ソーシャルレンディングと投資信託とは?
- ソーシャルレンディング:お金を運用したい個人とお金が必要な企業を結びつけるサービス
- 投資信託:投資家からのお金を集めて、専門家が株式や債権などに投資し、運用する投資商品
ソーシャルレンディングは、事業者が個人投資家からお金を集め、お金を借りたい企業に貸しつけを行います。そして、企業が返済を行ったらソーシャルレンディング事業者は個人投資家に元本と利息を返還します。
ソーシャルレンディングと投資信託の8つの違い
ソーシャルレンディングと投資信託の8つの違いについて紹介します。
- 好きな時にお金を引き出せるかどうか
- 選択肢の数(分散投資のしやすさ)
- 税金
- 手数料
- 利回り
- 利回り変動リスク
- 売却の判断
- 事業者リスク
違い①:好きな時にお金を引き出せるかどうか
ソーシャルレンディング | 引き出せない |
投資信託 | 引き出せる |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、1度投資してしまうと、運用期間が終わってお金が戻ってくるまでお金を引き出すことができません。
ソーシャルレンディングの運用期間は1ヶ月~36ヶ月程度までさまざまですが、運用期間が長いほどお金を引き出せないリスクは高くなります。
投資信託
投資信託は、基本的にいつでも自由に解約をすることができます。そのため、急にお金が必要になった時に対応しやすいという特徴があります。
ただし、投資信託によっては「クローズド期間」が設定されていることもあります。クローズド期間中は投資信託を解約することができないため注意が必要です。
違い②:選択肢の数(分散投資のしやすさ)
ソーシャルレンディング | 少ない |
投資信託 | 多い |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、まだ歴史が浅く投資信託に比べると、ソーシャルレンディングを扱っている会社は少なく、国内で安定的に案件を提供しているのは15社程度です。
そのため、投資信託に比べると分散投資はしにくいです。
投資信託
投資信託は、国内のさまざまな銀行や証券会社などで販売されており、国内の株式、国内の債権、海外の株式や債権など種類も豊富です。
また、それぞれの商品自体がさまざまな株式や債権に分散投資しているため、リスク管理をしやすいです。
違い③:税金
ソーシャルレンディング | 優遇されていない |
投資信託 | 優遇されている |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、歴史が浅いため、税金面での整備はあまり進んでいません。投資は通常、税金面で優遇される傾向にあるのですが、ソーシャルレンディングは別です。
ソーシャルレンディングの投資による所得は「雑所得」に分類されます。雑所得は、総合課税といって、他の所得と合算して課税され、所得が増えれば増えるほど税率は高くなります。
また、雑所得は赤字を繰り越すことができません。
例えば、ある年のソーシャルレンディングが10万円の赤字になってしまい、次の年に15万円の利益を得たとします。赤字になった年の税金はかかりませんが、次の年は15万円に対して課税されます。前年度の赤字と相殺して5万円にすることはできません。
投資信託
投資信託は、税金面での整備が進んでおり、ソーシャルレンディングと比べて税金面で優遇されています。
投資信託で得られた所得は、「配当所得」に分類されます。配当所得は、ほかの所得と合算しない分離課税で、いくら利益を出しても税率は20.315%で一律です。
また、確定申告をすれば3年間に渡り損失を繰り越すことができます。
例えば、前年が10万円の赤字で、今年が15万円の黒字だった場合、今年の利益を5万円にすることができます。投資信託はNISAやiDeCoなどの制度を活用することもできます。
違い④:手数料
ソーシャルレンディング | かからない |
投資信託 | かかる |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、基本的に手数料がかかりません。
ただし、ソーシャルレンディング事業者によっては、自分の銀行口座に出金した際に数百円の手数料がかかることがあります。
投資信託
投資信託は、複数の手数料がかかります。
- 購入時手数料:購入する時かかる手数料
- 信託報酬:運用している時にかかる手数料
- 信託財産留保額:解約する時にかかる手数料
これらの手数料は運用によって利益が発生しておらず、損失が発生している時でもかかってしまいます。
違い⑤:利回り
ソーシャルレンディング | 5~10%程度 |
投資信託 | 2~5%程度 |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングの利回りは、平均7%程度です。
投資信託
投資信託の利回りは、運用成績によって変わりますが、2~6%程度であることが多いです。
違い⑥:利回り変動リスク
ソーシャルレンディング | ない |
投資信託 | ある |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、値動きがない投資商品です。
募集時に提示された利回りから、変化することは基本的にありません。「期待利回り」と記載してある場合には、多少変動しますが、そこまで大きく変動はしません。
