転職エージェントの面談ではどこまで本音で話すべきなのでしょうか。転職エージェント側からは「本音で話してください」と言われますが、それは本当なのでしょうか。
結論から申し上げると、基本的には本音で話すべきです。
しかし、すべて本音で話してしまうと損をする可能性があります。この記事では、転職エージェントの面談における「本音と建前の使い分け方」を元リクルートの転職エージェントが解説します。
転職エージェントの面談は本音で話すべき?
転職エージェントの面談では、本音と建前を使い分けて話すべきです。
その理由は、転職エージェントの面談はキャリアアドバイザーが「求職者の優先順位」を決める場だからです。
本音ばかりを話してしまうと転職エージェントからの評価が下がってしまう可能性があるため、見せ方を上手く工夫する「建前」が必要になります。
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キャリアアドバイザーが面談で見ているポイント
先述したとおり、転職エージェントの面談は「求職者の優先順位」が決まる場です。優先順位は何で決まるかというと、「その求職者が転職しやすいかどうか」です。
キャリアアドバイザーは面談で具体的に何を見て「転職しやすいかどうか」を判断するのでしょうか。
主に、以下4点が重要になります。
- 経歴やスキルが明確に整理されている
- 転職理由がポジティブであること
- 希望条件が現実的
- 転職意欲が高い
これらのことを何も考えずにすべて本音で話してしまうと、知らず知らずのうちにキャリアアドバイザーからの評価を下げ、優先順位が低くなる可能性があります。
優先順位が低くなると、紹介してもらえる求人数が少なくなったり、人気企業の優良求人を紹介してもらえないなど、デメリットが多くなります。
だからこそ、面談では本音と建前を使い分けて、キャリアアドバイザーから「転職しやすい求職者」だと評価してもらうことが重要になります。
本音と建前を使い分けるべきですが、嘘をつくことは絶対にダメ。嘘をつくことで、下記のトラブルが予想されます。
- 紹介求人が自分の希望条件や志向性と異なる
- 入社後、嘘がバレて経歴詐称などで解雇される
- 嘘がバレた場合、キャリアアドバイザーからの信頼をなくし、サービスが受けられなくなる
転職エージェントの面談で話す内容
そもそも転職エージェントの面談ではどのようなことを話すのでしょうか。
キャリアアドバイザーによって面談の流れは変わりますが、基本的には下記の項目を話します。
- 経歴
- 転職理由
- 転職先に求めること
- 希望条件
- 転職意欲
キャリアアドバイザーはこれらの項目から、求職者の「転職のしやすさ」を見て、「優先順位」を判断します。
それでは、どの項目でどのような「本音と建前」を使い分けるべきなのでしょうか。
「本音」と「建前」の使い分け【項目別】
転職エージェントの面談で話す項目ごとに、「本音」と「建前」の使い分け方を解説します。まとめると、下記の通りです。本音で話すことがベースにありますが、ほとんどの項目で建前が必要になります。
①経歴:本音
経歴はすべて本音で話してください。経歴は客観的な事実が求められるため、ありのままを話しましょう。たまに経歴を盛って話す方がいますが、経歴を盛ることで良いことは一つもありません。
②転職理由:建前が必要
転職理由はポジティブな内容を話しましょう。「キャリアアップがしたい」「〇〇という仕事をしたい」のような、前向きな理由を述べると良いです。
一方、転職理由の本音がネガテイブな内容ばかりの人もいると思います。そんな時は、見せ方を変えましょう。例えば、「上司が目標達成できないと詰めてくるのが嫌だから転職したい」が一番大きな転職理由の場合だと、下記のように変換してみてはいかがでしょうか。
上司の仕事観が、「目標達成のためならなんでもしろ」というもの。
↓
自分は「お客様のため」に仕事がしたい。しかし、上司は「たとえ客の利益にならなくても商品を売ることが偉い」と言う。会社の中で上司を変えてくれとお願いしても変わらなかった。
↓
だから自分は、「お客様のため」に仕事ができる会社に行きたいと考え、転職活動を始めた。
大前提、転職理由はネガティブな内容よりも、ポジティブな内容の方が良いです。ただし、転職理由が本当に酷い就業環境だと返ってネタになることも。
例えば、「残業時間が月100時間超&残業代も出ない」「給料が未払い」という状況だった場合、正直に伝えても良いです。返って、「大変だったね」と思ってもらえます。
もちろん、ネガテイブな理由だけではダメです。ポジティブな理由も必要ですが、あまりにも酷い環境にいた場合、ネガテイブな理由を話すことでプラスになるケースもあります。
③転職先に求めること:建前が必要
転職先に求めることは、「仕事内容」に関わることを全面に押しだしましょう。
例えば、転職先に求めることの本音が「休日日数」や「残業なし」などの働き方に関わることだったとしても、それは言うべきではありません。
なぜなら、「理想の働き方」を強く求める求職者は選考に通りにくいからです。採用企業側としては、入社後バリバリ働いて欲しいと思っています。それなのに「働き方」を一番に求められてしまうと、「仕事のやる気はないのかな」と思われてしまいやすいです。
そのため、仕事内容で「転職先に求めること」を話す際には、下記のような内容が良いと思います。
- 新規事業を担当できる
- 若手でも活躍できる
- お客様第一主義
- グローバルな環境で仕事ができる
- 成果をそのまま評価してもらえる
④希望年収:建前が必要
希望年収は現実的な範囲で伝えましょう。現実的な範囲とは、現年収の数十万円のプラス幅です。
基本的に、100万円単位での年収アップは現実的ではありません。そのため、面談の場で大幅な年収アップを伝えてしまうと、キャリアアドバイザーは消極的になってしまう可能性があります。
⑤転職意欲:建前が必要
キャリアアドバイザーは、転職意欲が高い求職者を優先します。
その理由は、転職エージェントの料金の仕組みにあります。転職エージェントは、求職者が企業に入社した時に初めて成功報酬として採用企業から料金をもらいます。そのため、転職意思のない求職者をサポートしても利益にならないのです。
そのため、転職意欲が低いと判断されてしまうと、なかなか求人を紹介してもらえなくなります。したがって、面談の中では必ず「転職意欲が高い」ことを伝えましょう。
転職エージェントの面談は事前準備が重要
この記事の内容を見ていただければ分かる通り、何も考えずに面談に行ってしまうとキャリアアドバイザーからの評価が悪くなり、自分の優先順位が低くなってしまいます。
「優先順位が低くなる=優良求人を紹介してもらえない」ということです。
そのようなことにならないためにも、転職エージェントの面談は事前準備が非常に重要になります。
面談準備については、『転職エージェントを味方に付ける面談準備の秘訣』で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。