IT業界では、転職回数が多いと不利になりますか?
IT業界では、他の業界よりも転職回数が多いって本当ですか?
このような疑問に、元リクルートの転職エージェントが回答します。
この記事では、IT業界の転職事情だけでなく、転職回数が多くても転職を成功させるポイントについて解説します。
IT業界の転職回数
転職エージェントの経験から言うと、IT業界の転職回数は他の業界に比べて多いです。IT業界の採用担当者と話すと、
- 20代:1〜2回
- 30代:2〜4回
これくらいの数値が平均だと思います
一般的な転職回数
年代別の転職回数 | ||||||
なし | 1回 | 2回 | 3回 | 4〜5回 | 6回以上 | |
20代 | 76% | 16% | 6% | 2% | – | – |
30代 | 47% | 24% | 16% | 8% | 5% | – |
40代 | 38% | 20% | 18% | 11% | 12% | 1% |
50代 | 34% | 21% | 17% | 11% | 16% | 2% |
出典:リクナビNEXT
2017年のリクナビNEXTの調査によると、20代の76%が「転職経験なし」、30代になると「転職経験なし」は47%で、2人に1人は転職経験があることがわかります。
このデータは、
- 2017年集計
- 全国を対象
- 全業界を対象
という理由から、実際値よりも少ない印象です。
また、IT業界の企業は、東京に集中しているため、東京だけで集計すれば、数値は大きく増えるはずです。
転職者数は着実に増えている
転職者数の推移 | |
2019年 | 351万人 |
2018年 | 329万人 |
2017年 | 311万人 |
2016年 | 307万人 |
2015年 | 299万人 |
2014年 | 291万人 |
出典:総務省統計局『労働力調査』
転職者数の推移は、景気に左右されることが多いですが、着実に増えています。労働者人口から考えると、2人に1人は転職経験があることになります。
25歳〜34歳の転職者数が最も多い
15~24歳 | 25~34歳 | 35~44歳 | 45~54歳 | 55~64歳 | 65歳以上 | |
2019年 | 71万人 | 86万人 | 66万人 | 57万人 | 51万人 | 21万人 |
2018年 | 63万人 | 78万人 | 65万人 | 55万人 | 49万人 | 20万人 |
2017年 | 57万人 | 79万人 | 67万人 | 50万人 | 42万人 | 15万人 |
2016年 | 58万人 | 77万人 | 60万人 | 51万人 | 43万人 | 17万人 |
2015年 | 54万人 | 80万人 | 65万人 | 45万人 | 41万人 | 14万人 |
2014年 | 55万人 | 76万人 | 67万人 | 41万人 | 40万人 | 12万人 |
出典:総務省統計局『労働力調査』
年代別に見ると、25歳〜34歳の転職者数は86万人と最も多くなっています。転職経験がある方はわかると思いますが、25歳〜34歳の人材ニーズが一番高く、優良求人が多い傾向にあります。
IT業界においては、成長産業であることから、どの企業も人手不足が続いており、年齢に関係なく求人は数多くあります。
IT業界で転職が当たり前の理由
先述した通り、IT業界の転職回数は他の業界に比べて多いです。
「なぜ、IT業界は転職が当たり前なのか?」
その理由は、
- 実力主義だから
- 成長意欲が高い人が多いから
- より高いスキルを身につけるため
- 待遇面を上げるため
など、いろいろとありますが、最大の理由はIT業界の求人倍率が高いからだと考えられます。
IT業界の求人倍率は非常に高い
IT業界は成長産業なので、どの企業も人手不足が続いています。そのため、業界別の求人倍率は、常にIT業界がトップ。
dodaの2020年7月の求人倍率は、下表の通りです。「IT・通信」の求人倍率は4.7で、求職者1人に対して4.7枚の求人があることになります。
業界 | 求人倍率 |
IT・通信 | 4.7 |
金融 | 1.86 |
サービス | 1.72 |
メディカル | 1.62 |
全体 | 1.61 |
メーカー | 1.16 |
その他 | 0.86 |
メディア | 0.82 |
商社・流通 | 0.7 |
小売・外食 | 0.51 |
出典:doda
「求人が多い=求人の選択肢が多い」ということなので、自分に合った求人が見つかりやすく、転職がしやすい業界と言えます。
また、言い方を変えれば、IT業界の経験者は引く手あまたなので、ある程度の経験・スキルがあれば、大幅な年収アップや待遇面の改善ができるため、転職を考えている人が多いのです。
ちなみに:IT業界は未経験歓迎の求人も多い
IT業界では、未経験歓迎の求人も多いです。エンジニア職でも、未経験歓迎の求人があるくらいです。
最近では、『TECH CAMP(エンジニア転職)』のような、プログラミングスクール+転職支援のサービスが増えています。
「短期間でプログラミングを学び、現場で通用するエンジニアに育て、有名企業に転職する」。ジョブチェンジを考えている方にとっては、最高のサービスです。
採用担当者は転職回数をどう見ているか?
