分散投資とは
分散投資とは、「投資対象を一つではなく、複数のものにすることで、資産運用におけるリスクを減らして安定的に利益を得る方法」です。
投資を始めると、「卵は1つのカゴに盛るな」という言葉をよく聞くと思います。
卵を1つのカゴに盛ってしまうと、そのカゴを落とした場合に全部の卵が割れてしまうかもしれません。しかし、卵を複数のカゴに「分散」させて盛っておけば、そのうちの1つを落としたとしても、ほかのカゴに盛られた卵は影響を受けずに済みます。
このように、投資でも1つの投資商品に集中して投資を行ってしまうと、その投資が失敗した時に大金を失ってしまいます。一方、分散投資を行っておけば、1つの投資商品で失敗したとしても失うお金は一部で済みます。
もちろん、分散投資を行うと、投資対象のどれかで損失を出す確率は上がります。
しかし、分散投資を行えば投資資金の大半を失って再起不能になることはありません。分散投資は多少の損失を許容することで、大きく資産を減らすことなく安定的に資産運用を行っていく方法なのです。
ちなみに、ソーシャルレンディングで分散投資を行う場合には、30程度の案件に分散させるのが理想的と言われます。よほどお金を持っている人でなければ、10程度の案件に分散させるのが現実的な目安です。
分散の種類
分散投資では、
- 地域
- 投資商品
- 時間
この3つを分散させることをおすすめします。
①地域の分散
投資対象の地域や通貨は分散しておきましょう。
例えば、ソーシャルレンディングでは国内の案件が多いですが、国内の案件だけに投資すると、日本の景気が悪化した時などに貸し倒れがリスクが大きくなります。
また、東京の案件だけに集中していた場合にはさらに危険です。東京で地震などの災害が起きた時には、大きなリスクにさらされてしまいます。
国内と海外、新興国と先進国、欧州とアジアなど地域を分散させて投資を行うと良いでしょう。
②投資商品の分散
1つの投資商品にだけ投資するのは危険です。
例えば、株式だけに投資していた場合、金融危機が起こった場合などに大きな損失を被るかもしれません。
ソーシャルレンディングは初心者におすすめの素晴らしい投資商品ですが、ソーシャルレンディングだけに投資するより、複数の投資商品を組み合わせて資産運用を行ったほうが安定的に資産を増やしていくことができます。
特にソーシャルレンディングでは、1つの案件に投資するのは良くありません。以下を分散して投資を行いましょう。
事業者
ソーシャルレンディングは歴史が浅いこともあり、ソーシャルレンディング事業者の中には規模が小さい企業も多く含まれています。
今のところ倒産したソーシャルレンディング事業者はありませんが、金融庁による行政処分を受けて事業を続けられなくなってしまった事業者はあります。
すべての資金を同じ事業者で運用していては、もしもの時に投資資金の大半を失ってしまう可能性があります。分散投資を行っていれば、そんな時に被害を限定的にすることができます。
ただ、闇雲に事業者を選んでいれば無駄にリスクを減らす結果になってしまいます。信頼できる事業者を複数選んで、そこでソーシャルレンディング投資を行うべきでしょう。
テーマ
投資のテーマも分けた方が良いです。投資のテーマには、「不動産」「エネルギー」「事業の資金」など豊富にあります。
テーマを分散しておけば、あるテーマ全体が被害を受けてしまった場合にも、リスクを抑えることができます。
例えば、テーマが東京の不動産だった場合、東京で大地震が起こると東京の不動産に大きな被害が出てしまいますが、分散投資をしておけば、失われる金額が少なくて済みます。
案件
案件を分けることは、分散投資の基本です。案件を分けておけば、ある案件で貸し倒れが起こったときのリスクを抑えることができます。
融資先
異なるファンドでも融資先が同じになっている場合があります。融資先が集中してしまうとその会社がお金を返せなくなった時に大きな被害を受けてしまいます。
そのような事態を避けるためには、融資先を分散することが重要です。現在では匿名化が解除されているため、ソーシャルレンディング事業者によっては融資先の企業名がはっきりわかることがあります。
また、融資先の企業名が開示されていなくても融資先に個別のアルファベットを割り当てて融資先が識別できるようになっている事業者は多いです。
③時間の分散
ソーシャルレンディングではあまり関係ありませんが、株などの一般的な投資では時間の分散も大切になってきます。時間の分散では金融商品を一度に購入することはせず、一定の間隔を空けて定期的に購入します。
株などはボラティリティ(価格変動)が大きい投資商品ですが、時間の分散を行うことで価格変動リスクを減らすことができます。
具体的な時間の分散の手法としてはドルコスト平均法が有名です。ドルコスト平均法では、ある金融商品を定期的に一定金額ずつ購入することで価格変動リスクを減らします。