ソーシャルレンディングの5つのリスクについて解説

ソーシャルレンディングには5つのリスクがあることを知っていますか?

ソーシャルレンディングは比較的新しい投資方法なので、以下のように思う方が多いと思います。

ソーシャルレンディングのリスクが怖い

ソーシャルレンディングは本当はリスクが大きすぎる投資方法なんじゃないの?

そこで、この記事ではファイナンシャルプランナーである筆者が「ソーシャルレンディングのリスク」について詳しく解説します。

目次

ソーシャルレンディングの5つのリスク

ソーシャルレンディングの5つのリスクは、以下のとおりです。

  1. 貸し倒れリスク:借り手の倒産でお金が戻ってこない
  2. 事業者リスク:会社が倒産してお金が戻ってこない
  3. 流動性リスク:運用中はお金を引き出せない
  4. 投資先の詳細な情報がわからないリスク
  5. 気づかずに同じ企業に投資してしまうリスク

特に、貸し倒れリスクは、一番気をつけなければいけません。

それぞれのリスクについて、解説していきます。

貸し倒れリスク

ソーシャルレンディングは、元本が保証されていない投資商品です。

そのため、借り手企業が倒産などの理由によりお金が返せなくなった場合、利息だけでなく、もともと投資していたお金、つまり元本も失われてしまう可能性があります。

※借り手企業が倒産などの理由によりお金が返せなくなってしまった状態のことを貸し倒れと言います

ただし、貸し倒れは頻繁に起こるものではありません。クラウドポート社の調査によると、2015~2017年に募集された国内ソーシャルレンディング事業者の貸し倒れ率は1.47%でした。

事業者リスク

ソーシャルレンディングは発展途上の投資商品です。現在は約30のソーシャルレンディング事業者がありますが、その中には経営基盤がしっかりしていない中小企業もあります。

今のところ経営状態の悪化を理由に倒産した事業者はないですが、金融庁から登録取り消しの行政処分を受けてソーシャルレンディング事業が続けられなくなった事業者はあります。

例えば、ラッキーバンクは投資家から集めたほとんどのお金を甘い審査で身内に貸し出していたことなどを理由に、2019年3月14日に登録取り消し処分を受けています。

このようなことが起こってしまうと投資した資金の返済が遅れたり、一部もしくは全部が返ってこなくなったりしてしまいます。

実際に、業界大手のSBIソーシャルレンディングのホームページにも以下のような一文があります。

SBIソーシャルレンディングへの投資は元本の保証はありません。借手の返済が遅延したり、借手が破産等した場合には、お客様が出資された元本額が欠損する損失が発生する場合があることはもとより、弊社・SBIソーシャルレンディング社の信用状況が悪化した場合にも、お客様が出資された元本額が欠損する損失が発生する場合があります。

出典:SBIソーシャルレンディング公式HP

流動性リスク

流動性とは、経済学の用語でお金やモノがどのくらい簡単に交換できるかという程度のことを表します。

例えば、Aさんがリンゴをワカメと交換したい場合、リンゴをワカメと交換するのは簡単ではありません。なぜなら、ワカメを持っていて、なおかつリンゴが欲しい人を見つけなければならないからです。

このように、お金やモノが交換しにくい時「流動性が低い」と言います。

一方、Bさんが500円を持っていて、これをリンゴと交換したい場合、リンゴが売っている店に行って、お金を払えばすぐにリンゴと交換できます。

このように、お金やモノが交換しやすい時「流動性が高い」と言います。

ソーシャルレンディングにおける流動性リスクとは、モノがすぐにお金と交換できなかったり、交換はできるが手に入れられるお金の量が減ってしまったりするリスクのことです。

ソーシャルレンディングの場合、いったん投資してしまうと、満期になるまでお金を引き出すことができません。そのため、ソーシャルレンディングは流動性が低く、流動性リスクがある投資と言われています。

投資先の詳細な情報がわからないリスク

ソーシャルレンディング業界は金融商品取引法と貸金業法の2つの法律により守られている業界です。

金融商品取引法は、経済の健全な発達や投資家の保護をしたりするために、金融商品取引業を行う企業を規制している法律です。

また、貸金業法は経済の健全な発達や投資家の保護をしたりするために、貸金業をするために登録が必要で、お金を貸す際のルールなどを定めた法律です。

このうち貸金業法による規制で、ソーシャルレンディング事業者が投資家に借り手の詳細な情報を開示することは禁じられていました。

これは、もし借り手の詳細な情報を開示してしまうと、実質的に投資家がお金を貸しているのと同じ状態になってしまうからです。

しかし、2019年3月11日付けで、匿名化がソーシャルレンディング業界の実態にあっていないことから、金融庁から匿名化の解除が発表されました。

つまり、ソーシャルレンディング事業者が借り手の詳細を投資家から隠すことは義務ではなくなったのです。現在、これに対応して借り手の詳細な情報を開示する事業者が増えてきています。

ただ、隠すことが義務でなくなっただけで、開示することが義務になったわけではありません。なので、いまだに借り手の詳細な情報を開示していない事業者もあります。

気づかずに同じ企業に投資してしまうリスク

ソーシャルレンディングをやっていると、異なる企業に投資していても、実際には同じ企業に貸し付けていた、という事態に遭遇することがあります。

なぜなら、ソーシャルレンディングでお金を借りている企業に、1つの案件や1つの事業者からしかお金を借りてはいけないという規制はないからです。

そして、実際には同じ企業に貸し付けられていた場合、分散投資の効果が弱まってしまいます。

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