ソーシャルレンディングの歴史をわかりやすく解説

ソーシャルレンディングの誕生

2002年:世界初のソーシャルレンディングがイギリスで誕生

2002年、イギリスで「VirginMoney」が現在のソーシャルレンディングに近いサービスを開始しました。

当時VirginMoneyが提供していたサービスは、インターネットを利用して知人同士が融資を行うことができるものでした。このサービスは個人から個人に融資する形のソーシャルレンディングの原型になりました。

2005年:現在のモデルに近いソーシャルレンディングがイギリスで誕生

2005年にはイギリスで「Zopa」が現在のモデルに近いソーシャルレンディングサービスを開始しました。具体的には、他人同士でもインターネットを通じて個人から個人に融資できるようになったのです。

ちなみに、Zopaが始めたのは主に3つあるソーシャルレンディングのビジネスモデルの中で、マーケット型と呼ばれるものです。

マーケット型ではソーシャルレンディング事業者が借り手の信用情報に基づいて借り手の格付けを行います。格付けをもとに、投資家はどのくらいの金利でどのくらいのお金を貸すかを決定します。

できるだけ借り手に有利な金利と金額を提示した投資家が融資を行うことができるのです。

ソーシャルレンディングの繁栄

2006年:アメリカでソーシャルレンディングが始まる

2006年にはイギリスで始まったソーシャルレンディングがアメリカに渡り、「Prosper」がソーシャルレンディングを開始しました。

Prosperが提供していたのもマーケット型のソーシャルレンディングサービスです。2007年には、世界最大手ソーシャルレンディング事業者の「Lending Club」もサービスを開始しています。

2007年:世界中でソーシャルレンディングが始まる

2007年にはヨーロッパ諸国、中国、韓国など、世界中でソーシャルレンディングサービスが開始されました。

2008~2009年:ソーシャルレンディングとリーマンショック

2008年、リーマンショックが起こり、アメリカを中心として世界中の経済が大きな打撃を受けました。

リーマンショックの直接の原因になったリーマンブラザーズを始めとした銀行は、信用力の少ない個人や低所得者を対象として高金利の住宅ローンを扱っていました。

これをサブプライムローンといいます。

この仕組みは、うまく行っていましたが、アメリカで住宅バブルが崩壊して不動産の価格が下落すると、貸し倒れが増えて、担保にしていた不動産からも十分なお金を回収できなくなり、大きな損失を抱えるようになりました。

大きな損失にリーマンブラザーズが耐えられなくなって倒産し、リーマンショックは始まりました。

リーマンショックがソーシャルレンディングを後押し

このリーマンショックはソーシャルレンディングの発展を後押しする結果になりました。

銀行はリーマンショックを機に審査を厳しくし、融資に対して消極的になったため、銀行からお金を借りることができない個人や企業が増えました。

つまり、ソーシャルレンディングは銀行からお金を借りることができない企業の受け皿になったのです。リーマンショック後にはソーシャルレンディング事業者が世界中で急速に増えていきました。

ソーシャルレンディングと日本の歴史

2008年:日本でソーシャルレンディングが始まる

日本でソーシャルレンディングが始まったのは2008年です。この年、maneoがソーシャルレンディングサービスを始めました。maneoは現在でも業界有数の規模を誇るソーシャルレンディング事業者です。

maneoが当時始めたのはオークション型のソーシャルレンディングサービスです。オークション型では借り手は借り入れの目的と自分の信用度をアピールします。

投資家は借り手の情報をもとに、どのくらいの金利で貸し出すかを決定します。そして、金利はオークション形式で決まります。一番低い金利を提示した投資家が貸し出す権利を得られます。

maneoに続き、2009年にはAQUSH、2011年にはSBIソーシャルレンディング、2013年にはクラウドバンクがソーシャルレンディングサービスを開始しています。

