ダンピングとは
ダンピングには、下記3つの意味があります。
- 収支のバランスを無視して、不当に商品を安売りすること
- 2国間での貿易における輸入国の市場において、輸出元の国内販売価格より安く販売されること
- 一度に勢いよく積み荷を下ろすこと
ビジネスシーンにおいては、①や②の意味で使用されることが多く、「不当廉売(ふとうれんばい)」「投げ売り」とも言われています。市場適正価格より不当なほど低価格で販売する場合、公正な市場競争を妨げる行為とされ、場合によっては処罰を受けます。
ちなみに、スーパーやディスカウントストアが日常的に(一定期間にわたって中長期的に)商品を安く販売することは、ダンピングには含まれません(収支のバランスを考えた上で実施しているため)。
ダンピングが不当とされている理由
ダンピングは競合他社やエンドユーザーの利害を著しく損害させる可能性が高いため、ビジネスシーンにおいて不当とされています。
例えば、とある商店街の近くに新しくショッピングセンターがオープンしたとします。
- オープン後に利用者の人数は大幅に増えないため、商店街とショッピングセンターで消費者獲得競争が起こる
- 当然長年消費者からの信頼を勝ち得ている商店街が有利になる
- ショッピングセンターは消費者を惹きつけるため、長期的な利益を度外視した超低価格販売を開始する(ダンピング)
- 消費者はショッピングセンターへと流れる
- 競争に敗れた商店街は廃れ、競争力を失う
- 競合である商店街の競争力が弱まった後にショッピングセンターは価格調整を実施。消費者に不利益をもたらす価格での販売を行う
- 商店街が廃れたため、消費者の購入圏はショッピングセンターに縛られ、消費者にとって不利益がもたらされる可能性が高くなる
上記のようにダンピングを実施すると、消費者の惹きつけや需要回復につながる一方で、他社の競争力の低下やエンドユーザーである消費者の不利益を招く恐れがあります。
一方、在庫処分を目的とした短期的なダンピング実施は、次項で紹介する法律の禁止行為とはされない場合もあります。
ダンピングを罰する法律
長期的かつ戦略的に実施されるダンピングは国内外問わず、すべてのビジネスシーンにおいて不当とされる行為です。こうしたダンピングを防止するための法律をご紹介します。
独占禁止法
日本国内におけるダンピング防止のための法律。公正で自由な市場競争を促進し、各事業者が自由に公平に事業活動が行えるようにするために定められました。独占禁止法によって、消費者(企業よりも弱者とされる)のニーズを満たしながら、守ることが可能になりました。独占禁止法を違反した場合は、対象事業者に対して相応の罰則が課せられます。
国際経済法
国家間の経済活動における不当ダンピング防止関連の法律。諸説あり定まりきっていない部分もありますが、特に下記の2点に当てはまる行為は、特別措置が取られます。
- 輸入国市場において、輸出元国内販売価格よりも安く販売されている場合
- 輸入国市場において、その市場価格よりも安価に輸入品が販売されることで輸入国産業に損害が生じている場合