで」にはそれぞれ2週間程度の時間がかかります。
この時間は運用期間ではないのでお金が1円も増えませんが、長期運用案件では1つの案件に長く投資するため、この期間が生まれる回数が少なくて済みます。
メリット②:投資の手間が少ない
ソーシャルレンディングでお金を運用している間は新しい案件を探す必要がありません。そのため、長期運用案件には投資にかかる手間が少ないという特徴があります。
忙しくて投資にかけられる時間が少ない人にはうれしいですね。
長期運用案件のデメリット
デメリット①:リスクが高い
長期運用案件にはソーシャルレンディング投資に関する必要な時にお金を引き出せないリスク、市況リスク、貸し倒れリスク、などのリスクがあります
デメリット②:他の投資対象に資金を移しにくい
他の投資対象に資金を移しにくいのも長期運用案件のデメリットと言えるでしょう。
当然ながら、長期運用案件はお金を投資してから戻ってくるまでに長い時間がかかります。そのため、一度投資するとお金はしばらく使うことができません。
他に魅力的な投資対象があったとしても、そこに資金を移すまでには長い時間がかかってしまいます。
「短期運用案件」と「長期運用案件」どちらが良い?
- 長期運用案件:比較的リスクが高めだがリターンも大きめ
- 短期運用案件:比較的リスクが低めだがリターンも小さめ
両者にはこのような特徴があるため、結局リスクを取って高い利益を得るか、リスクを避けて堅実に利益を得るかの違いでしかありません。
どちらを選択するかは個人の投資スタイルで決めていくのが良いでしょう。事実として、短期運用案件を好む人もいれば、長期運用案件を好む人もいます。
補足:早期償還と延滞についても知っておこう
ソーシャルレンディングの運用期間は、案件によって、短くなったり、長くなったりすることがあります。
短くなった場合には「早期償還」、長くなった場合には「延滞」と呼ばれます。
早期償還(繰り上げ返済)
早期償還とは、企業があらかじめ決めた期限よりも早く返済を行うことです。
早期償還が行われると本来よりも運用期間が短くなるため、利益は小さくなってしまいます。
また、投資スケジュールが変わり、次に投資する対象を慌てて見つける必要があるため、早期償還は投資家からあまり歓迎されません。
延滞
延滞とは、借り手企業があらかじめ決められた期限までにお金を返せないことです。
延滞が起こると、基本的に遅れて返済されますが、返済されないリスクもあります。返済がきちんと行われた場合には、運用期間が長くなった分、借り手企業に延滞税がかかるので、利益は大きくなります。
しかし、投資のスケジュールを立てていた場合には予定していた投資対象に投資できなくなる可能性があるので、延滞も投資家から歓迎されないことが多いです。