「急いては事を仕損じる(せいてはことをしそんじる)」ということわざを知っていますか?
結論からいうと「急いては事を仕損じる」の意味は「何事も焦ってやると失敗しやすいので、急いでいるときほど落ち着いて行動したほうが良いこと」です。
この記事では「急いては事を仕損じる」の意味はもちろん、使い方、由来、類義語、対義語(反対語)、そして英語表現まで詳しく解説していきます。
日常生活からビジネスまで幅広いシーンで活躍することわざなので、意味や使い方だけでなく、類義語、対義語、英語表現までチェックしてみてください。
『急いては事を仕損じる』の意味
急いては事を仕損じる
読み:せいてはことをしそんじる
意味:何事も焦ってやると失敗しやすいので、急いでいるときほど落ち着いて行動したほうが良いこと
先述した通り、「急いては事を仕損じる」の意味は「何事も焦ってやると失敗しやすいので、急いでいるときほど落ち着いて行動したほうが良いこと」です。
急いでいるときほど焦ってしまい、失敗することありますよね。急いでやるよりも、冷静に落ち着いて行動した方が時間の短縮につながることを示唆しています。
『急いては事を仕損じる』の語源・由来
「急いては事を仕損じる」の語源は、「急いでいるときほどじっくり落ち着いて行動すべき」という先人の教えです。
ビジネスや日常生活で成功や手柄を急いでしまうと、冷静さを失ったり、普段なら起こさない失敗を招いてしまうという戒めの意味が込められています。
『急いては事を仕損じる』の例文・使い方
例文1.大規模な新規獲得がかかった重要なプレゼンが来週に迫っている。急いては事を仕損じるというので準備は落ち着いて進めよう。
例文2.テレビで紹介されたとたん、予想をはるかに上回る注文数になった。急いては事を仕損じるというが、焦ってミスがあったら大変なので冷静にひとつずつ対応しよう。
例文3.君がとてもうまく進めてくれているので新事業も軌道に乗りつつある。だがここからが正念場だ。急いては事を仕損じる、何事も焦らず落ち着いて進めてほしい。
例文4.急いては事を仕損じる、うまくいっているからといって焦ってはいけないよ。
例文5.とても素敵な人に出会ったの! でも急いては事を仕損じるというでしょ? 先を急がずにじっくり付き合ってみるわ。
「急いては事を仕損じる」は、予期せぬ状況に陥ったときや自分や他者の今後の行動を戒めるときに使われます。
あまり日常的に使う言葉ではありませんが、自分への戒めとして覚えておくと良いかもしれません。
『急いては事を仕損じる』の類義語
「急いては事を仕損じる」には似た意味のことわざ、つまり類語がいくつかあります。
ここでは「急いては事を仕損じる」の類語を5つ紹介します。
①急がば回れ(いそがばまわれ)
「急がば回れ」の意味は「急いでいるときほど、どんな危険が待ち受けているかわからない近道を選ぶのではなく、安全で確実にたどり着けるとわかっている回り道を選ぶほうがよいということ」です。
「急がば回れ」は、室町時代の日本が由来とされています。
例文1.急がば回れというだろう、何ごとも急いで楽をしようとしてはいけないよ。
例文2.約束の時間に遅れそうだったのでいつも使わない近道を通ったら迷ってしまった。急がば回れ、急いでいるときときほど確実にわかる道を使うべきだった。
例文3.楽なダイエットなんてないさ。急がば回れというだろう、早く痩せたいなら運動して食生活を見直すというベーシックなダイエット方法が最も効果的なんだ。
②急く事はゆるりとせよ(せくことはゆるりとせよ)
「急く事はゆるりとせよ」の意味は「急いでいることほど焦らずゆっくりやるほうが失敗せずに早くできるいうこと」です。
例文1.急く事はゆるりとせよ、早くやり遂げたいならまず落ち着くことが大切だ。