貸し倒れが起こって元本が失われない限りは、あらかじめ決められた金額が返ってきます。
投資信託
投資信託は、株式などの値動きがある投資商品で運用している場合が多いため、運用成績は株価や株式市場全体の状況に大きな影響を受けます。
違い⑦:売却の判断
ソーシャルレンディング | 必要なし |
投資信託 | 必要あり |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは運用期間が終われば、自動的にお金が戻ってきます。「いつ現金化するか?」について悩む必要はありません。
投資信託
投資信託は、解約するタイミングを自由に決めることができます。
そのため、解約のタイミングは自分で考える必要があります。しかも、投資信託は値動きのある投資商品なので、解約のタイミングによって得られる利益が変わります。
最適な解約のタイミングを考えるためには、情報収集が必要なので、ソーシャルレンディングよりも売却の判断をするのに手間がかかると言えます。
違い⑧:事業者リスク
ソーシャルレンディング | 高い |
投資信託 | 低い |
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは歴史が浅い業界なので、業界全体のルールがきっちりと決まってきませんし、事業者の淘汰もあまり進んでいません。
そのため、ソーシャルレンディング業界には詐欺まがいのことをする事業者が現れることがあり、金融庁から行政処分を受ける事件が複数発生しています。そのような事件に巻き込まれてしまうと投資したお金が失われてしまいます。
また、ソーシャルレンディング事業者の中には経営基盤がしっかりしていない中小企業も多くあります。今のところ経営状態が悪くなって倒産してしまったソーシャルレンディング事業者はありませんが、これからもそうとは限りません。
ソーシャルレンディングは投資信託に比べると、事業者リスクが高い投資商品と言えるでしょう。
投資信託
投資信託にも事業者リスクはありますが、ソーシャルレンディングよりは低いです。
投資信託は、知名度があり、歴史も長い投資商品なので事業者の淘汰が進んでおり、投資信託を扱っている会社は規模が大きく、財政基盤がしっかりしていることが多いです。
ソーシャルレンディングと投資信託の5つの共通点
ソーシャルレンディングと投資信託には、5つの共通点があります。
- 少額から投資できる
- 簡単に投資できる
- ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
- 長期的な投資に向いてる
- 元本保証ではない
共通点①:少額から投資できる
ソーシャルレンディングも投資信託も少額から投資できるという特徴があります。
株などの代表的な投資商品では数十万円単位でしか投資できないことが多いですが、ソーシャルレンディングや投資信託は違います。
ソーシャルレンディングは1万円以上1000円単位で投資できる事業者が多く、『Funds』など1円単位で投資できる事業者もあります。
投資信託も1万円程度から投資が始められることが多く、『SBI証券』や『楽天証券』や『マネックス証券』などでは100円から投資できる場合もあります。
共通点②:簡単に投資できる
ソーシャルレンディングも投資信託も簡単に投資することができます。
ソーシャルレンディングでは、初回にソーシャルレンディング事業者に口座開設する必要がありますが、口座開設はすべてオンラインで行うことができます。
一度、投資したら運用期間が終わって返ってくるまでは基本的に何もする必要がないので、かなり手間のかからない投資と言えます。
投資信託は、口座を開設する必要があります。銀行でも取り扱いがあるので、銀行口座を持っている銀行で始めても良いでしょう。
共通点③:ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
ソーシャルレンディングも投資信託もミドルリスク・ミドルリターンの投資商品です。
そのため、元本割れが起こってしまう可能性がありますが、見返りもある程度期待できます。
ソーシャルレンディングの利回りは、平均7%程度で貸し倒れが起こることは少ないですが、貸し倒れが起こった際には元本のすべてを失ってしまうこともあるのでミドルリスクと言えます。
投資信託は利回りが2~5%程度で元本が失われてしまうことはほぼないですが、運用の結果、数%の損失が出る可能性もあります。
共通点④:長期的な投資に向いてる
ソーシャルレンディングも投資信託も長期的な投資に向いてる投資商品です。
どちらも1年あたりに得られる利益は数%程度なので、短期的に大きく元本を増やすことはできませんが、長期的に投資していくと複利効果により大きな利益を得ることができます。
複利効果とは、元本に利息を加えたものが新たな元本になって、再投資されていくことで雪だるま式に元本が膨らんでいく効果のことです。
共通点⑤:元本保証ではない
元本保証とは、元本割れが起こらないことを保証することです。
ソーシャルレンディングも投資信託も元本保証の投資商品ではないため、損失が出て元本の一部が失われてしまうことがあります。
ソーシャルレンディングでは、借り手企業が返済できなくなり、貸し倒れが起こると、元本の一部もしくはすべてを失ってしまいます。
投資信託では、運用がうまくいかず赤字になってしまうと元本割れが起こってしまいます。