三方よしの意味と語源【英語での言い方についても解説】

三方よしの意味

「三方よし」は伊藤忠商事の企業理念にも掲げられており、ビジネスにおいては非常に重要な考え方です。日常的に使う言葉ではありませんが、ビジネスパーソンの方は知っておきたいですね。

結論から言うと、三方よしは「売り手よし、買い手よし、世間よし」という考え方です。

この記事では、「三方よし」の意味だけでなく、語源や英語表現についても解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

目次

三方よしの意味

三方よし

読み:さんぽうよし

意味:売り手よし、買い手よし、世間よしという考え方

三方よしとは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という考え方です。

自社の利益だけを追うのではなく、多くの人に喜ばれる商品を提供する。そして、その利益を社会のために使っていく。そうすることで、売り手よし、買い手よし、世間よしという関係性ができあがります。

現代の「三方よし」の考え方

三方よしは、「売り手(顧客)よし、買い手(会社)よし、世間(社会)よし」という考え方ですが、現代では株主や従業員などのステークホルダーも含めて考えられることが多いです。

つまり、顧客と自社と社会が良いだけでなく、会社で働く従業員や会社に投資してくれている株主も大切にすることが重要ということです。

【持論】うまくいっている会社は三方よし?

考えてみると、長年うまくいっている会社は「三方よし」がビジネスの根底にある場合が多いと思います。例えば、amazonはその代表例かなと思います。

売り手よし:売上は年々上がっている

買い手よし:通販で安く購入できる

世間よし:amazonサービスのおかげで世の中が便利になっている

amazonの場合、儲かったお金を研究費に投資する割合が多いので、私たちの生活がより良くなるサービスを提供し続けています。

これからamazon GO(レジに人がいない無人コンビニ)も本格的に始まると思うので、世の中の利便性を高めてくれることに期待したいですね。

三方よしの語源は近江商人

近江商人

出典:wikipedia

三方よしの語源は、近江商人と言われています。近江商人とは、近江(滋賀県)に本店を置いて、江戸から明治にかけて日本各地で活躍した商売人のことです。

売り手よしと買い手よしは前提

近江商人は信用を得るために「三方よし」を非常に大切にしていました。

自分たち(売り手)の利益だけではなく、お客さん(買い手)に喜ばれる商品を提供し続ける。そして、徐々にお客さんからの信頼を獲得していく。

そうすることで、お客さんから選ばれる会社に成長していったのです。

最終的には、世間よし

そして近江商人は、稼いだお金で「橋」や「学校」を無償で建てます。

売り手と買い手がよいだけではなく、社会がより良くなることが重要。それが近江商人の商売の根底にあります。

補足:近江商人の商売十訓

近江商人の考え方は非常に素晴らしいので、備忘録として商売十訓を記載しておきます。

一、商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり。

二、店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何。

三、売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる。

四、資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし。

五、無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ。

六、良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり。

七、紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ。

八、正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ。

九、今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ。

十、商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ。

出典:近江商人の商売十訓

三方よしを企業理念に掲げる会社

伊藤忠商事のロゴ

「三方よし」を企業理念に掲げる会社は、数多くあると思います。それほど、商売においては大事な考え方ということです。

ここでは、「三方よし」を企業理念に掲げていることで有名な伊藤忠商事を紹介します。

伊藤忠商事

私が「三方よし」という言葉を知ったのは、就活時代に伊藤忠商事の説明会を受けたときです。(「三方よし」と検索すると、1位に伊藤忠商事の会社HPが出ると思います)

実は、三方よしという言葉は、伊藤忠グループの創業者「伊藤忠兵衛」が作ったとも言われています。そのため、1858年の創業以来、伊藤忠の創業の精神として受け継がれており、現在では企業理念として大事にされています。

三方よしとウィンウィンは違う

「三方よし」と似ている考え方に「WinWin(ウィンウィン)」があります。ですが、両者を比べてみると意味合いが違うことがわかります。

三方よし:売り手よし、買い手よし、世間よし

ウィンウィン:自分も勝ち、相手も勝つ(それぞれの当事者が欲しい結果を得ること)

ウィンウィンには、「世間よし」という考え方がありません。「売り手よし、買い手よし」で止まってしまい、「世間よし」という考えに繋がらないのです。

ここが両者の大きな違いです。

三方よしの英語表現

三方よしを英語で言うと、

Three way satisfaction

になります。

ちなみに、「売り手、買い手、世間」を英語で言うと下記のようになります。

売り手:purchaser

買い手:buyer

世間:society

Three way satisfactionを実際に使ってみた

外国人は「三方よし」という考え方を知っているのか?気になったので、実際にアメリカの友人に聞いてみました。

結果、「それは、どういう意味?」という返答でした…。三方よしという考え方は、日本が発祥なので知っている外国人は少ないと思います。

まとめ

今回は「三方よし」について解説しました。ビジネスにおいて重要な考え方なので、これを機にぜひ覚えておきましょう。

①三方よしの意味

売り手よし、買い手よし、世間よしという考え方

②三方よしの語源は近江商人

三方よしの語源は、近江商人。近江商人とは、近江(滋賀県)に本店を置いて、江戸から明治にかけて日本各地で活躍した商売人のこと。

③三方よしを経営理念に掲げる会社

代表的なのが伊藤忠商事

④三方よしとウィンウィンは違う

三方よし:売り手よし、買い手よし、世間よし

ウィンウィン:自分も勝ち、相手も勝つ(それぞれの当事者が欲しい結果を得ること)

⑤三方よしの英語表現

Three way satisfaction

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