オルタナティブ取引の意味と特徴とは
オルタナティブ(alternative)には、「別・取って代わるもの・代替」という意味があります。
そのため、オルタナティブ取引は「株式・債券などの伝統的な取引・取って代わった別の取引」という意味で使われています。
また、「オルタナティブ投資」という名前で呼ばれることもあります。
オルタナティブ取引の特徴
オルタナティブ取引の特徴は、以下の3つが挙げられます。
- 株式や債券などの価格変動の影響を受けにくい
- 取引できる資産には豊富な種類がある
- 流動性の低い資産が多く、リスクが高い
特徴①:株式や債券などの価格変動の影響を受けにくい
オルタナティブ取引で取り扱われる資産は、株式や債券による価格の変動の影響を受けにくいという特徴があります。
資産ごとに市場が異なるものもあり、それぞれで独特な価格変動の傾向を持っているため、株式や債券のような大きな市場の影響を受けにくくなっています。
特徴②:取引できる資産には、豊富な種類がある
オルタナティブ取引で取引できる資産には、実に豊富な種類があります。代表的な種類は、下記の「オルタナティブ取引の種類」でも紹介していますが、ここでも少し紹介します。
オルタナティブ取引で扱われているものは、以下の5つです。
- コモディティ
- ヘッジファンド
- プライベート・エクイティ投資
- 不動産
- クラウドファンディング
以上の豊富な種類から、自分の投資スタイルに合ったものを取引することができます。
特徴③:流動性の低い資産が多く、リスクが高い
オルタナティブ取引では、取り扱われる資産において流動性が低いものが多く、投資リスクが高いと言われています。
株式や債券のように、大多数の売り手と買い手が存在する大きな市場で取り扱わない資産もあるため、その分価格が変動しやすく、リスクが高まる傾向があります。
オルタナティブ取引の種類
ここでは、オルタナティブ取引として扱われる代表的なものを5つ紹介します。
オルタナティブ取引の種類は、以下の5つです。
- コモディティ
- ヘッジファンド
- プライベート・エクイティ投資
- 不動産
- クラウドファンディング
①コモディティ
コモディティとは、「商品、(農業や鉱業での)産物」という意味です。そのため、金や銀などの貴金属、原油やガソリンなどのエネルギー、トウモロコシや大豆などの穀物に投資することです。
対象となるものには実に豊富な種類があり、市場の影響を受けにくく、また「美術品」や「ビンテージワイン」などの骨董品に投資する場合もあります。
②ヘッジファンド
ヘッジファンドとは、大口の投資家がファンドマネージャーに資金を預け、代わりに投資をしてもらう取引です。取り扱われるのは主に株式ですが、投資家はヘッジファンドに対して投資をするため、オルタナティブ取引に入ります。
同じような取引に「投資信託」があります。投資信託は、資金の使用方法や用途が限られていますが、ヘッジファンドは自由性が高く、先物取引などのデリバティブ取引(「通貨」「金利」「債券」「株式」などから派生した金融派生商品の取引)を扱うこともできます。
③プライベート・エクイティ投資
プライベート・エクイティとは、未上場企業の株式のことです。
未上場企業の株式を取得して、他の事業会社に売却したり、企業が上場した後に売却するなどの取引方法が挙げられます。
④不動産
意外かもしれませんが、不動産を扱った資金調達も、オルタナティブ取引に入ります。
土地を購入して、買付額よりも価値が上がったときに売ったり、購入した不動産を第三者に貸し出して賃料を得るなどのやり方があります。
⑤クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、企業や個人がプロジェクトを立ち上げて、その資金をネットを通じて得る方法です。この場合、資金を提供する人が投資家になります。
クラウドファンディングのプロジェクトごとによって、投資家へのリターンの種類が異なります。
オルタナティブ取引のメリット・デメリット
オルタナティブ取引のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
- メリット:リスクヘッジをしやすく、豊富な種類の中から選べる
- デメリット:取引方法が難しいものもあり、投資リスクが大きい
以上の内容を踏まえた上で、以下のメリット・デメリットでも詳しく解説していきます。
オルタナティブ取引のメリット
オルタナティブ取引のメリットは、以下の2つです。
- リスクヘッジをしやすい
- 豊富な種類の中から商品を選べる
前でも触れたように、オルタナティブ取引は、資産ごとに市場が異なるものもあり、株式・債券の価格変動の影響を受けにくい投資をすることができます。
株価が暴落してしまったときでも、オルタナティブ取引で得たリターンによってカバーすることも可能です。
また、オルタナティブ取引では豊富な種類の資産が扱われているため、自分に合った取引を見つけることができます。
リスクヘッジとは、取引で起こりうるリスクを予想して、リスクをカバーできる体制を整えておくことです。
【例:株式(現物)を買付し、同時に、先物市場でも売りの注文しておいた場合】
株式(現物)の下落が続いた時に、先物取引で売ったものを安く買い戻すことによって、株式(現物)の取引で生じた損失(リスク)をカバーすることができます。
つまり、リスクヘッジとは、価格変動のリスクを考えた上で、万が一下落した場合でも、損失を最小限に食い止めるための運用方法です。
オルタナティブ取引のデメリット
オルタナティブ取引のデメリットは、以下の2つです。
- 中には取引方法が複雑なものがある
- 投資リスクが大きい
オルタナティブ取引にも、ものによっては手続が複雑なものもあり、事前にしっかりと調べておく必要があります。それぞれにおいて取引ルールも異なっているため、取引の不透明性が指摘されます。
また、流動性が低い資産を取り扱うこともあるため、価格の変動が激しいなど、投資リスクが大きくなることも予想されます。
オルタナティブ取引を行う際には、自分の投資スタイルを見直しながら、計画的な投資を行うことを心がけましょう。