例文2.ここからが正念場だ。スケジュールもおしてきているが、急く事はゆるりとせよ、急いでいるときこそ落ち着いて確実に結果を出してくれ。
例文3.プレゼンまでもうあまり時間がないが、急く事はゆるりとせよ、焦らずにじっくり準備しよう。
③走れば躓く(はしればつまづく)
「走れば躓く」の意味は「物事は焦ってやると失敗するので、急ぎでいるときこそ慎重にやるべきということ」です。
「走る」=「急ぐ」、「躓く」=「失敗する」を表していることわざです。
例文1.とにかく今は落ち着いて。走れば躓くというだろう、焦ってもいいことなんてないよ。
例文2.同期の営業成績を見るとやはり結果を焦ってしまうが、走れば躓くというように今こそさらに慎重に営業活動しようと思う。
例文3.目標まであと少しだ。確実に達成するためにも、走れば躓くで焦らずゆっくり進めるべきだ。
④慌てる乞食は貰いが少ない(あわてるこじきはもらいがすくない)
「慌てる乞食は貰いが少ない」の意味は「成果や手柄を得ようと急ぎすぎると、かえって失敗や不利益を被るということ」です。
「慌てる乞食は貰いが少ない」は、「他者よりも多くをもらおうと施しを貰おうとする乞食は、施しを与える人からその欲深さを嫌われて、貰いが少なくなってしまう」という例えに由来しています。急ぐことが失敗を招くという部分が、「急いては事を仕損じる」の意味と似ています。
例文1.慌てる乞食は貰いが少ないというだろう、焦って行動するといい結果は生まれないよ。
例文2.周りに負けじと焦りすぎて失敗してしまった。慌てる乞食は貰いが少ないということわざを身をもって知った。
例文3.先手必勝もいいが、相手より早くと焦るあまり負けてしまっては元も子もない。慌てる乞食は貰いが少ないというように、焦らずじっくり取り組むことが重要だ。
⑤短気は損気(たんきはそんき)
「短気は損気」の意味は「短気を起こすと、結果として自分が損するということ」です。
「短気は損気」は「たんきはそんき」という語呂合わせのいい慣用句で、由来は江戸時代の日本、近松門左衛門の人情浄瑠璃の演目とされています。
例文1.短気は損気。怒ってばかりいるといいことないよ。
例文2.イライラしてばかりいると、いつか絶対よくないことが起きるよ。短気は損気、少し外にでて気持ちを切り替えてきたら?
例文3.外部会社の納品物のクオリティにイラついてばかりではいけない。短気は損気、すぐに怒らないで冷静に対応しよう。
『急いては事を仕損じる』の対義語(反対語)
『急いては事を仕損じる』にはいくつかの対義語があります。
『急いては事を仕損じる」の意味は「何事も焦ってやると失敗しやすいので、急いでいるときほど落ち着いて行動したほうが良いこと」でした。つまり『急いては事を仕損じる』の反対の意味は「人よりも先に物事を行うことで成功することができること」となります。
ここでは『急いては事を仕損じる』の対義語を4つ紹介します。
①先んずれば人を制す(さきんずればひとをせいす)
「先んずれば人を制す」の意味は「何事も他人より先に行えば自分が有利な立場に立てること」です。
「先んずれば人を制す」は中国の歴史書「史記」が由来とされています。
例文1.急がば先んずれば人を制すと言葉があるが、様子を伺うだけでなく先手を打つことも大切だ。
例文2.この市場がブルーオーシャンのうちに、先んずれば人を制す、競合より先に行動を起こすべきだ
例文3.恋愛において、先んずれば人を制すという考え方は通用しないようだ。
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②善は急げ(ぜんはいそげ)
「善は急げ」の意味は「良いと思ったことは、ためらわず、すぐに実行に移すべきということ」です。
例文1.雑誌で紹介されて完売していた人気商品を見つけたので、善は急げですぐに買った。
例文2.善は急げというだろう、いいと思ったらすぐに行動すべきだ。