基本的に、採用担当者は転職回数が多い求職者に対してプラスの印象を持ちません。
すぐに辞めそう…。
打たれ弱そう…。
人間関係が苦手そう…。
このようにマイナス評価をされることがしばしば。
しかし、IT業界においては少し違います。
IT業界では転職が当たり前なので、下記で解説する「転職を成功させるポイント」を意識すれば、転職回数も武器に変えることができます。
例外:短期間で転職を繰り返すのはNG
短期間で転職を繰り返している方は、それだけで大きなマイナスになります。もちろん、やむを得ない転職理由があると思います。
しかし、「短期間で転職を繰り返している」=「すぐに辞める」という評価をされる可能性が高いです。
そのため、
なぜ、辞めたのか?
なぜ、転職を繰り返しているのか?
次は、しっかりと働けそうか?
これらの質問に対して、採用担当者に納得してもらう必要があります。短期間で転職を繰り返しているからと言って、転職に悲観的になる必要はありません。
転職回数が多過ぎる方は、面接対策に時間をかけ、万全の対策をしましょう。
転職回数が多くても転職を成功させるポイント
IT業界では転職は当たり前ですが、転職回数が多すぎるとマイナスに働くこともあります。ここでは、転職回数が多くても転職を成功させるポイントを2つに絞って解説します。
- 採用担当者を納得させられる転職理由
- 転職エージェントを使いこなす
①採用担当者を納得させられる転職理由
転職回数が多い場合、面接で「転職回数」について必ず質問されます。
例えば、「転職回数が多いですが、今回はなぜ転職しようと思ったのですか?」という質問に対して、
年収アップしたいからです…!
働く環境をよくしたいからです…!
スキルアップがしたいからです…!
これは私が面接に同席した際に、実際にあった回答です。このような回答では、確実に落ちます。
大事なことは、採用担当者の納得度です。「転職回数が多くても、この人なら、うちに貢献してくれる!」と思ってもらえる転職理由を考えましょう。
このあたりについては、対策の仕方に個人差があるので、詳しくは述べません。一つ言えることは、転職回数が多い方は、転職エージェントを利用した方が良いです。
②転職エージェントを使いこなす
転職エージェントでは、
- 求人紹介
- 履歴書・職務経歴書の添削
- 面接対策
- 内定後の条件交渉
などを担当のキャリアアドバイザーが完全無料でサポートしてくれます。転職回数が多い場合、面接対策は非常に重要になるので、転職のプロがサポートしてくれるのは大きなメリットです。
またIT業界の場合、人気企業の求人は、転職エージェントが非公開求人という形で保有しているケースが多いです。
そのため、求人の選択肢を広げる意味でも転職エージェントを利用することをおすすめします。下記で、IT業界に強い転職エージェントを紹介しているので、参考にしてみてください。
IT業界に強いおすすめ転職エージェント
転職エージェントは、
- 総合型
- 特化型
大きく2種類に分けることができます。
IT業界への転職を決めている方は、IT業界に特化した転職エージェントがおすすめです。ここでは、「求人数」「サポートの質」「実績」の観点から、3つの転職エージェントを紹介します。
リクナビNEXTの調査では、転職成功者は平均4.2社の転職エージェントを利用しています。そのため、最初から一つの転職エージェントに絞るのではなく、2〜3社を実際に利用してみることをおすすめします。
- マイナビIT AGEN:IT×Webに特化した転職エージェント
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