2011年:個人向け融資の限界

日本でも、イギリスなどと同じように、個人へ融資する形のソーシャルレンディングサービスが一般的でした。

しかし、2011年頃から、日本のソーシャルレンディングは、個人への融資に限界を感じ始めることになります。

例えば、2011年にmaneoは、個人向けのソーシャルレンディングから撤退し、企業向けの融資に転換しています。その後、多くのソーシャルレンディング事業者は個人向け融資から撤退していくことになります。

日本で個人向けのソーシャルレンディングが成功しなかったのは貸し倒れ率が10%以上と高かったからです。

日本では銀行や消費者金融などの努力により個人にお金を貸す仕組みが十分に整備されており、ソーシャルレンディングが入り込む余地がなかったのです。

個人への融資が成功しなかったことにより、当時日本ではソーシャルレンディングは普及しないのではないかと言われていました。

2013年:企業向け融資への転換と成功

2013年頃になると、多くの事業者が個人融資から企業融資に転換しました。例えば、2013年にはmaneoの社長が交代し、企業向けの融資に集中するようになりました。

そして、日本のソーシャルレンディングは企業向け融資に転換することで成功し、2017年頃まで毎年市場規模が倍増して、新規参入する事業者も増えました。

2016年頃からは業界全体として成長ジャンルとして注目を集めるようになります。

企業向けの融資が成功した要因の1つに、2010年に施行された改正貸金業法による従来のノンバンクが大きな打撃を受けたことがあると言われています。

改正貸金業法ではグレーゾーン金利が撤廃されて過払い金が多く発生し、これによりノンバンクが大きな損失を受けることになったのです。

これにより日本では銀行から借りられない企業の借入先が不足し、ソーシャルレンディングがそのような企業の受け皿になったのです。

2017〜2018年:ソーシャルレンディング最大の問題が明るみに

2017~2018年はかねてからソーシャルレンディング最大の問題と言われていた「匿名化」を悪用した事件が複数起こる年になってしまいました。

2008年に日本でソーシャルレンディングが始まってしばらくは、ソーシャルレンディング事業者が借り手の詳細の情報を開示していましたが、2014年頃になって金融庁から借り手の詳細情報を隠すように指導が入るようになりました。

これを匿名化といいます。

この匿名化はソーシャルレンディング最大の問題と言われていて、これを悪用して詐欺まがいのことを行ってしまう事業者が出てくるのではないか言われていましたが、その懸念が現実になったのが2017~2018年でした。

例えば、みんなのクレジットというソーシャルレンディング事業者は投資家から集めた資金の一部を社長個人の借金の返済にあてたり、事前の説明と異なるところに融資したりして投資家に大きな損害を与えました。

みんなのクレジットは、最終的に行政処分を受けてしまいました。

また、ラッキーバンクは投資家から集めた資金のほとんどを親族が経営する不動産会社に貸し付け、しかも担保の評価額も実際よりも高めに算出していました。

ラッキーバンクも最終的に行政処分を受けて第二種金融商品取引業の免許取り消し処分を受けています。

この他にも2017~2018年には、軽いものを含めて複数の会社が行政処分を受けています。詳しくは以下の表のとおりです。

  • みんなのクレジット:1ヶ月間の営業停止処分
  • ラッキーバンク:1回目 業務改善命令、2回目 第二種金融商品取引業の免許取り消し処分
  • エーアイトラスト:1回目 1ヶ月間の業務停止処分、2回目 第二種金融商品取引業の免許取り消し処分
  • クラウドバンク:1回目 3ヶ月間の一部業務停止処分、2回目 業務改善命令
  • maneoマーケット:業務改善命令

2019年:匿名化の解除

2017~2018年に匿名化の問題点が浮き彫りになったこともあり、金融庁は2019年3月18日付けで匿名化の解除を発表し、借り手の詳細情報を開示できるようになりました。

2019年8月時点では、以下の事業者が匿名化に対応しています。

  • SBIソーシャルレンディング
  • クラウドバンク
  • Funds
  • クラウドクレジット
  • オーナーズブック
  • SAMURAI

今後、匿名化の解除によってどのような影響があるのか注視していく必要があるでしょう。

日本のソーシャルレンディング事業者年表

ソーシャルレンディングの事業者年表