例文3.たまたま見ていた求人に探していた条件のものがあった。転職を急いでいるわけではなかったが善は急げですぐに応募した。
③思い立ったが吉日(おもいたったがきちじつ)
「思い立ったが吉日」の意味は「物事を思いついたら、あれこれ考えずにすぐに実行したほうがいいということ」です。
暦の上の縁起がいい日のことを指す「吉日」を使ったことわざです。
例文1.何かやりたいと思ったとき一度立ち止まって考えることも大切だが、思い立ったが吉日ですぐに行動に移すことも時には必要だ。
例文2.だらだら考えてしまうのなら、思い立ったが吉日でまずはやってみなよ。
例文3.慎重であることが君の利点だが考えすぎてしまうね。思い立ったが吉日ということわざがあるように、時には思い切った行動も重要だと僕は思うよ。
④先手必勝(せんてひっしょう)
「先手必勝」の意味は「先に行動した者が有利な立場に立てるということ」です。
例文1.先手必勝、先に勝負を仕掛けて一気に勝利しよう。
例文2.親戚で集まると必ずカードゲームをする。先手必勝というが、私は何ごとも自分から仕掛けたほうが勝率がいい。
例文3.先手必勝もいいが、あの選手の敗因はあまりにも相手の様子を見すぎたからだ。スポーツにおいて状況によっては先手必勝が有効な場合もあるようだ。
『急いては事を仕損じる』の英語表現
「急いては事を仕損じる」には英語表現があります。
この英文は
- haste:(名詞)急ぐこと
- make:(動詞)~を生じさせる
- waste:(名詞)無駄
という3つの単語で構成されています。
直訳すると「急ぐことは無駄を生じさせる」となり、「急いては事を仕損じる」もしくはその類語である「急がば回れ」と訳されます。
知っておきたい! 「急いては事を仕損じる」の中国語表現
「急いては事を仕損じる」には中国語の定型表現もあります。
この中文は
- 忙:(副詞)急いで
- 错:(名詞)間違い
といった意味の単語で構成され、「急いては事を仕損じる」という同じ意味で使われます。
「急いては事を仕損じる」はまさに万国共通の表現だといえます。
まとめ
「急いては事を仕損じる」は日常生活からビジネスに至るまでさまざまなシーンで役立つことわざです。
仕事やプライベートで焦ったり急いでしまっていると感じたときは、「急いては事を仕損じる」を戒めとして一度立ち止まってみてください。また、自分だけでなく友人や後輩などへのアドバイスとしても活用できることわざです。
「急いては事を仕損じる」を正しく使うだけでなく、類語や対義語、英語表現も積極的に活用してみてくださいね。
①「急いては事を仕損じる」の意味
・何事も焦ってやると失敗しやすいので、急いでいるときほど落ち着いて行動したほうが良いこと
②「急いては事を仕損じる」の由来
・「急いでいるときほどじっくり落ち着いて行動すべき」という先人の教え から
③「急いては事を仕損じる」の使い方と例文
・大規模な新規獲得がかかった重要なプレゼンが来週に迫っている。急いては事を仕損じるというので準備は抜かりなく進めよう。
・テレビで紹介されたとたん、予想をはるかに上回る注文数になった。急いては事を仕損じるというが、焦ってミスがあったら大変なので落ち着いてひとつずつ対応しよう。
・君は非常にうまく進めてくれているので新事業も軌道に乗りつつある。だがここからが正念場だ。急いては事を仕損じる、何事も焦らず落ち着いて進めてほしい。 など
④「急いては事を仕損じる」の類語
・急がば回れ
・急く事はゆるりとせよ
・走れば躓く
・慌てる乞食は貰いが少ない
・短気は損気
⑤「急いては事を仕損じる」の対義語(反対語)
・先んずれば人を制す
・善は急げ
・思い立ったが吉日
・先手必勝
⑥「急いては事を仕損じる」の英語表現
・Haste makes waste.