転職活動の最後の関門、退職交渉。
退職交渉は基本的に企業から引き止めが入ります。通常の引き止めでも精神的な負担が大きいですが、退職交渉の進め方を間違えると、最悪な場合「脅し」や「違法行為」といった大きなトラブルに巻き込まれることがあります。
このページでは、「トラブルを起こさずに退職交渉を進める方法」と「トラブルが起きてしまった対処法」をケース別に元リクルートの転職エージェントが解説します。
退職交渉でトラブルが起きたら地獄【実録】
退職交渉でトラブルが起きたらまさに地獄です。精神的にかなり追い込まれますし、気持ち良く転職することができません。。。
トラブルにより退職交渉が長引けば、最悪の場合、内定先企業の希望入社日に間に合わなくなり、内定を辞退せざるを得ないこともあります。
その他、大きなトラブルを抱えたまま辞めてしまうと、悪い評判を流されたりすることがあります。そのため、トラブルを起こさないための退職交渉の進め方と、それでもトラブルが起こった時の適切な対処法が重要になります。
私が某エージェントで転職支援をしていた時、退職交渉で大きなトラブルが起きてしまった求職者を何人も見てきました。
例えば、「密室で2時間激怒される」「損害賠償を請求すると脅される」「全員から無視や嫌がらせをされる」など、話を聞くだけでも胸が苦しくなるようなトラブルがありました。
転職エージェントは、退職交渉に直接介入することはできませんが、退職交渉のアドバイスや、利用者のメンタルケアを行うことはできます。一人で退職交渉を行うのが不安な場合は、『リクルートエージェント』や『パソナキャリア』など、キャリアアドバイザーに定評のある転職エージェントを利用しましょう。
トラブルを起こさないための退職交渉の進め方
そもそも、退職交渉をスムーズに進めるためには、3つのポイントがあります。
■スムーズに退職交渉を進める3つのポイント
- ネガテイブなことは絶対に言わない
- 転職先の企業名は絶対に言わない
- いつまでにどういう行動を取るか約束させる
詳しくは下記の記事で徹底解説しています。
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退職交渉をスムーズに進めることを前提とした上で、トラブルを起こさないために重要なポイントは3つあります。
- 繁忙期を避ける
- 上半期・下半期に切り替わる直前を避ける
- 引き継ぎ期間を十分に取る
①繁忙期を避ける
会社の繁忙期に退職を申し出たり、希望退職日が繁忙期に重なる場合、トラブルが起こりやすいです。繁忙期に退職されると、企業としては大きな損失になるため、強い引き止めにあったり、一方的に恨まれたり嫌がらせをされることもあります。
そのため、転職活動を進める際に、退職日が繁忙期に重ならないように退職スケジュールを組んでおくことが重要です。
転職活動を開始してから、内定が出て入社が決まる平均期間は約3ヶ月です。そのため、最低でも繁忙期の3ヶ月前には転職活動を開始しておくことで、繁忙期に重ならない時期に退職することができます。
②上半期・下半期の切り替わる直前を避ける
退職を切り出す時期が上半期・下半期の事業計画を策定したタイミング(2〜3月や7〜8月)の場合、トラブルの原因になります。なぜなら、企業が一度決定した組織計画や人員計画、成長戦略、予算決めなどを、またやり直さなければいけなくなるからです。
そのため、期が切り替わったあと(4〜5月や9〜10月)に退職を伝えると良いでしょう。
③引き継ぎ期間を十分に取る
引き継ぎ期間を考慮していない退職日を希望すると、トラブルの原因になります。引き継ぎもせずに急に辞められてしまうと、クライアントに迷惑がかかったり、他の社員の負担が増すなど、企業にとって大きな損失になります。
基本的には、引き継ぎ期間として最低1ヶ月は考えておきましょう。また、内定先企業に対しては、引き継ぎ期間を考慮した上での希望入社日を伝えましょう。
トラブルが起きた時の対処法【ケース別】
どれだけ丁寧に退職交渉を進めたとしても、企業風土や上司の人間性によっては、どうしてもトラブルが起こってしまうことがあります。そのため、トラブルのケース毎の対処法を解説いたします。
- ケース①:脅し
- ケース②:有給消化をさせてくれない
- ケース③:退職届けを故意に受け取ってくれない
ケース①:脅し
退職を伝えると、「損害賠償を請求するぞ!」「それなら解雇にしてやる!」といった脅しをしてくることがあります。
そもそも、「退職」とは個人に保証された権利です。そのため、仮に退職により企業に損害が生じたとしても、企業が個人に損害賠償請求をすることはできません。当然、退職を理由に解雇をすることもできません。
退職に対する「脅し」は、すべて意味がなく、労働基準法の違反にあたります。そのため、気にせずに粛々と退職交渉を進めて構いません。しかし、脅しがあまりにも酷く、退職交渉が全く進まない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
企業側は違法行為を行なっているため、必ず行政から是正措置が下り、退職することができます。
ケース②:有給消化をさせてくれない
「退職するのは構わないけど有休消化はしないでね」と、有給を消化させてくれないことがあります。
有休消化は労働者の権利のため、退職するしないに関わらず、企業が有給を拒否することはできません。こちらのケースも労働基準法の違反にあたるため、どうしても有給を取得したい場合は、労働基準監督署に訴えましょう。
しかし、そこまで有休消化にこだわりがなければ、有休消化を諦めることもトラブルを回避する一つの手段です。決して推奨する訳ではありませんが、有休消化を妥協するだけで、一気に退職交渉が進む可能性がもあります。
ケース③:退職届けを受け取ってくれない
上司が退職届けを受け取ってくれなかったり、企業が退職の手続きを進めてくれないことがあります。
退職手続きが終わらないまま転職することはできません。基本的に企業は「二重就業」を禁止しているため、退職手続きが終わっていないと入社を拒否されます。
そのため、上司が退職届を受け取ってくれない場合は人事に直接持っていったり、社長に直談判する必要があります。それでも何も変わらない場合は、下記の「トラブルが起きた時の最終手段」を使いましょう。
トラブルが起きた時の最終手段
日本では、2週間前に退職を雇い主に通知すると退職することができる旨の法律が定められています。
■民法法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
就業規則によって、「退職は○ヶ月前までに申し伝える必要がある」と記載されていたとしても、上記の民法の規定が優先されます。
退職届けを受け取ってもらえない場合は、弁護士にお願いして「内容証明書」を企業宛に送りましょう。「内容証明書」とは法的に「提出した」と認められる書類です。そのため、相手が受け取りを拒否したとしても、退職をを申し入れたと認定されます。
純粋に引き止められた時の対処法
トラブルとまではいかなくても、純粋に退職を引き止められることは頻繁にあります。
下記の記事では、引き止めに応じた際のデメリットや、引き止めのケース毎に対処法を解説しています。興味のある方は、ぜひご覧ください。
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